文献情報
文献番号
201707011A
報告書区分
総括
研究課題名
子育て世代包括支援センターの全国展開に向けた体制構築のための研究
課題番号
H29-健やか-一般-006
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 拓代(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪母子医療センター 母子保健情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 山縣 然太朗(山梨大学大学院 総合研究部医学域社会医学講座)
- 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター 保健センター)
- 高橋 睦子(吉備国際大学 保健医療福祉学部)
- 横山 美江(大阪市立大学大学院 看護研究科)
- 福島 富士子(東邦大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
母子保健法改正により、子育て世代包括支援センター(以下、「センター」という)の設置が市町村の努力義務とされ、平成32年度末までに全国展開が目指されている。母子保健と子育て支援の融合によるセンターの運営・設置に資する事業評価システムを構築し、センターの業務ガイドラインの改定案とセンターにおける面談のガイドブック、及び研修プログラムを作成し、センターの全国展開のための体制を構築することを目的とする。
研究方法
1.子育て世代包括支援センター設置自治体の実情把握
厚生労働省の平成29年度及び平成28年度のセンター設置自治体調査をもとに、人口規模を考慮し研究班員が状況を把握している自治体から選定を行い、ヒヤリング調査を行う。
2.子育て世代包括支援センター未設置自治体の実情把握
厚生労働省母子保健課調査による平成29年4月1日の全国における子育て世代包括支援センターの実施状況において、センター未設置の自治体1,216カ所を対象に郵送による質問紙調査を行う。
3.子育て世代包括支援センター事業のPDCAの検討
地域評価手法の開発とそれに基づいた母子保健と子育て支援及び地域コミュニティが連携した事業計画(Plan)、効果的な事業実施(Do)、当事者及び地域子育て支援の視点から評価(Check)、改善(Act)を、自治体と専門職によるワークショップの手法を用いて検討を行う。
4.子育て世代包括支援センターにおける支援技術に関する検討
対人援助技術向上のために、センターの利用者に面談する職員向けの面談ガイドライン作成に向けて、フィンランドからネウボラ面談マニュアル等の資料を入手し、我が国で展開可能な内容を精査し、作成に着手する。
厚生労働省の平成29年度及び平成28年度のセンター設置自治体調査をもとに、人口規模を考慮し研究班員が状況を把握している自治体から選定を行い、ヒヤリング調査を行う。
2.子育て世代包括支援センター未設置自治体の実情把握
厚生労働省母子保健課調査による平成29年4月1日の全国における子育て世代包括支援センターの実施状況において、センター未設置の自治体1,216カ所を対象に郵送による質問紙調査を行う。
3.子育て世代包括支援センター事業のPDCAの検討
地域評価手法の開発とそれに基づいた母子保健と子育て支援及び地域コミュニティが連携した事業計画(Plan)、効果的な事業実施(Do)、当事者及び地域子育て支援の視点から評価(Check)、改善(Act)を、自治体と専門職によるワークショップの手法を用いて検討を行う。
4.子育て世代包括支援センターにおける支援技術に関する検討
対人援助技術向上のために、センターの利用者に面談する職員向けの面談ガイドライン作成に向けて、フィンランドからネウボラ面談マニュアル等の資料を入手し、我が国で展開可能な内容を精査し、作成に着手する。
結果と考察
1.子育て世代包括支援センター設置自治体の実情把握
政令指定都市2カ所、中核市1カ所、市3カ所、町4カ所、村2カ所の合計12カ所にヒヤリング調査を行った。それぞれの自治体で、実情に合わせて専任職員や兼務職員等の体制、事業内容に工夫が見られた。さまざまな工夫や効果は、Good Practiceとして、さらに資料を加えてとりまとめる。
2.子育て世代包括支援センター未設置自治体の実情把握
713カ所(回答率58.6%)から回答を得た。回答率は、特別区・中核市では7割以上であったが、市・町では5割で、村ではさらに4割と低かった。設置の未検討が町32.7%、村46.4%で、検討中を合わせると町75.1%、村91.3%と、町村に支援が必要と考えられた。
