難治性稀少部位子宮内膜症(肺・胸膜子宮内膜症、尿管・膀胱子宮内膜症、腸管子宮内膜症、臍子宮内膜症)の集学的治療のための分類・診断・治療ガイドライン作成

文献情報

文献番号
201711002A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性稀少部位子宮内膜症(肺・胸膜子宮内膜症、尿管・膀胱子宮内膜症、腸管子宮内膜症、臍子宮内膜症)の集学的治療のための分類・診断・治療ガイドライン作成
課題番号
H27-難治等(難)-一般-014
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
大須賀 穣(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 甲賀かをり(東京大学 医学部附属病院 )
  • 原田 省(鳥取大学 医学部附属病院)
  • 北脇 城(京都府立医科大学 附属病院)
  • 北出 真理(順天堂大学 医学部附属病院)
  • 楢原 久司(大分大学 医学部附属病院)
  • 片渕 秀隆(熊本大学 医学部附属病院)
  • 中島 淳(東京大学 医学部附属病院 )
  • 栗原 正利(日産玉川病院 )
  • 堀江 重郎(順天堂大学 医学部附属病院)
  • 吉村 浩太郎(自治医科大学 附属病院)
  • 田中 敏明(東京大学 医学部附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は肺・胸膜膀胱、膀胱・尿管、腸管、臍と多臓器における稀少部位子宮内膜症を包括的に研究する点が独創的である。すなわち、産婦人科、泌尿器科、消化器外科、呼吸器外科、形成外科が協力しながら各学会の援助を得て、総合的で長期間にわたる実態調査を本邦で初めて実施する特色を有する。難治性の疼痛、気胸、イレウス、出血、不妊など女性のQOLを著しく低下させる本疾患に対し、内科的ならびに外科的な治療を集学的に行い、女性の健康を支援する包括的ガイドライン作成を目的としている。
研究方法
肺・胸膜子宮内膜症、膀胱・尿管子宮内膜症、腸管子宮内膜症、臍子宮内膜症の本邦における症例数、症例の背景、診断と病型、外科的および内科的治療と予後に関する網羅的全国的調査を行うため、患者の受診する産婦人科(大須賀、甲賀、原田、北脇、北出、楢原、片渕)、呼吸器外科(中島淳・栗原正利)、泌尿器科(堀江重郎)、消化器外科(渡邉聡明)、形成外科(吉村浩太郎)のエキスパートによる合同研究組織とした。各疾患に疾患担当者を配置し、研究総括者のもと研究を進める。疾患担当者としては該当臓器の診療科のエキスパートと産婦人科として各疾患に詳しい専門家が協力して調査を進める体制となっている。まず、日本における稀少部位子宮内膜症診療の現状の把握のために、1次アンケートとして全国の産婦人科、消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、形成外科の施設に2006年~2016年の間に経験した稀少部位子宮内膜症症例の有無について調査した。経験した施設には、2次アンケートとして各症例についての調査を行った。
 また、ガイドライン作成については、稀少部位子宮内膜症に関するクリニカルクエスチョン、検索式を決定したうえで医学図書館協会に文献検索を依頼し、得られた文献についてのシステマティックレビューを行い、推奨文案の作成を行った。会議にて推奨度を決定し、ガイドラインのドラフトを作成の上、パブリックコメントを募集し、エンドメトリオーシス学会、日本産科婦人科学会の査読を受けた。
結果と考察
2次アンケートの調査結果としては、腸管子宮内膜症は、672症例(産婦人科405例、消化器外科267例)、膀胱・尿管子宮内膜症は、203例(産婦人科156例、泌尿器科47例)、胸腔子宮内膜症は、495例(産婦人科185例、呼吸器外科310例)、臍子宮内膜症は、110例(産婦人科88例、形成外科22例)の報告があった。総数1480例もの症例の報告が得られた。また、稀少部位子宮内膜症からの悪性化症例の報告も一次アンケートの時点で、腸管子宮内膜症の悪性化症例が25例、膀胱・尿管子宮内膜症の悪性化症例が9例、臍子宮内膜症の悪性化症例が4例であった。現在、得られたそれぞれの稀少部位子宮内膜症のデータを解析している。特に、腸管子宮内膜症の部位における症状の違い、膀胱、尿管子宮内膜症の発症部位に関する知見、胸腔子宮内膜症の発症の左右差や、卵巣子宮内膜症の合併に関する知見など様々な知見が得られた。さらに、ガイドライン作成については、稀少部位子宮内膜症に関するクリニカルクエスチョン、検索式を決定したうえで医学図書館協会に文献検索を依頼し、得られた文献についてのシステマティックレビューを行い、推奨文を作成した。会議にて推奨度を決定し、ガイドラインのドラフトを作成の上、パブリックコメントを募集し、エンドメトリオーシス学会、日本産科婦人科学会の査読を受けた。
稀少部位子宮内膜症の診療ガイドラインは、平成30年の秋頃の出版を目標としている。
結論
 本研究で、本邦における稀少部位子宮内膜症の診療状況が明らかになったとともに、システマティックレビューにより、稀少部位子宮内膜症の診療ガイドラインを作成した。
 多診療科横断的に研究班を組むことで、診療ガイドラインを作成するうえで効果的な議論を尽くすことができた。
稀少部位子宮内膜症のガイドライン作成に向けた行程は確実に進捗しており、稀少部位子宮内膜症のガイドラインの作成はほぼ完了し、平成30年11月頃の刊行に向けて準備中である。また、全国調査で得られた知見は、世界的にも類を見ないデータの蓄積であり、論文報告をするとともに、実際の診療での早期診断にも有用であると考えられ、特に各診療科やハイボリュームセンターだけでなく、primary careを担う総合診療医や診療所などの医師の段階での早期発見に役立てることができると考えられる。現在、臍部子宮内膜症の結果をまとめ、論文投稿中である。腸管、胸腔、膀胱・尿管子宮内膜症については、現在投稿準備中である。産婦人科だけでなく、診療科横断的に稀少部位子宮内膜症に対峙することで、この疾患で苦しむ患者にいち早く適切な治療を提供できるようになると考えている。

