遺伝性白質疾患の診断・治療・研究システムの構築

文献情報

文献番号
201711006A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性白質疾患の診断・治療・研究システムの構築
課題番号
H27-難治等(難)-一般-020
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 仁(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 健(国立精神・神経センター 神経研究所)
  • 三重野 牧子(自治医科大学 医学部)
  • 吉田 誠克(京都府立医科大学大学院)
  • 久保田 雅也(国立成育医療研究センター)
  • 佐々木 征行(国立精神・神経センター病院)
  • 松井 大(大津赤十字病院)
  • 才津 浩智(浜松医科大学 医学部)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学八千代医療センター)
  • 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,658,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)Pelizaeus-Merzbacher病(2)Pelizaeus-Merzbacher様病1(3)基底核および小脳萎縮を伴う髄鞘形成不全症(4)18q欠失症候群(5)Allan-Herndon-Dudley症候群6)HSP60 chaperon病(7)Salla病 (8)小脳萎縮と脳梁低形成を伴うび漫性大脳白質形成不全症(9)先天性白内障を伴う髄鞘形成不全症(10)失調,歯牙低形成を伴う髄鞘形成不全症(11)脱髄型末梢神経炎・中枢性髄鞘形成不全症・Waardenburg症候群・Hirschsprung病(12)Alexander病(13)Canavan病 の13疾患について、包括的な診断・診療・研究体制の構築を目的として、臨床データと画像レジストリー、診療マニュアル作成を作成した。
研究方法
本年度の課題として班員らが分担し取り組んだ。
①白質疾患医療支援ネットワークの運営;主として主治医に対する、診断相談システムを運営し、次世代遺伝子診断システムを運用することにより、実際の診断に協力する。
②診療ガイドラインの作成;診断基準、重症度分類の策定・改定をが終了したので、診療ガイドラインを完成させる。 
④ポータルサイトの構築を進め、情報の英文化を推進する。
⑤東京、大阪でセミナーを開催。合わせて患者診察による自然歴の収集を継続する。
結果と考察
下記の成果を得た。
1. 重症度分類の学会での承認
2. 診療ガイドラインの策定・改訂 H29.12・25完成した。
3. 次世代遺伝子診断システムの構築と運営。保険診療としてのPLP1の塩基配列解析、次世代シークエンス解析を組み込んだ遺伝性白質疾患診断に関して、日本全国からの問い合わせに対して、対応した。
4. 医療支援ネットワークの運営。主として、主治医の相談をウェブ会議にて継続した。
5. 市民公開セミナーを2回実施した。
東京;第12回市民公開セミナーを平成29年7月16日(日曜日)に東京産業技術総合研究所、特別講演としては、患者会の希望を取り入れ、生活支援・介護支援ロボット開発の現状。として、産業技術総合研究所 ロボットイノベーション研究センター 松本吉央チーム長よりハルを初めとする、介護ロボット技術のご講演があり、その後は患者会からの発表を経て、懇親会により日頃の家族からの疑問点などに班員が応えた。参加された患者は19名(PMD17名、HABC1名、TUBB41名、診断未確定1名)で同行する家族を含め63名であり、北は新潟、南は、兵庫県からの参加者があった。スタッフとしては、班員や看護大学からのボランティア28名で構成し、総勢91名の参加者であった。特に看護大学生等の、託児ボランティアが18名参加され、家族はセミナーに集中できるような運営で行った。大阪; 第13回市民公開セミナー同年11月19日(日)に大阪医科大学(大阪医科大学解剖学近藤洋一教授、小児科大阪医科大学小児科島川修一先生福井美保先生らのご厚意による)参加者は患者13名(PMD11名、TUBB4 1名、診断未確定2名、保健師、訪問看護ステーションからそれぞれ1名の系48名のの参加があり、スタッフとしては、託児ボランティアを含む30名で合計78名であった。講演は、疾患理解と研究の最前線の情報を知るというテーマを主体に班員によって行われ、特別講演としては、大阪医大近藤洋一解剖学教授により、髄鞘の再生を目指す基礎研究のご講演先生を招いた。公演終了後患者会との活発な討論、相談を実施した。
6. 白質疾患ポータルサイトの構築と運営
結論
H29年度は、包括的な診断・診療・研究体制の構築を目的として診療マニュアルを作成し、国内外の情報と発信をポータルサイトに集約した。また次世代遺伝子診断システムの運営。遺伝性白質疾患ポータルサイトの英文化臨床/基礎研究者・患者会・企業連携と年二回のセミナー開催と自然歴作成のための診療を継続した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201711006B
報告書区分
総合
研究課題名
遺伝性白質疾患の診断・治療・研究システムの構築
課題番号
H27-難治等(難)-一般-020
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 仁(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 健(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所)
  • 三重野 牧子(自治医科大学 医学部)
  • 吉田 誠克(京都府立医科大学大学院)
  • 久保田 雅也(国立成育医療研究医療センター)
  • 佐々木 征行(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 松井 大(大津赤十字病院)
  • 才津 浩智(浜松医科大学 医学部)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学八千代医療センター)
  • 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児から成人までを包括する、中枢神経系13疾患を扱う横断的な研究を行う。いずれも根本治療法がなく、重症で進行性の経過をたどり、終生医療的介入を要する。また診療経験のある医師が少なく、患者は、情報や診断、治療が得られていない。下記の4項目を目的とする; ①白質疾患医療支援ネットワークの構築と運営;学会の支援が決定し、関連する政策研究事業、AMED班との連携のもと主として臨床・画像を中心とした相談窓口を設置し、主治医に対する、相談システムを開始する。
②診療ガイドラインの作成;当該班研究の学会支援、診断基準、重症度分類の策定・改定を行い、また患者レジストリについて研究を行う。
③次世代遺伝子診断システムの構築と運営;個別に行ってきた遺伝子診断を、新しい次世代遺伝子解析システムに移行する。
④ポータルサイトの構築と運営を行う。
研究方法
主としてメール会議にて討議し、重要な事項は2回の班会議をへて決定した。
結果と考察
H27年度概要; 
1. 本研究に関し、小児神経学会に共同研究支援を要請し、受理された。
2. 診断基準の策定・改定重症度分類の策定・改訂を行った。
3. 診療ガイドラインの策定・改訂に関して、本年度は“エビデンスの少ない希少疾患におけるガイドラインのあり方の研究”を行った(三重野牧子)、
4. 遺伝性白質疾患診断における次世代シークエンス解析の有用性を検討し(才津智浩)、次世代遺伝子診断システムの構築と運営を開始した。
5. 市民公開セミナーを7月に東京、11月に大阪開催した。次世代遺伝子解析を含む、遺伝子診断スキームを作成し、実際の診断を行った
6. 白質疾患ポータルサイトをumin内に立ち上げ(スマートフォンにも対応)、最新の総説を執筆、アップロードした
7. Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)国際シンポジウムを米国ボルチモアで開催(本研究班およびAMED井上班主催)。米国PMD親の会創設者退任に合わせ実施し、欧州・米国・日本人研究者による発表を行い、米国患者会の国際連携を深めた。
8. 最も詳しい遺伝性疾患のレビュー; Gene Reviewの和訳: PMD(黒澤健司)、Alexander病(吉田誠克)。
H28年度概要;
1. Canavan病、Alexander病の診断基準の策定・改定を行った。
2. Canavan病の診断基準の学会承認を得た
3. Canavan病の重症度分類の策定・改定を行った。
4. 患者アンケート調査からクリニカルクエスチョンを策定し、分担担当者を決定し作成を開始。
5. 次世代シークエンス解析を組み込んだ遺伝性白質疾患診断に関して、日本全国からの問い合わせに対して、対応した。
6. 市民公開セミナーを平成28年7月に東京、同年11月に大阪と2回開催した
7. H28.遺伝性疾患のレビュー; Gene Reviewのリンクの承認をヘて、Pelizaeus―Merzbacker病(黒澤健司)ポータルサイトにリンクし、最新かつ最も詳しい情報を掲載した。
8. 臨床治験のための臨床尺度の評価を行った。
9. 先天性白質形成不全症治験準備中のオリゴジェン城戸常雄博士との連携(H29.2月PMDA事前面談を行った)
H29年度概要;
1. 重症度分類の学会での承認平成30年10月に承認を得てウエブ上に掲載した
2. 診療マニュアルがH29.12・25完成した。
3. 次世代遺伝子診断システムの構築と運営
保険診療としてのPLP1の塩基配列解析、次世代シークエンス解析を組み込んだ遺伝性白質疾患診断に関して、日本全国からの問い合わせに対して、対応。
4. 市民公開セミナーを2回実施した。
5. 治験に向けた協力。H29.セミナーに先立つ、午前中に臨床治験のための臨床尺度の評価を行った。

