地域包括緩和ケアプログラムを活用したがん医療における地域連携推進に関する研究

文献情報

文献番号
201708001A
報告書区分
総括
研究課題名
地域包括緩和ケアプログラムを活用したがん医療における地域連携推進に関する研究
課題番号
H27-がん対策-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 雅志(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん医療支援部)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
  • 木澤 義之(神戸大学医学部附属病院 緩和支持治療科)
  • 川越 正平(あおぞら診療所)
  • 福井 小紀子(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 山岸 暁美(慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室)
  • 吉田 沙蘭(東北大学 大学院教育学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,531,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん医療において、がん拠点病院等のがん治療施設と地域の在宅医療・介護との連携体制の構築が求められている。この課題の解決を目指し、本研究では、全国の各地域で、がん緩和ケアのネットワークを構築し、関係者間の連携・調整を担う人材として「地域緩和ケア連携調整員」を養成する研修プログラムの開発を目的とする。さらに、これらの人材を支援していく中央機能のあり方についても検討し、全国でがんの地域緩和ケアの提供体制の整備を進めていく包括的な方策を提示していくことを目指す。
研究方法
平成28年度受講者や専門家の意見から、より各地域の緩和ケア連携体制構築に即したプログラム開発を目指し、講義内容の検討追加を行い研修内容を再構築。これから地域緩和ケア連携体制を構築しようとする地域を想定したベーシックコース(がん診療拠点病院の地域移行に関わる医療従事者を対象)、地域緩和ケア連携体制はあるが課題を抱える地域を想定したアドバンスコース(がん診療拠点病院の地域移行に関わる医療従事者と、普段連携している地域の医療福祉従事者のチームを対象)の2コースの研修プログラムの開発した。また平成28年度実施の研修修了者を対象に、研修受講後の活動状況調査を行い、開発した養成プログラムを修了した者が其々の地域で地域緩和ケア連携調整員として有用な活動を実行できたかを質的に検証した。また地域緩和ケア連携調整員を支援する中央機能の検討を行い、研修受講生のフォローアップ方法の提案、HP等を通じた情報発信資材や在宅関連の医療者、地域の介護職に対するがん教育資材を作成。全研究期間において、がん治療を担う急性期病院と在宅医療を担う在宅医療・福祉関係者の連携の促進を図るため、全国のがん診療連携拠点病院が作成しているツール等について内容と運用方法の事例を集積し、情報を必要としている医療現場の担当者が活用できるよう提示することについて検討した。
結果と考察
地域緩和ケア連携連携構築の具体的な取り組みとして、顔の見える関係づくり・体制作り・地域づくりの3段階があることが明らかになった。地域緩和ケア連携調整員は、地域の中でこれらの段階が円滑に進むよう活動することが重要であることが明らかになった。地域緩和ケア連携調整員に求められる役割・知識を踏まえ開発された研修プログラムに加え、平成29年度では地域の連携構築の進み具合に即した研修となるようベーシックコースとアドバンスコースの2研修プログラムを開発し国立がん研究センターにおいて合計3回の研修を開催した。研修後アンケートでは研修満足度は受講者の9割が満足していた。研修効果を研修前後で比較すると地域連携における自信が上がり、研修プログラムの実行可能性及び効果を確認した。
結論
●平成29年度に引き続き、本研究班で作成された研修プログラムに基づいた研修が、平成30年度以降も厚生労働省の委託事業により開催される予定となっている。
●地域緩和ケア連携調整員のホームページを、国立がん研究センターがん対策情報センターのWeb上に作成した。今後、本研究班で作成した教育資材の展開や、各地域の取り組み紹介などの事例の共有等コンテンツの充実を図っていく予定である。https://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/sup/project/100/index.html