公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201711002B
報告書区分
総合
研究課題名
難治性稀少部位子宮内膜症(肺・胸膜子宮内膜症、尿管・膀胱子宮内膜症、腸管子宮内膜症、臍子宮内膜症)の集学的治療のための分類・診断・治療ガイドライン作成
課題番号
H27-難治等(難)-一般-014
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
大須賀 穣(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 甲賀かをり(東京大学 医学部附属病院 )
  • 原田 省(鳥取大学 医学部附属病院)
  • 北脇 城(京都府立医科大学 附属病院)
  • 北出 真理(順天堂大学 医学部附属病院)
  • 楢原 久司(大分大学 医学部附属病院)
  • 片渕 秀隆(熊本大学 医学部附属病院)
  • 中島 淳(東京大学 医学部附属病院 )
  • 栗原 正利(日産玉川病院 )
  • 堀江 重郎(順天堂大学 医学部附属病院)
  • 吉村 浩太郎(自治医科大学 附属病院)
  • 田中 敏明(東京大学 医学部附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は肺・胸膜膀胱、膀胱・尿管、腸管、臍と多臓器における稀少部位子宮内膜症を包括的に研究する点が独創的である。すなわち、産婦人科、泌尿器科、消化器外科、呼吸器外科、形成外科が協力しながら各学会の援助を得て、総合的で長期間にわたる実態調査を本邦で初めて実施する特色を有する。難治性の疼痛、気胸、イレウス、出血、不妊など女性のQOLを著しく低下させる本疾患に対し、内科的ならびに外科的な治療を集学的に行い、女性の健康を支援する包括的ガイドライン作成を目的としている。
研究方法
肺・胸膜子宮内膜症、膀胱・尿管子宮内膜症、腸管子宮内膜症、臍子宮内膜症の本邦における症例数、症例の背景、診断と病型、外科的および内科的治療と予後に関する網羅的全国的調査を行うため、患者の受診する産婦人科(大須賀、甲賀、原田、北脇、北出、楢原、片渕)、呼吸器外科(中島淳・栗原正利)、泌尿器科(堀江重郎)、消化器外科(渡邉聡明)、形成外科(吉村浩太郎)のエキスパートによる合同研究組織とした。各疾患に疾患担当者を配置し、研究総括者のもと研究を進める。疾患担当者としては該当臓器の診療科のエキスパートと産婦人科として各疾患に詳しい専門家が協力して調査を進める体制となっている。まず、日本における稀少部位子宮内膜症診療の現状の把握のために、1次アンケートとして全国の産婦人科、消化器外科、呼吸器外科、泌尿器科、形成外科の施設に2006年~2016年の間に経験した稀少部位子宮内膜症症例の有無について調査した。経験した施設には、2次アンケートとして各症例についての調査を行った。
 また、ガイドライン作成については、稀少部位子宮内膜症に関するクリニカルクエスチョン、検索式を決定したうえで医学図書館協会に文献検索を依頼し、得られた文献についてのシステマティックレビューを行い、推奨文案の作成を行った。会議にて推奨度を決定し、ガイドラインのドラフトを作成の上、パブリックコメントを募集し、エンドメトリオーシス学会、日本産科婦人科学会の査読を受けた。
結果と考察
