がんと診断された時からの緩和ケアの推進に関する研究

文献情報

文献番号
201708027A
報告書区分
総括
研究課題名
がんと診断された時からの緩和ケアの推進に関する研究
課題番号
H29-がん対策-一般-022
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 学(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院)
  • 恒藤 暁(京都大学 医学研究科 )
  • 清水 千佳子(国立がん研究センター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,597,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.我が国における「がんと診断された時からの緩和ケア」の実態を明らかにすること、2.我が国に根ざした診断時からの緩和ケアに関する評価指標の探索すること、3.診断時からの緩和ケアの阻害・促進因子の同定に向けた調査の基盤を構築すること。
研究方法
1.我が国における診断時からの緩和ケアの実態についての調査と、2.診断時からの緩和ケアの評価指標の探索についての調査は連結させ、全国のがん診療連携拠点病院(以下、拠点病院)とがん治療を行う拠点病院以外の病院(以下、非拠点病院)を対象に、郵送法による調査を行った。3.については、学術的文脈における「オンコロジーと緩和ケアの連携」の阻害・促進因子の系統的レビューを実施中である。
結果と考察
1.地域がん診療病院を除く拠点病院群は399施設、地域がん診療病院は34施設、非拠点病院群は478施設に調査票が郵送され、それぞれ269施設(67%)、22施設(65%)、259施設(54%)から返送が得られた。主に拠点病院で診断時からの緩和ケアの提供体制の整備が進んでいることが示された。同時に様々な課題も浮かび上がり、例えば入院環境と比較して、外来環境での診断時からの緩和ケアの体制整備が進んでいないことが示された。また、非拠点病院・地域がん診療病院ともに、緩和ケアそのものを提供する体制が十分ではないことが示された。多くの施設で(診断)早期からの緩和ケアは患者にとって有益であり、不採算だとは考えていなかった。半数強の施設で向こう5年以内に、緩和ケアチームへの早期受診を促す取り組みを行う予定であったが、病院全体のバランスとして、緩和ケアに人員を割くことは難しいと多くの施設で考えられており、過半数の施設で緩和ケアに対応する医師・看護師・精神的サポートを行う職種の増員を予定していなかった。2.拠点病院の指定要件にも含まれる、緩和ケア部門の専従スタッフや症状緩和マニュアルの策定、症状スクリーニング等が拠点病院を中心に整備が進んでいる結果が得られ、「がんと診断されたときからの緩和ケア」を評価する指標として本指標が有望であることが示唆された。3.については、66件の文献が全文精査の対象となり、質的解析を実施中である。
結論
我が国における診断時からの緩和ケアの推進において、緩和ケア外来の充実などの課題が同定された。また、非拠点病院等では、緩和ケアそのものの提供体制の整備が十分進んでいない可能性が示唆された。限られた医療資源の中で、いかに診断時からの緩和ケアを充実させていくかが重要な課題であり、今後、診断時からの緩和ケアにおける現場レベルでの阻害・促進因子に関する調査を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201708027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,675,000円
(2)補助金確定額
4,675,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,154,013円
人件費・謝金 0円
旅費 244,920円
その他 2,198,067円
間接経費 1,078,000円
合計 4,675,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-12-27
更新日
-