幼児期の健やかな発育のための栄養・食生活支援ガイドの開発に関する研究

文献情報

文献番号
201707008A
報告書区分
総括
研究課題名
幼児期の健やかな発育のための栄養・食生活支援ガイドの開発に関する研究
課題番号
H29-健やか-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
石川 みどり(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉池 信男 (青森県立保健大学 健康科学部)
  • 山縣 然太朗(山梨大学大学院 医学工学総合研究部)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
  • 堤 ちはる(相模女子大学 栄養科学部)
  • 加藤 則子(十文字学園女子大学 人間生活学部)
  • 井上 美津子(昭和大学 歯学部)
  • 近藤 洋子(玉川大学 教育学部)
  • 鈴木 美枝子(玉川大学 教育学部)
  • 祓川 摩有(聖徳大学 児童学部)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 森永 裕美子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部・)
  • 大久保 公美(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 野村 真利香(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省において、離乳(生後12~18か月)後の幼児期の栄養・食生活について、科学的根拠に基づいた支援の方法が示されていない。研究全体の目的は、幼児期の健やかな発育のための栄養・食生活にむけ、1)保健医療従事者や児童福祉関係者等が支援を進めるに当たって共有すべき基本事項を明らかにし、2)幼児の発育に影響する栄養・食生活の因子を明らかにする。3)地域や保育所等の子育て支援機関で保護者への支援が積極的に行われるための好事例等を提示した幼児期の栄養・食生活支援ガイド(仮称)を作成する。本年度は支援現場の関係者が、幼児期の栄養・食生活の支援を進めるための「共有すべき基本事項」を明らかにすることを目的とした。
研究方法
研究方法は、幼児期の栄養・食生活支援を進めるために、どのような視点や要素が重要であるか、について検討し、共有すべき基本事項を整理した。
各研究分担者の役割を、以下の研究目的1~6に位置づけて検討を進めた。
1.幼児の栄養指導・食育介入の効果に関する文献レビュー、2.乳幼児健診等における栄養・食生活支援のあり方、3.地域保育所等における栄養・食生活支援のあり方、4.平成27年乳幼児栄養調査データを活用した幼児の栄養・食生活の特徴の分析、5.乳幼児期の栄養・食生活支援の好事例の公表及び普及方法、6.諸外国における幼児期の栄養・食生活支援のあり方、である。
結果と考察
現時点では、おおよそ以下のように整理される。
1)市町村乳幼児健診における栄養指導の進め方
(1)乳幼児健診データを活用し、栄養・食生活に関わる項目に着目した地域診断を行う。
(2)効果的な栄養指導のために、多職種の役割と連携(管理栄養士・栄養士、保健師、歯科衛生士、等)について、自治体内で意見交換を行う。
(3)健診カンファレンスにおいて、育てにくさのある子・保護者への効果的な栄養・食生活支援に関する議論を行い、その方向性に基づいた地域保育所等との連携協力を進める。

2)地域保育所等における食育の重点事項
(1) 好事例として報告される施設の食育の内容や体制には、共通の重点事項がある(日常の食事を重要視、栄養士、調理員、保育者の職種の連携による子の発育・発達や成育環境の特性に合わせた食の提供の可能性の拡大、等)。それらの情報共有は参考になるため有効である。
(2) 保育所等において、管理栄養士に求められている役割には、食物アレルギー、離乳食、肥満児への対応、貧困家庭への食生活支援など、栄養と調理の専門知識に基づいた取り組みが含まれる。

3)子の発育と食生活の関連のアセスメント・評価と指標
(1) 平成27年乳幼児栄養調査結果の活用については、協力者の特性について、大都市以外の市郡部に在住、世帯人数や児童数、有業人員数が多く、ひとり親世帯が少ない、また両親の年齢が高めであることに留意しつつ、結果を参考にする。
(2) 保護者のゆとり感は、量的、質的な子どもの困りごととの関連がある。

4)既存ツールを活用した幼児期の栄養・食生活支援事例の共有
「健やか親子21(第2次)」の「取り組みのデータベース」を活用することにより、支援施設や関係が事例を共有し、幼児・保護者の困りごとへの対応の質的向上につながる。登録された栄養指導・食育事例を分析することで、好事例につながるポイントを確認する。

5)国際機関・諸外国における幼児期の栄養・食生活支援方法や効果の共有
諸外国における栄養介入と効果検証方法についての研究報告を共有することは、支援現場のみならず、支援現場と大学等との連携協力につながり、研究デザイン設定の参考になる。

上記の内容は、現場で保健医療従事者や児童福祉関係者等が支援を進めるに当たって重要な視点であり、今後、さらに、共有すべき基本事項を検討し、内容を深める必要がある。
結論
幼児期の栄養・食生活支援を進めるために共有すべき基本事項として、1)乳幼児健診における育てにくさのある子・保護者への栄養指導の進め方、2)乳幼児健診データを活用した地域診断、3)地域保育所等の好事例にみられる食育・栄養指導の共通重点事項、4)保育所等の食育・栄養支援における専門職の役割、5)子の発育と食生活の関連のアセスメント・評価と有効な指標、6)健やか親子21ツール等を活用した栄養・食生活支援事例の公表と共有、7)諸外国における幼児期の栄養・食生活支援方法と効果の共有、が重要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201707008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,284,423円
人件費・謝金 1,349,115円
旅費 1,600,428円
その他 1,378,842円
間接経費 0円
合計 6,612,808円

備考

備考
申請書の計画時点では、フィールド調査が含まれていたが、フィールド調査は次年度に実施されることになったため。

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
-