文献情報
文献番号
201709017A
報告書区分
総括
研究課題名
今後の糖尿病対策と医療提供体制の整備のための研究
課題番号
H29-循環器等-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 柏原 直樹(川崎医科大学 医学部)
- 小室 一成(東京大学 医学部附属病院)
- 小椋 祐一郎(名古屋市立大学 大学院医学研究科)
- 大杉 満(国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター)
- 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部)
- 東 尚弘(国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 腎臓内科)
- 野出 孝一(佐賀大学 医学部)
- 村田 敏規(信州大学 学術研究院医学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
9,793,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病は健康日本21(第二次)に定められた主要な生活習慣病の1つであり、生活習慣病の重症化予防のために大規模データを利用する取り組みや、糖尿病の重症化予防事業などの好事例を横展開することは健康・医療戦略(平成26年)でも重視されている。5疾病・5事業及び在宅医療の医療供給体制のなかでも糖尿病は重点疾患として扱われており、今後は特に発症予防・重症化予防に重点をおいて事業が継続させる見込みである。今までも糖尿病対策事業や疫学研究などは行われてきたが、実施主体や研究費拠出元の違う類似の案件が複数ある場合や、異なる学術団体の作成するガイドラインに齟齬がある場合があるなど、俯瞰できる形で状況が整理されていない。そこで本研究では、今までの糖尿病対策事業、ガイドラインなどの網羅的検討や比較対象を行い、関連学会の代表者が集う場で解決策を策定する。また、NDB/DPCデータベースを用いて日本全体における糖尿病及び合併症の実態把握を行い、特に糖尿病性腎症や糖尿病網膜症の重症化予防における課題を抽出し、解決策を検討する。さらに、既存の国民健康・栄養調査を用いた解析が年度途中から追加となり、糖尿病の有病者率の推移の規定要因を探索し、今後の予防対策に反映させることを検討する。
研究方法
【糖尿病関連のガイドラインの比較検討と学会横断的な診療手引き作成】、【既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】、【糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】、【糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】、【各種団体が制定している療養士等制度の調整】の5つのテーマにわけ、研究を推進した。今年度は、全体班会議2回、各学会から推薦された実務担当者との会議6回、都道府県・市役所の糖尿病対策行政官へのヒアリング5回、各療養指導士等制度の担当責任者にヒアリング5回、関係学会・研究者へのアンケート調査、47都道府県への糖尿病対策についてのアンケート調査等を行い、調査結果に基づき議論を行なった。
結果と考察
【1.糖尿病関連のガイドラインの比較検討と学会横断的な診療手引き作成】
糖尿病患者が適切な質の医療を受けられるように“かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準”“かかりつけ医から糖尿病専門医・専門機関への紹介基準”の作成に貢献した。
【2.既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】
既存の行政主導の糖尿病対策事業として、厚生労働省における糖尿病対策事業をとりまとめた。また都道府県の事業を把握するため、47都道府県へアンケート調査票を発出した。糖尿病関連の研究は、厚生労働科学研究費補助金の中においても研究事業が多岐に渡っている状況であった。
【3.糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】
NDB特別抽出データにて、3か月以上の間を空けずに糖尿病の投薬(注射薬・内服薬)があった者に限ると約500万人程度であるという結果であった。
国民健康・栄養調査のデータ等を基に、最近の糖尿病有病率の推移の中で最も増減の幅が大きい平成19年度と平成28年度の2時点にて糖尿病有病率及びHbA1c値に影響を与える因子を探索した。各年度の糖尿病の有病率の規定要因としてBMIが考えられたが、他の要因を含めて有病率の推移を説明する指標とは考えにくく、さらなる検証が必要と考えられた。
【4.糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】
4つの都道府県と1つの市町村へ訪問し糖尿病対策行政官にヒアリングを行い、都道府県における糖尿病対策の指標は健康増進計画の指標が主であること、糖尿病対策に特化した部署は無く複数の部署が所管している状況であった。
【5.各種団体が制定している療養士等制度の調整】
本研究が取扱う生活習慣病の診療に関わる療養指導士等制度として“日本糖尿病療養指導士”“高血圧・循環器病予防療養指導士”“腎臓病療養指導士”“生活習慣病改善指導士”の4つの療養指導士等制度とし各制度担当責任者にヒアリングを行い、制度についてとりまとめた。
糖尿病患者が適切な質の医療を受けられるように“かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準”“かかりつけ医から糖尿病専門医・専門機関への紹介基準”の作成に貢献した。
【2.既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】
既存の行政主導の糖尿病対策事業として、厚生労働省における糖尿病対策事業をとりまとめた。また都道府県の事業を把握するため、47都道府県へアンケート調査票を発出した。糖尿病関連の研究は、厚生労働科学研究費補助金の中においても研究事業が多岐に渡っている状況であった。
【3.糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】
NDB特別抽出データにて、3か月以上の間を空けずに糖尿病の投薬(注射薬・内服薬)があった者に限ると約500万人程度であるという結果であった。
国民健康・栄養調査のデータ等を基に、最近の糖尿病有病率の推移の中で最も増減の幅が大きい平成19年度と平成28年度の2時点にて糖尿病有病率及びHbA1c値に影響を与える因子を探索した。各年度の糖尿病の有病率の規定要因としてBMIが考えられたが、他の要因を含めて有病率の推移を説明する指標とは考えにくく、さらなる検証が必要と考えられた。
【4.糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】
4つの都道府県と1つの市町村へ訪問し糖尿病対策行政官にヒアリングを行い、都道府県における糖尿病対策の指標は健康増進計画の指標が主であること、糖尿病対策に特化した部署は無く複数の部署が所管している状況であった。
【5.各種団体が制定している療養士等制度の調整】
本研究が取扱う生活習慣病の診療に関わる療養指導士等制度として“日本糖尿病療養指導士”“高血圧・循環器病予防療養指導士”“腎臓病療養指導士”“生活習慣病改善指導士”の4つの療養指導士等制度とし各制度担当責任者にヒアリングを行い、制度についてとりまとめた。
結論
【糖尿病関連のガイドラインの比較検討と学会横断的な診療手引き作成】、【既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】、【糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】、【糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】、【各種団体が制定している療養士等制度の調整】の5つのテーマをわけ、研究を推進した。本年度は厚生労働省主催の腎疾患対策検討会において報告された“かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準”と“かかりつけ医から糖尿病専門医・専門医療機関への紹介基準”の作成に特に貢献した。来年度も5つのテーマを進めることで、我が国の糖尿病対策の医療政策に資する成果を目指す。
公開日・更新日
公開日
2018-07-05
更新日
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