総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究

文献情報

文献番号
201706032A
報告書区分
総括
研究課題名
総合診療が地域医療における専門医や他職種連携等に与える効果についての研究
課題番号
H29-特別-指定-032
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
前野 哲博(筑波大学 医学医療系 )
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国において、総合診療医の概念は十分に浸透しておらず、診療範囲も曖昧で、総合診療医の養成が我が国の医療に与える影響は明らかになっていない。そこで本研究では、総合診療医の位置づけを明らかにした上で、その存在が与える影響について、専門医から総合診療医、総合診療医から他職種、それぞれにおいてタスクシフティング、タスクシェアリングを行った場合の政策効果を、医療政策の観点からの分析を行うことを目的とした。
研究方法
研究は6つのパートに分けて実施した。「総合診療医の業務状況及びタスクシフトに関する調査」「総合診療医の診療範囲に関する実態調査」は、日本プライマリ・ケア連合学会認定家庭医療専門医を対象として、前者はwebアンケート、後者は日単位の活動記録によりデータ収集を行った。「総合診療医に対する住民の意識調査」は、調査パネルを用いて住民にインターネット調査を実施した。「総合診療に関する国際比較」「総合診療医が今後果たすべき役割に関する提言」は、文献をもとに得られた知見を考察・提言としてまとめた。「総合診療医の活動に関するモデルとなる事例集」については、事例の紹介および総合診療医の貢献、タスクシフティングの可能性等を記載した。
結果と考察
総合診療医への実態調査で、総合診療医が幅広い診療範囲をカバーし、包括的なサービスを提供している実態が明らかになった。住民の意識調査では、総合診療医の認知度は低いものの、高い期待を集めていることが明らかになった。総合診療医に関する国際比較や提言では、今後我が国において総合診療医に期待される役割が明らかになった。事例集では、総合診療医の活躍により、タスクシフティングが推進され、地域医療の充実に貢献している実例が示された。
結論
総合診療医は幅広い診療範囲をカバーし、包括的なサービスを提供しており、総合診療医の活躍により、タスクシフティングが推進され、地域医療の充実に貢献できる可能性が示された。今後の我が国の医療において総合診療医に期待される役割は大きく、国民への認知度が向上すれば、そのニーズが拡大する可能性が高い。今後は、国内外の動向も踏まえながら、我が国における総合診療医のあり方について検討を重ねていく必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2018-07-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201706032C

成果

専門的・学術的観点からの成果
急速に変化する少子高齢化を踏まえ、地域包括ケアシステムの導入が急ピッチで進む我が国の医療において、総合診療医には大きな役割を果たすことが期待されることが明らかになった。一般住民に対しては、総合診療医の認知度・理解度が不十分であるものの、認知が進めば、住民からのニーズや期待が高まり、総合診療医の養成に向けて大きな支援が得られる可能性が高いことが示された。
臨床的観点からの成果
総合診療医が地域において幅広い診療範囲をカバーして、包括的なサービスを提供している実態が明らかになった。また「場」に応じて柔軟に診療範囲を変えられる大きな可能性を持っていることが示唆された。総合診療医の活躍により、臓器専門医→総合診療医、総合診療医→他職種のタスクシフティングがそれぞれ推進され、地域医療の充実に貢献している実例が示された。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
今後、医療をめぐる急速な変化に対応しつつ、地域住民の健康と安心を守るためには、総合診療医の養成確保が極めて重要であると考えられた。今後は、体系的な教育体制をさらに充実させて、高い専門能力と地域医療に貢献する高いモチベーションを有する総合診療医を数多く養成していくことは、きわめて重要であることが示された。
その他のインパクト
本研究は、我が国おける総合診療医の実態および期待される役割について、網羅的かつ体系的にまとめたエビデンスを提供するものであり、今後総合診療医の位置づけや養成の方向性を検討するうえで有用な知見を提供するものと考えられる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201706032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,320,000円
(2)補助金確定額
8,320,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 900,000円
人件費・謝金 500,000円
旅費 1,000,000円
その他 4,000,000円
間接経費 1,920,000円
合計 8,320,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-07-03
更新日
-