2次アンケートの調査結果としては、腸管子宮内膜症は、672症例(産婦人科405例、消化器外科267例)、膀胱・尿管子宮内膜症は、203例(産婦人科156例、泌尿器科47例)、胸腔子宮内膜症は、495例(産婦人科185例、呼吸器外科310例)、臍子宮内膜症は、110例(産婦人科88例、形成外科22例)の報告があった。総数1480例もの症例の報告が得られた。また、稀少部位子宮内膜症からの悪性化症例の報告も一次アンケートの時点で、腸管子宮内膜症の悪性化症例が25例、膀胱・尿管子宮内膜症の悪性化症例が9例、臍子宮内膜症の悪性化症例が4例であった。現在、得られたそれぞれの稀少部位子宮内膜症のデータを解析している。特に、腸管子宮内膜症の部位における症状の違い、膀胱、尿管子宮内膜症の発症部位に関する知見、胸腔子宮内膜症の発症の左右差や、卵巣子宮内膜症の合併に関する知見など様々な知見が得られた。さらに、ガイドライン作成については、稀少部位子宮内膜症に関するクリニカルクエスチョン、検索式を決定したうえで医学図書館協会に文献検索を依頼し、得られた文献についてのシステマティックレビューを行い、推奨文を作成した。会議にて推奨度を決定し、ガイドラインのドラフトを作成の上、パブリックコメントを募集し、エンドメトリオーシス学会、日本産科婦人科学会の査読を受けた。
稀少部位子宮内膜症の診療ガイドラインは、平成30年の秋頃の出版を目標としている。
結論
 本研究で、本邦における稀少部位子宮内膜症の診療状況が明らかになったとともに、システマティックレビューにより、稀少部位子宮内膜症の診療ガイドラインを作成した。
 多診療科横断的に研究班を組むことで、診療ガイドラインを作成するうえで効果的な議論を尽くすことができた。
稀少部位子宮内膜症のガイドライン作成に向けた行程は確実に進捗しており、稀少部位子宮内膜症のガイドラインの作成はほぼ完了し、平成30年11月頃の刊行に向けて準備中である。また、全国調査で得られた知見は、世界的にも類を見ないデータの蓄積であり、論文報告をするとともに、実際の診療での早期診断にも有用であると考えられ、特に各診療科やハイボリュームセンターだけでなく、primary careを担う総合診療医や診療所などの医師の段階での早期発見に役立てることができると考えられる。現在、臍部子宮内膜症の結果をまとめ、論文投稿中である。腸管、胸腔、膀胱・尿管子宮内膜症については、現在投稿準備中である。産婦人科だけでなく、診療科横断的に稀少部位子宮内膜症に対峙することで、この疾患で苦しむ患者にいち早く適切な治療を提供できるようになると考えている。

公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201711002C

収支報告書

文献番号
201711002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,840,000円
(2)補助金確定額
8,840,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,747,093円
人件費・謝金 0円
旅費 1,578,820円
その他 474,087円
間接経費 2,040,000円
合計 8,840,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-03-25
更新日
-