がん対策の進捗管理のための指標と測定の継続的な発展に向けた研究

文献情報

文献番号
201708025A
報告書区分
総括
研究課題名
がん対策の進捗管理のための指標と測定の継続的な発展に向けた研究
課題番号
H29-がん対策-一般-020
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
東 尚弘(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センターがん登録センター)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 ゆり(大阪国際がんセンターがん対策センター 疫学統計部)
  • 小川 千登世(国立がん研究センター 中央病院 小児腫瘍科)
  • 樋田 勉(獨協大学経済学部)
  • 助友 裕子(日本女子体育大学・ヘルスプロモーション)
  • 増田 昌人(琉球大学医学部附属病院がんセンター)
  • 松坂 方士(弘前大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 若尾 文彦(国立がん研究センターがん対策情報センター)
  • 高山 智子(国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報提供部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
14,378,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、がん対策推進基本計画の進捗評価とその結果に基づくがん対策の継続的改善を推進するため、知見の集積と調査の試行などの必要な研究を行うことを目的とし、指標の見直し、未測定指標の測定、今後の改善を目標とした活動を行った。
研究方法
これまで使用された指標のうち特に問題となったのは、経済的負担を測定する指標と社会的な孤立を測定する指標であった。前者はこれまで費用負担が原因で治療が変更されたかどうか、という質問で表してきたが、「変更された」という回答は2.8%であり、保険医療内では0.68%と非常に低い状況であった。しかし、経済的な負担により治療が変更されるのは最終段階であり、細かい調整が入る可能性があることや大きく生活が影響されるとこともあるとの指摘があり見直しが必要とされた。また、社会的な孤立を測定するために「余計な気を使われていないか」という質問が作られたが、それは限られた側面でしかないといった指摘が入り見直しが必要となった。これらの指標については、がん患者の問題点を日常的に良く扱う立場にあるがん専門相談支援員のフォーカスグループを行うことでより適切な質問項目に関する洗い出しを行い、代表的なものを整理することで策定した。
結果と考察
以上の考慮からがん専門相談員11名に対してフォーカス・グループ・インタビューを実施し、経済的困窮と患者が孤立する状態の2つの問題に関して、その程度を反映する事実の洗い出しやそれに基づく項目を検討した。その結果、経済的困窮があると感じられる事例や状況には、保険の状況によって影響されること、また、生活上の切り詰めや工夫として貯金や食費、治療を変更しないまでも途中で適宜省略する、未払い金が発生するといった影響が指摘された。また孤立する状態と感じられる事例については、周囲に話すことができないなどの要素があげられた。未測定指標・未測定対象患者への測定、小児がんの患者体験調査については、前回の患者体験調査は調査時の成年を対象とした調査を行ったが、小児については倫理的な問題が慎重にならざるを得ないことや、年齢別に質問紙の説明の構成や回答者の想定および郵送の仕方などについても調整が必要であると指摘されたことから見送られた。そのため研究班で適切な質問を策定し、パイロット調査を行うことで今後の患者体験調査の基礎とすることとした。本年度はその患者体験調査を小児版に編集していくことでその予備的検討を行った。まずは小児がんのサンプルをどのように収集するのかの検討から始め、質問の想定回答者、内容についても検討を行った。小児がん、院内がん登録(国指定がん診療連携拠点病院434施設+小児がん拠点病院15施設)から、小児がん(20歳未満)の患者を全数対象として抽出する方向とし、技術的に可能であれば全数調査をする方向で検討を行った。院内がん登録だけでは小児専門病院が数施設入っていない問題があるものの、がん登録なしでは正確なサンプル対象が得られないことから院内がん登録という明確なサンプルフレームを優先した。がん教育についても指標としては学校の児童に対して、がんに関する知識レベルを問う検討を行ったものの、学校への調査が被調査者の負担になるとの懸念から見送られた経緯がある。そこで、がん教育指標のモニタリング方法を検討し全国値に準じた推計値を算出することを目指すと共にがん教育の推進等進捗管理の方法を検討することを目的として、文部科学省担当者へのヒアリングにおいて、また、モデル県で行われた効果の調査の様式の検討とモデル県などの教育担当者の困りごとの分析を参加型アクションリサーチという形で実施した。都道府県におけるがん対策進捗評価との連携について、都道府県も本年がん対策推進計画を策定する年にあたっており、青森県、大阪府、沖縄県の様子を連携して検討した。いずれの県においても、都道府県のがん対策推進計画を検討するにあたり国のがん対策推進基本計画の目標として、死亡率減少の数値目標が削除されたことは大きな波紋をもたらしていた。都道府県は独自に目標値を定めるかどうかを迫られることとなり、当研究班で連携を想定している青森、大阪府、沖縄県においては、県第三次がん対策推進計で死亡率減少を6年後を目標に数値目標を入れることとした。
結論
本年は3年計画の1年目として様々な準備的な調査や解析・検討が行われた。次年度は患者体験調査を行うことが予定されており、そのために本年の検討事項を反映させていく。

公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201708025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,691,000円
(2)補助金確定額
17,764,000円
差引額 [(1)-(2)]
927,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,239,007円
人件費・謝金 1,830,646円
旅費 2,476,397円
その他 905,179円
間接経費 4,313,000円
合計 17,764,229円

備考

備考
申請時に予定していたインターネット調査のサイト構築等がまだ具体化していないため、委託費予算90万円分が余った。(自己資金228円、預金利息1円)

公開日・更新日

公開日
2019-02-20
更新日
-