文献情報
文献番号
201708004A
報告書区分
総括
研究課題名
研究者と自治体の協働による、がん検診受診率向上等、自分自身で健康を守るための国民の行動変容を促す方法の開発と評価
課題番号
H27-がん対策-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
山本 精一郎(国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター 保健社会学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 溝田 友里(国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター 保健社会学研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,193,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、研究者と自治体が協力し、国民が自分自身で健康を守るための行動変容を促す方法を開発することである。具体的には、すでに研究班が乳がん検診で実績を上げている方法を発展させることによって、胃、肺、大腸、子宮頸がん検診の受診率を向上させる方法を開発・評価し、全国の自治体に普及することにより、がん検診の受診率を向上させることを目的とする。同様の手法を用い、肝がんの予防・早期発見として、肝炎ウイルス検査受診率向上も目的とする。
研究方法
本研究はこれまで自治体との共同研究を実施しており、乳がん検診のリーフレットを開発し、個別勧奨・再勧奨を行い、受診率が向上した実績がある。本研究の目的は、この受診率向上手法を国の推奨する他のがん検診(胃、肺、大腸、子宮頸)や、肝炎ウイルス検査受診などに広げていくことである。
本研究は、次の流れに沿って進める。胃、肺、大腸、子宮頸がん検診と肝炎ウイルス検査について、
(1年目)ソーシャルマーケティングなど最近発展した行動科学の方法を用い、綿密な調査に基づいて受診の阻害・促進要因を明らかにし、それをもとに行動変容のための資材を開発する、
(2年目)開発した資材の効果検証として、受診率をエンドポイントに、従来の方法を比較対照群とした比較研究などの介入研究を協力自治体において実施する、
(3年目)研究班がこれまでに構築した都道府県がん対策担当者のネットワークや日本対がん協会などのネットワークを用いて全国への普及を行う。
(事業年度は目安であり、がん種ごとに順に取り組む)
本研究は、次の流れに沿って進める。胃、肺、大腸、子宮頸がん検診と肝炎ウイルス検査について、
(1年目)ソーシャルマーケティングなど最近発展した行動科学の方法を用い、綿密な調査に基づいて受診の阻害・促進要因を明らかにし、それをもとに行動変容のための資材を開発する、
(2年目)開発した資材の効果検証として、受診率をエンドポイントに、従来の方法を比較対照群とした比較研究などの介入研究を協力自治体において実施する、
(3年目)研究班がこれまでに構築した都道府県がん対策担当者のネットワークや日本対がん協会などのネットワークを用いて全国への普及を行う。
(事業年度は目安であり、がん種ごとに順に取り組む)
結果と考察
3年めとなる今年度は、受診率をエンドポイントに、28年度の研究班資材を利用した場合の受診率に対し、27年度に従来の方法を利用した場合の受診率を比較対照とした比較研究を協力自治体において実施した。今年度は、研究班の開発した資材を全国の市町村に広げることに重点を置いて研究を行った。
27年度には研究班資材を利用せず、28年度のみに研究班資材を用いた市区町村のうち、27年度との比較の報告があった44市区町村について、研究班資材をリコールに使った場合のリコール後の受診率に関する結果の解析を行ったところ、5つのがん種すべてにおいて、多くの市町村で受診率が向上した。しかしながら、前年度に引き続いて研究班資材を利用している市区町村や、前年度に比べ、受診率がもともと低い異なる集団(若年層など)に研究班資材を利用した市区町村では、必ずしも効果が見られない場合があり、新しい資材の開発、もしくは別の手法で受診率向上を目指す必要があることが分かった。
29年度は、研究班資材を全国に広げることに重点を置いた。全国展開については、研究計画が予定より早く進捗していたため、1年めである27年度から研究班の資材の普及を開始している。具体的には、本研究グループがこれまでに構築した都道府県がん対策担当者のネットワークや日本対がん協会のネットワークを用いて、資材の全国への普及を行った。また、全国の都道府県担当者や、いくつかの都道府県において、県・市町村担当者を対象にした資材利用を促すワークショップ・研修会を行った。また、作成した資材の利用法の紹介やがん検診受診率向上支援を行うウェブサイトを立ち上げ、資材や情報の提供を行った。また、本研究の成果は、本研究班が監修し、厚労省が27年度末に市区町村向けに作成して全国の市区町村に配布した「今すぐできる受診率向上施策ハンドブック」に利用され、資材の紹介を行っている。結果として、29年度は30都道府県の91市区町村に研究班の資材を普及することができた。
27年度には研究班資材を利用せず、28年度のみに研究班資材を用いた市区町村のうち、27年度との比較の報告があった44市区町村について、研究班資材をリコールに使った場合のリコール後の受診率に関する結果の解析を行ったところ、5つのがん種すべてにおいて、多くの市町村で受診率が向上した。しかしながら、前年度に引き続いて研究班資材を利用している市区町村や、前年度に比べ、受診率がもともと低い異なる集団(若年層など)に研究班資材を利用した市区町村では、必ずしも効果が見られない場合があり、新しい資材の開発、もしくは別の手法で受診率向上を目指す必要があることが分かった。
29年度は、研究班資材を全国に広げることに重点を置いた。全国展開については、研究計画が予定より早く進捗していたため、1年めである27年度から研究班の資材の普及を開始している。具体的には、本研究グループがこれまでに構築した都道府県がん対策担当者のネットワークや日本対がん協会のネットワークを用いて、資材の全国への普及を行った。また、全国の都道府県担当者や、いくつかの都道府県において、県・市町村担当者を対象にした資材利用を促すワークショップ・研修会を行った。また、作成した資材の利用法の紹介やがん検診受診率向上支援を行うウェブサイトを立ち上げ、資材や情報の提供を行った。また、本研究の成果は、本研究班が監修し、厚労省が27年度末に市区町村向けに作成して全国の市区町村に配布した「今すぐできる受診率向上施策ハンドブック」に利用され、資材の紹介を行っている。結果として、29年度は30都道府県の91市区町村に研究班の資材を普及することができた。
結論
この結果を利用し、今後もさらに多くの市区町村に効果的な利用方法とともに資材の普及に努めたい。
公開日・更新日
公開日
2018-08-03
更新日
-