小児甲状腺がんにおける情報提供と相談支援の体制構築のための研究

文献情報

文献番号
201708011A
報告書区分
総括
研究課題名
小児甲状腺がんにおける情報提供と相談支援の体制構築のための研究
課題番号
H29-がん対策-一般-006
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 眞一(公立大学法人福島県立医科大学 医学部甲状腺内分泌学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岩舘 学(公立大学法人福島県立医科大学 医学部甲状腺内分泌学講座)
  • 鈴木 聡(公立大学法人福島県立医科大学 医学部甲状腺内分泌学講座)
  • 鈴木 悟(公立大学法人福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター)
  • 志村 浩己(公立大学法人福島県立医科大学 臨床検査医学講座)
  • 山下 俊一(長崎大学原研医療放射線災害医療学研究分野)
  • 光武 範吏(長崎大学原研医療放射線災害医療学研究分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,714,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児甲状腺がんの標準的な診断・治療法は現段階では成人の甲状腺癌の診断治療指針に準じているのが実情である。一方、診断のための検査や治療法に関しては年齢を含めた患者背景が情報提供や相談支援に関わってくる。現在おこなわれている福島県民健康管理調査による甲状腺検査により小児甲状腺癌の生物学的特性が明らかにされつつあるが、医療技術の飛躍的な進歩により早期発見が可能となった現在、非侵襲的あるいは侵襲的診断の適応、手術を含めた治療の適応を議論すべきであり、個々の症例に適した対応が必要である。以上の課題を解決するため、本研究班では小児甲状腺癌に関する情報提供と相談支援の体制を構築し、研究で得られた情報をもとに診断治療指針を作成する事とした。
研究方法
1)福島県立医科大学における小児甲状腺癌手術症例の検討 2011年10月以降に甲状腺検査が開始されたが、現在まで手術施行された125例について臨床病期分類、病理組織診断、手術術式、遺伝子変異解析をおこなった。2)情報提供・相談支援 一般市民を対象とした市民公開講座を開催した。3)診断治療指針の作成 小児甲状腺癌診断・治療ガイドラインを作成するにあたり、診断編と治療編の編者を定め、CQを作成した。
結果と考察
1)福島県立医科大学における小児甲状腺癌手術症例の検討 福島県立医科大学で手術施行された125例を解析した。術後病理診断は123例(98.6%)が乳頭癌、1例が低分化癌、1例が分類不能とされた特殊型であった。遺伝子変異解析は63症例に対して施行され、BRAF(V600E)変異が43例(63.2%)であった。2)情報提供・相談支援 2017年10月26、27日に第50回日本甲状腺外科学会総会(主催:福島県立医科大学 甲状腺内分泌学講座 鈴木眞一)を福島市で主催し、会長講演として鈴木眞一が「甲状腺外科医が経験した原発事故後の小児甲状腺癌について」を発表した。さらに、シンポジウムとして検診発見での甲状腺癌の扱いをテーマとして取り上げ、鈴木眞一が「検診発見での甲状腺癌の取り扱い 手術適応」を志村浩己が「甲状腺超音波検査で発見される微小癌の取扱い」を発表した。また、第50回日本甲状腺外科学会総会主催でおこなった市民公開講座in福島では司会を山下俊一と鈴木眞一が務め、「甲状腺のはたらきと病気について」「甲状腺がんの手術について」「チェルノブイリ原発事故と甲状腺がんについて」「甲状腺の画像診断と放射線治療(福島医大ではなにができるか)」の演題を4人の演者で構成した。3)診断治療指針の作成 小児甲状腺癌診断・治療ガイドラインとして、診断編と治療編の二つを構成した。診断編は、1)健常小児若年者の甲状腺(解剖など)、2)小児若年における甲状腺結節・がんの疫学的事項、3)先天性異常に伴う甲状腺腫、片葉欠損など、4)甲状腺結節・がんの臨床像(症状や理学所見、転移など)、5)小児甲状腺結節の病理、6)診断の進め方、7)診断のための検査、8)精査基準、9)Cancer survivorのための精査基準、10)その他の検査 の10項目を選定し、それぞれにおいてCQを選定した。治療編では、1)甲状腺良性腫瘍、2)甲状腺悪性腫瘍の2項目を選定し、それぞれにおいてCQを選定した。
結論
本年度は福島県立医科大学の症例を中心に小児若年性甲状腺癌について解析した。さらに、専門家を交えたシンポジウムや情報提供を目的とした市民公開講座を開催した。小児甲状腺癌の情報提供と相談支援の体制構築のためには、国内および海外の知見の集約と専門家からの意見を集約した診断治療指針の作成が必要であり、今後も各学会と連携し、本研究班の活動を継続する予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-11-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-11-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201708011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,127,000円
(2)補助金確定額
5,709,000円
差引額 [(1)-(2)]
418,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,910,951円
人件費・謝金 0円
旅費 1,169,050円
その他 216,438円
間接経費 1,413,000円
合計 5,709,439円

備考

備考
自己資金:439円

公開日・更新日

公開日
2018-11-28
更新日
-