文献情報
文献番号
201708030A
報告書区分
総括
研究課題名
環境要因・遺伝要因との統合解析による肺がん罹患リスクの検証と能動・受動喫煙に関する行動変容に資するエビデンスの構築
課題番号
H29-がん対策-一般-025
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
河野 隆志(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所 ゲノム生物学研究分野)
研究分担者(所属機関)
- 白石 航也(国立研究開発法人国立がん研究センター 研究所 ゲノム生物学研究分野 )
- 松尾 恵太郎(愛知県がんセンター 研究所 遺伝子医療研究部)
- 伊藤 秀美(愛知県がんセンター 研究所 遺伝子医療研究部)
- 松田 文彦(京都大学大学院 医学研究科附属ゲノム医学センター)
- 久保 充明(理化学研究所 統合生命医科学研究センター)
- 醍醐 弥太郎(東京大学 医科学研究所附属病院抗体・ワクチンセンター)
- 島津 太一(国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究部)
- 片野田 耕太(国立がん研究センター がん対策情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
5,769,000円
研究者交替、所属機関変更
理化学研究所統合生命医科学研究センター・副センター長 久保充明先生から
理化学研究所生命医科学研究センター・チームリーダー 桃沢幸秀先生に変更になった。
国立がん研究センター社会と健康研究センター 予防研究部・研究員 アドリアン・シャルヴァ先生は退職に伴い、平成30年度より研究分担者から抜けられた。
研究報告書(概要版)
研究目的
肺発がんリスクにおいて能動・受動喫煙と交互作用する遺伝子座を検証・同定する。さらに国民に能動・受動喫煙に関する行動変容を促すためのエビデンスを得る。具体的には、①国内のコホート試料等を用いてリスクモデルを構築し、高危険度群における禁煙・受動喫煙回避によるリスク低減の効果を示す。②高危険度群発症者のがんゲノムに蓄積する喫煙関連変異負荷を示すことで、能動・受動喫煙による発がんのエビデンスを生物学的に明確化する。
研究方法
生活環境因子(喫煙、受動喫煙など)と交互作用する遺伝素因を同定することを目的に、多施設共同研究からなる大規模な検出・検証研究を行い、超高リスク群を予測するモデルの構築を行うとともに、コホート・検診データを用いたモデルの精度評価などを行う。またモデリングには、全国がん登録などの公的データベースの情報(組織型分布など)も用いる。最終的には遺伝素因と喫煙等の生活習慣情報を組み合わせることによる肺がんの超高危険度群捕捉手法を確立する。そして、当該高危険群において、能動・受動喫煙回避によるリスク低減、がんゲノムに刻まれている喫煙変異シグネチャーが認められるかどうかを検討する。
結果と考察
各施設(理研/東大、国がんセ、京大/愛知県がんセ)で保有している既存のSNPデータを用いて、遺伝集団構造化の有無の検討し、構造化がないことを確認した。さらにこれらの集団に対して喫煙量と交互作用の検討を行った。さらにSNP dataを元に1000Genomesをレファレンスとした全ゲノムインピュテーションを行った。次年度以降にゲノム網羅的な関連解析を実施し、検証研究を用いて新規感受性遺伝子座を同定する予定である。またがん組織中で認められる体細胞変異シグネチャーと遺伝素因との関連の検討を行うため、国立がん研究センター中央病院で肺腺がんと診断された約1500例の受動喫煙の情報を統合し、内外科的手術を受けかつバイオバンクにて凍結組織が保存されていた症例を48例抽出した。来年度以降に全エクソンシークエンスを実施し、体細胞変異シグネチャーを同定する予定である。
結論
研究は順調に推移しており、本年度は来年度以降の本解析に必要な環境整備を整えた。
公開日・更新日
公開日
2018-07-05
更新日
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