センター設置予定・検討中の自治体の検討当初の課題は、「人材確保」61.2%が最も多く、「予算確保」41.8%、「支援プラン作成」41.7%、「子育て支援事業との関係」37.4%、「場所確保」33.2%、「母子保健事業との関係」31.6%などであった。設置の検討を行っていない自治体の課題も、「人材確保」78.7%が最も多く、設置予定・検討中の自治体と同様の課題を抱えていた。
センター業務ガイドラインの必須業務の難易度は、4つの業務のうち「支援プラン作成」でやや難・難が多く細やかなサポートが必要と考えられた。
3.子育て世代包括支援センター事業のPDCAの検討
自治体等によるワークショップを行い、地域の課題と目指す姿、評価指標についてとりまとめた。課題は、内部組織連携、役割共有・明確化、地域づくり、人材育成、気軽に相談できる、サービス不足が挙げられた。これらの議論の過程は、センターの業務ガイドライン案に有効と考えられる。
4.子育て世代包括支援センターにおける支援技術に関する検討
対人援助技術向上のために、センターの利用者に面談する職員向けの面談ガイドライン作成に向けて、フィンランド国立健康福祉研究所、タンペレ大学等の職員と意見交換を行い、ネウボラ面談マニュアル等の資料を入手し、我が国で展開可能な内容を精査し作成に着手した。
政令指定都市2カ所、中核市1カ所、市3カ所、町4カ所、村2カ所の合計12カ所にヒヤリング調査を行った。それぞれの自治体で、実情に合わせて専任職員や兼務職員等の体制、事業内容に工夫が見られた。さまざまな工夫や効果は、Good Practiceとして、さらに資料を加えてとりまとめる。
2.子育て世代包括支援センター未設置自治体の実情把握
713カ所(回答率58.6%)から回答を得た。回答率は、特別区・中核市では7割以上であったが、市・町では5割で、村ではさらに4割と低かった。設置の未検討が町32.7%、村46.4%で、検討中を合わせると町75.1%、村91.3%と、町村に支援が必要と考えられた。
センター設置予定・検討中の自治体の検討当初の課題は、「人材確保」61.2%が最も多く、「予算確保」41.8%、「支援プラン作成」41.7%、「子育て支援事業との関係」37.4%、「場所確保」33.2%、「母子保健事業との関係」31.6%などであった。設置の検討を行っていない自治体の課題も、「人材確保」78.7%が最も多く、設置予定・検討中の自治体と同様の課題を抱えていた。
センター業務ガイドラインの必須業務の難易度は、4つの業務のうち「支援プラン作成」でやや難・難が多く細やかなサポートが必要と考えられた。
3.子育て世代包括支援センター事業のPDCAの検討
自治体等によるワークショップを行い、地域の課題と目指す姿、評価指標についてとりまとめた。課題は、内部組織連携、役割共有・明確化、地域づくり、人材育成、気軽に相談できる、サービス不足が挙げられた。これらの議論の過程は、センターの業務ガイドライン案に有効と考えられる。
4.子育て世代包括支援センターにおける支援技術に関する検討
対人援助技術向上のために、センターの利用者に面談する職員向けの面談ガイドライン作成に向けて、フィンランド国立健康福祉研究所、タンペレ大学等の職員と意見交換を行い、ネウボラ面談マニュアル等の資料を入手し、我が国で展開可能な内容を精査し作成に着手した。
結論
研究1年目である平成29年度は「現状把握と活動手法・支援技術の開発」を目標とし、センターの現状把握と課題の分析を行い、活動手法及び支援技術の開発に着手した。
センター設置の市町村及び都道府県等(保健所含む)のヒヤリング調査からは、地域の実情をよく把握したキーパーソン的専門職と組織と関係機関の理解がセンター活動を効果的に行うため重要と考えられた。また、地域活動の展開のために広域で活動できる保健所が一定の役割を果たす必要があると考えられた。
センター未設置の自治体に対する調査では、設置未検討であるのは町村に多かった。センターを設置予定・検討中の自治体の課題では、人材確保と予算確保が多く、センター設置未検討の自治体では、さらに支援プラン作成が挙げられていた。支援プラン作成への技術的支援必要と考えられた。
センター設置の市町村及び都道府県等(保健所含む)のヒヤリング調査からは、地域の実情をよく把握したキーパーソン的専門職と組織と関係機関の理解がセンター活動を効果的に行うため重要と考えられた。また、地域活動の展開のために広域で活動できる保健所が一定の役割を果たす必要があると考えられた。
センター未設置の自治体に対する調査では、設置未検討であるのは町村に多かった。センターを設置予定・検討中の自治体の課題では、人材確保と予算確保が多く、センター設置未検討の自治体では、さらに支援プラン作成が挙げられていた。支援プラン作成への技術的支援必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2018-11-01
更新日
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