医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の策定に関する研究

文献情報

文献番号
201706028A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の安全使用のための業務に関する手順書の策定に関する研究
課題番号
H29-特別-指定-028
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 文人(一般社団法人 日本病院薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
  • 古川 裕之(山口大学医学系研究科 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,840,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、薬局及び医療機関において、国民に医薬品を安全に提供するための業務手順書の策定に関する検討を行うことを目的としている。昨年偽造医薬品が薬局で調剤され、患者の手に渡る事案が発生したため、国民に医薬品を安全に提供する体制をより一層確保することが喫緊の課題となっている。また、地域包括ケアシステムの構築に伴い、医療提供体制において薬局や医療機関に求められる役割・業務は変化してきている。更に医療の進展に伴い、医薬品を取り巻く環境は複雑化しており、2016年に医療法施行規則が改正され、特定機能病院の承認要件に、医療安全管理部門への専従の医師・薬剤師・看護師の医療安全管理部門への配置、未承認薬等を用いた医療の導入プロセス等の項目が加えられた。
十数年間に後発品の積極的な使用、医薬品リスク管理計画の策定等薬物療法を取り巻く環境は大きく変化をし、医薬品分野における医療安全対策は当初のヒューマンエラー防止から医薬品適正使用の確保へと大きく変化をしている。本研究においては、これらの現状を踏まえ、薬局及び医療機関において今後求められる、医薬品を安全に使用するための業務手順書に関する検討を行い、その策定のために薬局及び医療機関が活用できるマニュアルを作成する。
研究方法
(1)マニュアルの改訂
 医療関係団体の協力の下で日本病院薬剤師会の医療安全対策委員会のメンバーを中心に法改正を含めて、マニュアルに追加すべき項目等について意見交換を行った後に、改訂作業を行った。
(2)医療機関におけるマニュアルの改訂に関する現状調査
医療機関7088を対象に医薬品安全使用のための業務マニュアルに記載されている項目やその改訂頻度等につきWeb回答形式でアンケート調査を行った。
結果と考察
(1)マニュアルの改訂
 北澤班では18の章立てがなされていたが、改訂版においては
I 本編(その1):医薬品の使用の流れの概要を示すもの
II 本編(その2):本編(その1)とは別途手順を作成すべき薬品領域
III 全般:医薬品の使用の流れとは別に手順を定めるべき事項
の3つに分け、Iでは医薬品の採用、医薬品の購入、調剤室における医薬品の管理について章立てし、その下に調剤室、病棟、各部門という構成とし、外来化学療法部門を新たに追加した。
IIでは放射性医薬品と院内製剤について新たな章立てを行った。
IIIでは北澤班では「事故発生時の対応」として章立てされていたものを「重大な有害事象の予防・対応」という形で新たな章立てを行うと共に医薬品関連の情報システムの利用について新たに章立てを行い、総数22章となった。章立ての追加・変更に伴い、詳細部分も内容を充実させた。またⅣとして薬局編を掲載した。
(2)アンケート調査結果
 回答した医療機関数は1229(回答率17.3%)であった。
手順書の改訂回数では11回以上が最も多く、約3割の医療機関が毎年見直しを行っていることが示された。局長通知で示された6項目中では医薬品の管理の項目が最も改訂が行われていた。禁忌薬に関しては3割弱、適応外については全体の4分の1,未承認医薬品については約2割の医療機関において章立てがなされていた。また有害事象に関する項目については4分の3の医療機関において記載されていた。マニュアル改訂版の作成に関しては、北澤班の場合は業務手順書が誌存在しない中での指針であり、今回の改訂版はこの十数年の経験を反映させて、原点に戻って見直しを行うための起爆剤となると思われる。
結論
全ての医療機関において「医薬品安全使用のための業務手順書」の作成が義務づけられ、医薬品安全管理責任者の責務に業務手順書通り実施されているかを点検することが義務づけられてから10年余が経過した。北澤班のマニュアルは、ゼロからのスタートということもあり、各医療機関個別という視点よりは、医薬品を安全に使用するために必要な事項を網羅性も重視して構成されている。今回の改訂版においては、ゼロからではなく、北澤班のマニュアルをこの間の医療機関や医療安全を取り巻く環境の変化を取り入れて見直しを行った。
 本研究により「業務手順書マニュアル(改訂版)」が示された事は、各医療機関にとって、自施設の業務手順書の大幅な見直しを行う、良いきっかけになると思われる。この10数年の自施設における状況を踏まえ、本来求められている個別の「my業務手順書」とする絶好の機会になると思われる。手順書の変更には医療機関の安全部門の承認が必要であり、大幅な見直しを行う最後のチャンスであると思われることから、各施設においては、少し時間をかけて、自施設の手順書の改訂作業を行うことを期待したい。

公開日・更新日

公開日
2019-05-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201706028C

成果

専門的・学術的観点からの成果
平成19年の初版作成マニュアル作成から10年が経過し、後発医薬品の使用促進、医療法お改正、薬剤師法の改正、偽造医薬品の流通を契機とした省令改正等医薬品の安全使用を取り巻く環境が大きく変化したことから、改訂作業が行われた。「医薬品安全使用のための業務手順書」は全ての医療機関・薬局に置いて装備することが義務づけられており、今回の改訂版の公表により、各医療機関・薬局で見直しが行われることは医療安全に貢献するものと考えられる。
臨床的観点からの成果
今回の改訂版により、この10年間に様々な変化が生じている医療現場において、時代の変化に合致した改訂が行われたことにより、各医療機関・薬局が備えている「医薬品安全使用のための業務手順書」の見直しを行う契機となり、実際に各施設において見直しが行われることが期待され、それにおり医療安全の基礎が固まるものと思われる。
ガイドライン等の開発
今回作成された「医薬品安全使用のための業務手順書」作成マニュアルの改訂版を参考に各医療機関に装備されている「医薬品安全使用のための業務手順書」が見直されることになる。つまり今回作成された作成マニュアル改訂版が各施設における見直しのガイドライン的な役割を果たすこととなる。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省医政局総務課医療安全推進室、厚生労働省医薬・生活衛生局総務課より、平成30年12月28日付けで、都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部(局)宛ての事務連絡が発出された
その他のインパクト
各医療機関で装備が義務づけられている「医薬品の安全使用のための業務手順書」が最新版となるための見直しが行われることが想定される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2019-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201706028Z