公開日・更新日

公開日
2018-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201708001B
報告書区分
総合
研究課題名
地域包括緩和ケアプログラムを活用したがん医療における地域連携推進に関する研究
課題番号
H27-がん対策-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 雅志(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん医療支援部)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
  • 木澤 義之(神戸大学医学部附属病院 緩和支持治療科)
  • 川越 正平(あおぞら診療所)
  • 福井 小紀子(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 山岸 暁美(慶應義塾大学 医学部衛生学公衆衛生学教室)
  • 吉田 沙蘭(東北大学 大学院教育学研究科人間発達臨床科学講座 臨床心理学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん医療において、がん拠点病院等のがん治療施設と地域の在宅医療・介護との連携体制の構築が求められている。この課題解決を目指し、本研究では全国の各地域でがん緩和ケアのネットワークを構築し関係者間の連携・調整を担う人材として地域緩和ケア連携調整員を養成する研修プログラムの開発を目的とする。またこれらの人材を支援する中央機能のあり方を検討し全国でがんの地域緩和ケア提供体制整備を進めていく包括的な方策の提示を目指す。
研究方法
 平成27年度:地域特性を活かし地域のがん医療ネットワークを構築・運用している事例を全国から収集。地域連携に積極的に取り組んでいる地域やがん医療における地域緩和ケアに先駆的に取り組んでいる地域にて、地域内のネットワーク構築や関係者調整の実務者を対象に取材を実施し内容分析をした。その結果を基に地域でがん緩和ケアのネットワーク構築をしていく地域緩和ケア連携調整員に求められる活動内容と資質を明らかにした。その結果を踏まえ地域緩和ケア連携調整員養成プログラムの素案を作成。
 平成28年度:研究班で開発した研修プログラムの素案の内容妥当性を検討し、確定したプログラムを国立がん研究センターに提供。研修プログラムでは地域緩和ケア連携調整員の候補者として、がん拠点病院の地域連携担当者を想定。地域緩和ケア連携調整員が活動するがん医療のネットワーク単位は地域状況で多様だが、一例として2次医療圏をがん緩和ケアの地域連携のネットワーク単位として設定。その場合がん拠点病院の地域連携担当者は各市町村に設置される医療介護連携支援センター(医療介護総合確保推進法に基づく)の連携担当者や、その他医療機関等の地域連携業務担当者と協力し、顔の見える関係を構築、連携体制を作り地域の課題解決に向け活動を担うことが期待される。こうした人材の育成を目的に研修プログラムを開発し実行可能性を検討した。また各地域で活動する地域緩和ケア連携調整員が其々の活動を共有し継続的な教育・支援を受けられる中央機能の果たす役割について先行研究と関係者の取材を基に検討した。
 平成29年度:前年度の受講者アンケートや専門家の意見から、各地域の緩和ケア連携体制の構築状況に即した内容となるよう研修プログラムを再構築、新たにベーシックコース(がん診療拠点病院の地域移行に関わる医療従事者を対象)、アドバンスコース(がん診療拠点病院の地域移行に関わる医療従事者と、普段連携している地域の医療福祉従事者のチームを対象)2つの研修プログラムを開発した。
 本研究の主要なエンドポイントの評価として、平成28年度研修修了者を対象に受講後の活動状況調査を行い養成プログラムを修了した者が其々の地域で地域緩和ケア連携調整員として有用な活動ができたかを検証した。
 また地域緩和ケア連携調整員を支援する中央機能の支援方法を整理し、研修修了者のフォローアップ方法の提案、情報発信のためのホームページや、在宅関連の医療者・地域の介護職に対するがんについての教育資材を作成。全研究期間で、がん治療を担う急性期病院と在宅医療を担う在宅医療・福祉関係者の連携促進を図るため全国のがん診療連携拠点病院が作成しているツールの内容と運用方法の事例を集積し、医療現場の担当者が必要な情報を活用できる提示方法を検討した。
結果と考察
 平成27年度の調査から、地域緩和ケア連携ネットワーク構築の具体的な取り組みとして顔の見える関係づくり・体制作り・地域づくりの3段階があることが明らかになり、地域緩和ケア連携調整員は地域でこのステップが円滑に進むよう活動することが重要であることが明らかになった。
 平成28年度では地域緩和ケア連携調整員養成のための研修プログラムを開発し、国立がん研究センターは厚生労働省からの委託を受け研修を2回実施した。本研究班では研修プログラムの有用性確認のため研修修了者にアンケートを実施し研修効果の評価を行った。アンケート分析の結果から研修内容に一定の評価を得たが、地域状況(地域連携体制の構築状況)に応じた研修内容が求められていた。
 平成29年度では前年度の評価を基に、2種類の新たな研修プログラムを開発。国立がん研究センターは厚生労働省の委託を受け研修を合計3回実施した。研修後アンケートでは研修満足度は平成28年度7割のところ平成29年度は9割に達した。研修効果として研修前後比較では地域連携への自信が上がっており研修プログラムの実行可能性及び効果を確認した。
結論
本研究班で開発した研修プログラムによる研修は、平成30年度以降も厚生労働省委託を受け開催予定。また地域緩和ケア連携調整員のホームページを国立がん研究センターがん対策情報センターのウェブ上に作成し、本研究班で作成した教育資材の展開や各地域の取り組み事例の紹介等情報の共有を図る。