結論
H27年度は、学会の支援を受け、関連する政策研究事業、AMED班との連携のもと相談を開始した。診療ガイドラインの作成に関して、当該班研究の学会支援決定、診断基準、重症度分類の策定・改定は終了した。画像診断は、精神・神経センターのIBISSプラットフォームに統合し先進的疾患MRI画像データベースとのリンクを確立することに決定し進めた。
H28年度は、主として自然歴収集を行い患者会のアンケートより、診療ガイドラインのクリニカルクエスチョンを集め、決定した。
H29年度は、診療ガイドラインが完成し、ポータルサイトの英文化を進めた。3年間で、患者セミナー(市民公開セミナー)を継続し大阪と東京で合計6回開催し、企業に開発担当者の出席を得ており、当初目的とした、ネットワークの形成に近づいた。以上より本研究班は、遺伝性白質疾患の早期診断・治療体制確立による医療の均てん化と国内外治験研究基盤の形成に寄与した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201711006C

収支報告書

文献番号
201711006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,355,000円
(2)補助金確定額
7,355,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,750,644円
人件費・謝金 634,046円
旅費 1,359,995円
その他 1,063,300円
間接経費 1,697,000円
合計 7,504,985円

備考

備考
149,985円、自己負担したため

公開日・更新日

公開日
2019-03-19
更新日
-