文献情報
文献番号
201708010A
報告書区分
総括
研究課題名
将来に亘って持続可能ながん情報提供と相談支援の体制の確立に関する研究
課題番号
H29-がん対策-一般-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
高山 智子(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供部)
研究分担者(所属機関)
- 藤原 俊義(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・消化器外科学)
- 近藤 俊輔(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 先端医療科)
- 中島 信久(琉球大学医学部付属病院 地域医療部)
- 田村 和夫(福岡大学医学部総合医学研究センター)
- 奥村 晃子(公益財団法人 日本医療機能評価機構 EBM医療情報部)
- 若尾 文彦(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター)
- 西田 俊朗(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院)
- 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻健康情報学分野)
- 藤也寸志(国立病院機構九州がんセンター)
- 清水 奈緒美(神奈川県立がんセンター 看護局)
- 萩原 明人(九州大学・医学研究院)
- 森田 智視(京都大学大学院医学研究科医学統計生物情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,370,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
求められるがんの情報や支援の範囲は急速に広がり、誤った情報への誘導を避けるためにも、迅速・確実な情報提供体制が求められている。現在、がんに関する情報提供は、主に国立がん研究センター「がん情報サービス」により広範囲にわたるがんの情報提供が行われているが、限られる資源の中で、今後も標準治療から専門性の高い情報まで広がり続ける情報をどのように適切かつ正確、迅速に提供していくかは、喫緊の課題となっている。
同様に、複雑化し増え続けるがん患者らの相談支援ニーズに対応するために、持続可能で適切な相談支援体制の構築に向けて、エビデンスに基づくがん相談支援体制の確立が求められている。患者をはじめとする国民が信頼できるがん情報を迅速に享受でき、また、適切に活用できるようになるためには、持続可能ながんの情報提供と相談支援の体制は、両者がそれぞれ、また相互によりよく機能することが重要である。
そこで本研究では、将来に亘って持続可能ながん情報提供と相談支援の体制の確立に向けて、1)急速に多様化するがん情報ニーズに迅速かつ正確に対応するために“All Japan”でのがん情報提供体制のあり方を提言すること、2)がん診断早期からのがん相談支援の有効性の検証を行い、エビデンスを構築することの2つを目的として、初年度の検討を開始した。
同様に、複雑化し増え続けるがん患者らの相談支援ニーズに対応するために、持続可能で適切な相談支援体制の構築に向けて、エビデンスに基づくがん相談支援体制の確立が求められている。患者をはじめとする国民が信頼できるがん情報を迅速に享受でき、また、適切に活用できるようになるためには、持続可能ながんの情報提供と相談支援の体制は、両者がそれぞれ、また相互によりよく機能することが重要である。
そこで本研究では、将来に亘って持続可能ながん情報提供と相談支援の体制の確立に向けて、1)急速に多様化するがん情報ニーズに迅速かつ正確に対応するために“All Japan”でのがん情報提供体制のあり方を提言すること、2)がん診断早期からのがん相談支援の有効性の検証を行い、エビデンスを構築することの2つを目的として、初年度の検討を開始した。
研究方法
1)持続可能ながん情報提供体制の検討:(1)がんの情報提供体制のグランドデザインの作成とそのために必要な要素、(2)情報の(取捨)選択方針、(3)継続的な情報作成方法について検討を行った。2)がん相談支援の有効性の検証に関する検討:(1)調査・研究の全体枠組みの検討、(2)「がん相談体験スケール」の開発、(3)調整因子として測定する体験の2尺度の日本語訳版の作成を行い、研究計画書の作成を行った。
結果と考察
1)持続可能ながん情報提供体制の検討:関係学会を含む関係者で協議を行い、All Japanでの“持続可能な”一般向けのがんの情報提供の体制のグランドデザイン(案)を作成した。また限られたリソースの中で優先して作成すべき情報の選択方針や、継続的かつ迅速に情報作成を行うための情報の構造化とそれに沿った原稿作成の試行を行った。今回検討に加わった組織・団体は、前提として各組織や団体の成立の背景や役割があり、多くは、必ずしも十分なリソースがない中で、一般向けのがんの情報提供に関する課題を抱えていた。また、各組織や団体で収集・作成、提供できる情報には、情報作成や提供に対応できる資源に限界があることから、各組織や団体の強みや現在の状況に応じた、柔軟な役割をとることができるAll Japanでのがん情報の提供体制を目指すことが重要であると考えられた。また試行で作成された原稿は、情報の質を落とすことなく、従来と比較して短期間で作成できることが示唆された。
2)がん相談支援の有効性の検証に関する検討:全体の研究枠組みを設定し、測定および検証を行うための尺度開発として、日本の医療背景や文脈を踏まえてより繊細に測定するための「がん相談体験スケール」の開発に着手した。既存研究のがん相談支援センターを利用した相談者から語られた体験(自由回答の要素)は、利用者が、がん相談支援センターとしての役割や機能を実感しつつ、相談対応を受けた後の自身の認識等の変化を感じていることが示唆された。今後は、日本独自の要素があるのかの検討や利用者のQOLやQOCへのインパクトがあるのかについて検討を行うためにも、今回作成された「がん相談体験スケール」について信頼性・妥当性の検討等を経て項目の精査を行っていく必要がある。またその際に、よりがん相談支援センターを利用することで捉えられる変化する体験を取捨選択することで回答しやすいスケールにしていくことが重要であると考えられた。
2)がん相談支援の有効性の検証に関する検討:全体の研究枠組みを設定し、測定および検証を行うための尺度開発として、日本の医療背景や文脈を踏まえてより繊細に測定するための「がん相談体験スケール」の開発に着手した。既存研究のがん相談支援センターを利用した相談者から語られた体験(自由回答の要素)は、利用者が、がん相談支援センターとしての役割や機能を実感しつつ、相談対応を受けた後の自身の認識等の変化を感じていることが示唆された。今後は、日本独自の要素があるのかの検討や利用者のQOLやQOCへのインパクトがあるのかについて検討を行うためにも、今回作成された「がん相談体験スケール」について信頼性・妥当性の検討等を経て項目の精査を行っていく必要がある。またその際に、よりがん相談支援センターを利用することで捉えられる変化する体験を取捨選択することで回答しやすいスケールにしていくことが重要であると考えられた。
結論
1)持続可能ながん情報提供体制の検討:作成したグランドデザイン(案)をもとに、各組織や団体の強みを活かし、かつ、それぞれの組織や団体が連携を円滑に図ることができる体制を目指していくことが必要と考えられた。また初年度で検討を行った情報の取捨選択方針や継続的な情報作成方法として検討した構造化や専門性を活かした情報原稿作成が可能か、費用負担や作業負荷の側面も含め、これらの体制を具体的に検討し、実現可能な体制に近づけていくことが必要である。
2)がん相談支援の有効性の検証に関する検討:がん相談支援の有効性の検証を行うための全体の研究枠組みを設定すると共に、測定および検証を行うための尺度開発として、日本の医療背景や文脈を踏まえてより繊細に測定するための「がん相談体験スケール」の開発に着手した。今後、信頼性・妥当性の検討等を経て項目の精査を行い、より回答・活用しやすいスケールとしていくための検討が必要である。
2)がん相談支援の有効性の検証に関する検討:がん相談支援の有効性の検証を行うための全体の研究枠組みを設定すると共に、測定および検証を行うための尺度開発として、日本の医療背景や文脈を踏まえてより繊細に測定するための「がん相談体験スケール」の開発に着手した。今後、信頼性・妥当性の検討等を経て項目の精査を行い、より回答・活用しやすいスケールとしていくための検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2018-11-05
更新日
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