食品の試験・分析の信頼性確保に関する調査研究

文献情報

文献番号
199800610A
報告書区分
総括
研究課題名
食品の試験・分析の信頼性確保に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
柳沢 健一郎(財団法人食品薬品安全センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 宏(財団法人食品薬品安全センター秦野研究所)
  • 内山貞夫(財団法人食品薬品安全センター秦野研究所)
  • 大隅 昇(文部省統計数理研究所)
  • 松田りえ子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品衛生検査施設の GLP規制が実施され、検査結果の信頼性確保のための検査体制の充実と精度管理の徹底が求められている。本研究では、わが国の食品の検査分析の信頼性確保に関して行われる外部精度管理調査の実施に必要である諸問題について検討することを目的として行った。まず、調査結果の評価のための各種の統計学的手法の検討、つぎに検査方法と評価指標の再吟味、また検査のための適正な試薬や標準品の確保をいかにすべきかの検討、精度管理調査試料の作製方法の検討を行い、さらに精度管理調査作業の効率化についての検討を行った。
研究方法
(1) 精度管理の統計的解析方法について、評価方法を検証し新たな統計処理方法を探った。(2) 食品衛生検査方法の管理状況について、検査機関を対象としたアンケート調査を行い、検査方法の精度管理の実態を調査した。(3) 適正な試薬・標準品の確保と供給のためのリファレンスセンタ-の実現性を調査した。(4) 精度管理調査用試料の作製方法について、理化学的検査及び微生物検査のための試料を種々の方法で作製して検査データを求め、均質性及び目的物質の安定性の確保と実際の食品形態に近い検体の作製方法を検討した。(5) 外部精度管理調査機関と検査機関の間の連絡(試料の送付、デ-タ授受を含む)の正確性と評価の効率化のため、電子媒体による連絡の検討を行った。
結果と考察
(1) 現在の外部精度管理調査における統計解析・評価方法の検討を理論的に行い、具体的にはスルファジミジンの調査データを用いて問題点を指摘した。(2) 検査機関の検査方法の管理に関するアンケート調査を行って、分析法バリデーションと内部性だ管理の実態と問題点を明らかにした。(3)精度管理業務に必要な適正な試薬・標準品の供給体制の必要性が認められた。また、提供されている標準品について純度の調査を行ったところ、やや純度の低いものが認められ、この点の管理体制の整備も必要と考えられた。(4) 食品衛生外部精度管理調査において用いる共通試料の作製に関する検討を行い、実際の食材に近い試料として使用できるものを探索した。問題解決のための具体的着想も得たが、なお検討が必要である。(5) 調査機関と検査機関の連絡およびデータ転送に電子媒体を用いる方法を試み、モデル連絡調査を行って実用化できる可能性の高いことを認めた。
結論
食品衛生検査のデータは正確で信頼性の高いものでなければならないが、検査の精度管理を行うにあたっては、調査試料の適格性の問題のほか、調査法、統計解析法、結果の評価法とくに評価の基準にも問題が残っており、検査法自体にも検討の必要がある。さらに、標準物質の供給体制も整備されなければならない。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-