文献情報
文献番号
201706034A
報告書区分
総括
研究課題名
情報通信機器を用いた診療についてのルール整備に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H29-特別-指定-034
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
武藤 真祐(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 臨床医学教育開発学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ICT技術の進展に合わせ、情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」。以下、「遠隔診療」と記載)が発展してきている。国内における遠隔診療の発展は、遠隔診療のあり方を示した「情報通信機器を用いた診療に関する厚生省健康政策局長通知」について、平成27年に、診療が通知に記載のある患者に限定されない旨の厚生労働省事務連絡が発出され、拡大の端緒となった。遠隔診療において問題とされることとして、医師法との関係がある。医師法では、診療は医師と患者が直接対面して行われることを基本的な考え方としており(第20条)、特に医師―患者間(以下「D to P」と記載。医師間で利用されるものについては「D to D」と記載。)で行われる遠隔診療は、これに反する可能性がある。今後、遠隔診療がさらに発展していくことが予想される中で、必要性・安全性・有効性が担保された診療の提供が行われるよう、D to Pの遠隔診療についてのルール整備を行うことは喫緊の課題となっている。
遠隔診療の推進に向けては、政府においても重点的な取組が提唱されており、「未来投資戦略2017(平成29年6月6日閣議決定)」において、「遠隔診療について、例えばオンライン診察を組み合わせた糖尿病などの生活習慣病患者への効果的な指導・管理など、対面診療と遠隔診療を適切に組み合わせることにより効果的・効率的な医療の提供に資するものについては、次期診療報酬改定で評価を行う。」とされている。また、「当面の重要事項―チャレンジを阻む岩盤規制を打ち破る―(平成29年9月11日規制改革推進会議決定)」において、今後1年において改革を進めるべき重要事項として、「遠隔診療・服薬指導及びこれに伴う医薬品の配送などトータルな遠隔医療をはじめ、ICTを全面的に活用した医療の実現」が掲げられており、上記閣議決定の後も、政府内において、引き続き議論がなされることが想定される。
遠隔診療と対面診療とを適切に組み合わせることにより効果的・効率的な医療の提供に資する診療のあり方について、医学的な知識や、システムに関する専門的知見を踏まえた政策立案に向けて、先進的な事例の調査と論点の整理を行った。
遠隔診療の推進に向けては、政府においても重点的な取組が提唱されており、「未来投資戦略2017(平成29年6月6日閣議決定)」において、「遠隔診療について、例えばオンライン診察を組み合わせた糖尿病などの生活習慣病患者への効果的な指導・管理など、対面診療と遠隔診療を適切に組み合わせることにより効果的・効率的な医療の提供に資するものについては、次期診療報酬改定で評価を行う。」とされている。また、「当面の重要事項―チャレンジを阻む岩盤規制を打ち破る―(平成29年9月11日規制改革推進会議決定)」において、今後1年において改革を進めるべき重要事項として、「遠隔診療・服薬指導及びこれに伴う医薬品の配送などトータルな遠隔医療をはじめ、ICTを全面的に活用した医療の実現」が掲げられており、上記閣議決定の後も、政府内において、引き続き議論がなされることが想定される。
遠隔診療と対面診療とを適切に組み合わせることにより効果的・効率的な医療の提供に資する診療のあり方について、医学的な知識や、システムに関する専門的知見を踏まえた政策立案に向けて、先進的な事例の調査と論点の整理を行った。
研究方法
(1)国内の先進事例の検討
(2)海外の遠隔診療に関する調査
(3)研究班会議における検討
研究協力者一覧
豊田剛一郎 株式会社メドレー 代表取締役医師
馬場 稔正 MRT株式会社 代表取締役社長
加藤 浩晃 日本医療ベンチャー協会 理事/京都府立医科大学特任助教
宮田 俊男 日本医療政策機構 理事
宮田 裕章 慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学教室 教授
佐々江龍一郎 NTT東日本関東病院 医師
松山 征嗣 トレンドマイクロ株式会社 業種営業推進グループ
美代 賢吾 国立国際医療研究センター 医療情報管理部門長
島田 潔 板橋区役所前診療所 医師
今村 聡 日本医師会 副会長
畔柳 達雄 日本医師会参与/ 弁護士
(研究倫理)
本研究の実施にあたっては、東京医科歯科大学利益相反マネジメント委員会の審査・承認(平成30年3月7日)を得ている。
(2)海外の遠隔診療に関する調査
(3)研究班会議における検討
研究協力者一覧
豊田剛一郎 株式会社メドレー 代表取締役医師
馬場 稔正 MRT株式会社 代表取締役社長
加藤 浩晃 日本医療ベンチャー協会 理事/京都府立医科大学特任助教
宮田 俊男 日本医療政策機構 理事
宮田 裕章 慶應義塾大学医学部 医療政策・管理学教室 教授
佐々江龍一郎 NTT東日本関東病院 医師
松山 征嗣 トレンドマイクロ株式会社 業種営業推進グループ
美代 賢吾 国立国際医療研究センター 医療情報管理部門長
島田 潔 板橋区役所前診療所 医師
今村 聡 日本医師会 副会長
畔柳 達雄 日本医師会参与/ 弁護士
(研究倫理)
本研究の実施にあたっては、東京医科歯科大学利益相反マネジメント委員会の審査・承認(平成30年3月7日)を得ている。
結果と考察
遠隔診療は、端末・システムを介してデータのやり取りを行う必要があるという性質から、米国においてはアメリカ医師会の倫理規範において不正アクセスの防止が提唱され、EUにおいてもモバイルヘルスアプリに関するプライバシー行動規範が欧州委員会において審議されている。
また、州間や他国間で診療を行う場合のルールについても整備が進みつつあり、日本においても、近隣諸国との遠隔診療が行われる場合には考慮すべきと考えられる。
EUでは、遠隔診療を推進するために欧州医師常設委員会(CPME)が医師の身分証明の制度を創設することを提案しており、これも日本での制度設計にあたり参照することができる。
また、州間や他国間で診療を行う場合のルールについても整備が進みつつあり、日本においても、近隣諸国との遠隔診療が行われる場合には考慮すべきと考えられる。
EUでは、遠隔診療を推進するために欧州医師常設委員会(CPME)が医師の身分証明の制度を創設することを提案しており、これも日本での制度設計にあたり参照することができる。
結論
オンライン診療の分野における政策立案にあたっては、当該分野における新規事業の発展を阻害しないよう考慮しつつも、不適切な運営による健康被害等が発生することのないよう、一定程度、方針を示していくことが必要である。
本研究において整理された論点は、海外における当該分野の事業や規制の状況、また国内においてオンライン診療に携わる事業者や有識者の知見を結集したものであり、今後、必要性・安全性・有効性を担保した有益なオンライン診療の実施を促進していくために、極めて重要なものといえる。的確な政策立案を行うために、本研究の成果が活用されることが望まれる。
本研究において整理された論点は、海外における当該分野の事業や規制の状況、また国内においてオンライン診療に携わる事業者や有識者の知見を結集したものであり、今後、必要性・安全性・有効性を担保した有益なオンライン診療の実施を促進していくために、極めて重要なものといえる。的確な政策立案を行うために、本研究の成果が活用されることが望まれる。
公開日・更新日
公開日
2018-07-03
更新日
-