公開日・更新日

公開日
2018-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201708001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、平成27年12月に厚生労働省が定めた「がん対策加速化プラン」において記載される「がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養や生活を選択できるよう、緩和ケアに携わる者や施設間の調整を担う人材の研修を実施する」とされた人材を育成していくために、「地域緩和ケア連携調整員」という地域内の緩和家連携体制を構築していく人材を定義し、その役割について検討を行い、その案を示した。また、研修のためのプログラム案を作成した。
臨床的観点からの成果
本研究では、「地域緩和ケア連携調整員」に期待される役割と有するべき資質を明らかにし、それに基づき、地域でがん緩和ケアのネットワークを構築していくことを目的とした「地域緩和ケア連携調整員」を育成するための研修プログラムの開発を行った。当該研修プログラム案に基づき、厚生労働省は国立がん研究センターに事業を委託し、平成28年度に2回、平成29年度に3回の研修が開催され、合計472名の研修終了者を得た。
ガイドライン等の開発
本研究班で開発した研修プログラムは、「第3期がん対策推進基本計画」における「拠点病院等と地域との連携について」の項目にある「拠点病院等は、緩和ケアについて定期的に検討する場を設け、緊急時の受入れ体制、地域での困難事例への対応について協議すること等によって、地域における患者支援の充実を図る。また、国は、こうした取組を実効性あるものとするため、施設間の調整役を担う者の養成等について必要な支援を行う。」と記載された「施設間の調整役を担う者の養成」に活用されている。
その他行政的観点からの成果
今後示されるがん診療連携拠点病院の指定要件において、これらの人材が地域のがん診療の連携ための会を開催していくことが検討されている。がん診療連携拠点病院を中心とした地域のがん医療ネットワークの構築に、本研究班で開発した研修プログラムを修了した人材が、本研究で明らかにした「顔の見える関係作り」「体制作り」「地域作り」の地域の連携体制の構築プロセスを活かしていくことが期待される。
その他のインパクト
本研究班が開発した研修プログラムに基づいて、厚生聾労働省が国立がん研究センターに委託して実施している「地域緩和ケア連携調整員研修」は、平成30年度以降も継続している。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
厚生労働省委託事業「地域緩和ケア連携調整員研修」
その他成果(普及・啓発活動)
1件
がん診療連携拠点病院が今後開催していく地域緩和ケア連携会議を効果的にしていくための方法の提示

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201708001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,590,000円
(2)補助金確定額
4,396,999円
差引額 [(1)-(2)]
193,001円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 492,167円
人件費・謝金 2,467,969円
旅費 355,110円
その他 62,753円
間接経費 1,059,000円
合計 4,436,999円

備考

備考
自己資金:999円

公開日・更新日

公開日
2018-11-14
更新日
-