生活・療養環境による要望特性に応じたがん情報提供・相談支援体制の在り方:地域ニーズの検証と活性化人材の育成と普及

文献情報

文献番号
201708009A
報告書区分
総括
研究課題名
生活・療養環境による要望特性に応じたがん情報提供・相談支援体制の在り方:地域ニーズの検証と活性化人材の育成と普及
課題番号
H29-がん対策-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
西山 正彦(国立大学法人群馬大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 片渕 秀隆(国立大学法人熊本大学 大学院生命科学研究部)
  • 相羽 惠介(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 調 憲(国立大学法人群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 藤 也寸志(国立病院機構九州がんセンター)
  • 渡邊 清高(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,408,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活圏で異なる多様なニーズに対応し、求められるものへと正確につなぐ地域完結型情報提供・相談支援システムの確立を目指し、地域の情報提供・相談支援体制とこれを補強する人材養成プログラムを検証・支援し、地域ニーズの抽出に基づく相談支援・情報提供体制の在り方、これを効率化する人材の育成と介入モデル、療養を含めた地域情報づくりモデル等を提案する。
研究方法
本研究では、Work Package (A). 地域ニーズに基づく情報提供体制の在り方研究と、Work Package (B). 支援体制活性化人材の養成並びにその介入モデルの確立研究を並行し、ともに3年間で①各地方の支援体制の実態把握・実効性検証、②ニーズの抽出、③対応モデル・マニュアルの提案の3ステップを消化し、総括に結ぶ。初年度となる平成29年度には、Work Package (A)では、がん診療拠点病院の意識調査(2016年6月)や福岡県での相談支援センターの課題認識の検証に加え、がん医療ネットワークナビゲーターによるがん医療情報提供強化プロジェクト(H26-がん政策-一般-007)を先行展開した3県に、東京,神奈川の一部地域に大分を加えた1都5県を対象に、アンケートによる「がん患者さんとご家族向け支援の実態調査」を実施した。Work Package (B)では、情報提供・相談支援体制の活性化に資する人材の養成に関し、全国規模で組織的・継続的にこれを実施、検証している認定事業を調査するともに、日本癌治療学会のがん医療ネットワークナビゲーター制度を対象に、その普及・展開を支援した。また、その有効性検証のため、資格取得者の実態調査をアンケートにて行った。
結果と考察
現状の情報提供・相談支援体制の課題を統計等の客観情報の収集と関係者からの意見収集により検証・整理した。抽出された主な課題は、がん相談支援センターの極めて低い利用率,相談内容の多様化、相談支援・緩和ケア・セカンドオピニオン等の取り組みの地域間格差,科学的根拠に基づかないインターネットやSNSの情報の氾濫,就労・在宅支援等、多岐にわたった。また、地域ニーズに関しては、人口構成、地理的、文化的背景等により、相談内容と件数等明らかな差異が認められた。大都市圏では、その多様性が目立ち、情報提供・相談支援体制整備の先進県では、漠然とした不安等の相談内容が多く、高齢単身世帯の増加が著しい地域においても、過疎地域と都市部では相談内容が少しく異なり、後者では、意志決定代行者探し、財産分与等も含まれており、効果的な情報提供・相談支援の実施には、地域ニーズの抽出に基づく相談支援・情報提供体制の在り方、必要な人材の育成とその介入モデル、療養を含めた地域情報づくりモデルを策定する必要があることが示唆された。地域ニーズ抽出アンケート調査では、最終的に2,004施設へ送付を行い、763施設から回答を得た。調査データ入力・集計を修了し、現在、結果解析中である。情報提供・相談支援体制の活性化に資する人材の養成制度調査では条件に該当するものが見いだせず、次年度も調査を行うこととした。がん医療ネットワークナビゲーター制度の普及・展開の支援により、シニアナビゲーター36名、ナビゲーター45名が資格認定され、資格取得予備軍となるe-LEARNING受講者も299名まで増加した。また、その実態調査により、資格取得者が効率的に機能する体制構築が危急的課題であることが明らかとなった。
結論
平成29年度は、がんに関わる情報提供相談支援体制につき、各種報告等を検証し、現状の情報提供・相談支援体制の課題を整理し、先行研究実施地域(福岡、熊本、群馬)を中心に、情報提供・相談支援に関わる施設への聞き取り調査ならびに計1,991施設へのアンケートによる「がん患者さんとご家族向け支援の実態調査」を実施、人口構成、地理的、文化的背景、がん5年生存率の異なる地域のニーズを抽出した。また、情報・相談を求める患者・家族をがん診療連携拠点病院の相談支援センターやがん対策情報センターへとつなぐための新規人材養成制度(がん医療ネットワークナビゲーター制度)の構築を支援し、その全国展開を加速して、シニアナビゲーター36名、ナビゲーター36名が資格認定、資格取得予備軍となるe-LEARNING受講者を299名まで増加させた。実施した調査名いずれも探索的なもので、その精度・信頼度には限界はあるものの、生活圏で情報提供・相談支援へのニーズに特徴が認められた。患者の複雑で多様なニーズに対し、地域の経験や創意を取り入れ、多様な主体が役割分担の下に参加する地域完結型の情報提供、相談支援とそれに必要な人材育成体制の確立が急がれる。

公開日・更新日

公開日
2018-05-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-05-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201708009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,930,000円
(2)補助金確定額
10,930,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 150,000円
人件費・謝金 1,401,681円
旅費 836,750円
その他 6,019,569円
間接経費 2,522,000円
合計 10,930,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-01-09
更新日
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