乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究

文献情報

文献番号
201706016A
報告書区分
総括
研究課題名
乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究
課題番号
H29-特別-指定-016
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
笠原 善郎(福井県済生会病院 乳腺外科)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 昭彦(東北医科薬科大学 医学部 第三外科 )
  • 植松 孝悦(静岡県立静岡がんセンター 乳腺画像診断科)
  • 角田 博子(聖路加国際病院 放射線科 乳腺画像診断室)
  • 高橋 宏和(国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
4,590,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
対策型乳がん検診受診者に対して高濃度乳房を含めた乳房の構成を通知するかどうかが検討課題となっているが、通知に際しては通知後受診者が適切な受診行動がとれるような情報提供が必要である。この研究は一般の乳がん検診受診者に対して、高濃度乳房に関して正しく理解するための方策を確立することを目的に行った。
研究方法
高濃度乳房について正しい理解を得るための資料をQA形式で作成した。項目は受診者向けの解説1項目、高濃度乳房に関するもの8項目、乳がん検診に関するもの7項目、体制整備や自治体の対応に関するもの4項目の計20項目で、作成した資料を関係者293人に閲覧し、資料の理解度についてアンケート調査を行い、理解しにくい箇所を確認・修正した。
結果と考察
293部の調査票配布に対し、269部を回収した(回収率91.8%)。男女比は1:9で女性が多く、40歳以上が64.4%、40歳未満が35.3%(年代不明0.4%)であった。職業等内訳は、医療従事者が25.1%、一般受診者が28.5%、事務関係者が19.1%、乳がん経験者が6.4%、その他21.3%であった。 高濃度乳房に対する理解は、よく理解できた・まあまあ理解できたが91.1%、あまり理解できなかった・全く理解できなかったが8.9%であったが、QA資料閲覧後はそれぞれ97.6%、2.4%であった。質問項目別にみると、知りたいとする項目としては、乳房の構成・高濃度乳房とは何か7.9%、高濃度乳房の対応7.7%、高濃度乳房に乳房超音波検診をやらない訳6.9%、高濃度乳房とがんリスク6.6%、乳房の構成の通知の利益(メリット)・不利益(デメリット)6.5%などであった。理解度は項目によって異なり、理解できない者の割合が最も大きい質問項目は、乳房超音波検査に関することであり、6.9%があまり理解できなかったと答えた。以上の結果を反映し、「高濃度乳房について」の資料を完成した。
アンケート調査では、高濃度乳房を理解するための資料としておおむね良好な回答が得られたが、今後より多くの意見を反映し、さらに一般の乳がん検診受診者が理解しやすい資料になるよう改変を行う必要がある。
結論
今後この「高濃度乳房について」を活用し、乳房の構成に関する分かりやすい資料を基に情報提供をすることにより、受診者の理解が深まり適切な受診行動をとることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-07-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-07-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201706016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
第21回がん検診のあり方に関する検討会における議論を踏まえ、厚生労働省健康局癌・疾病対策課から、高濃度乳房の判定基準や実態の調査などとともに、受診者が高濃度乳房を正しく理解できるよう、通知すべき標準的な内容を明確にすることが今後の対応の方向性(案)の一つとして提案された。今回の成果物である「高濃度乳房について」はこの受診者の理解すべき内容を整理し解説したものであり、今後の高濃度乳房に関する課題に対応する有用なツールと位置付けられる。
臨床的観点からの成果
平成30年度「乳がん検診の適切な情報提供に関する研究」班における調査では QA集は43%の市町村で使用されていた。受診者アンケートではQAの全12項目中9項目で受診者の95%以上が「理解できた」と回答し、内容はほぼ妥当なものと評価された。乳房の構成に関する分かりやすい資料を基に情報提供をすることにより、受診者の理解が深まり適切な受診行動をとることが期待される。
ガイドライン等の開発
第23回 がん検診のあり方に関する検討会 2018年2月7日 
第24回 がん検診のあり方に関する検討会 2018年5月24日
第32回 がん検診のあり方に関する検討会 2021年3月17日
その他行政的観点からの成果
健発0524第1号 平成30年5月24日 厚生労働省健康局長 
乳がん検診における「高濃度乳房」への対応について
その他のインパクト
2018年5月24日 読売新聞夕刊 
「高濃度乳房については、一部の自治体が独自に通知するなど対応にばらつきがあり、高濃度乳房自体を病気と誤解するなど、混乱も生じている。厚労相が今回、配布した文書は同省研究班が作成したQ&A集で、自治体職員が受診者に正しい説明をするように求めた。」

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
第28回日本乳癌検診学会総会(2018.09.08)第26回日本乳癌学会学術総会(2018.05.16)第28回日本乳癌画像研究会(2018.09.08)
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
健発0524第1号 平成30年5月24日 厚生労働省健康局長 乳がん検診における「高濃度乳房」への対応について
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
2023-05-29

収支報告書

文献番号
201706016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,967,000円
(2)補助金確定額
4,701,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,266,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,218,590円
人件費・謝金 247,500円
旅費 1,219,693円
その他 638,799円
間接経費 1,377,000円
合計 4,701,582円

備考

備考
研究班の成果物として、QA集を印刷製本して、各地方自治体、検診施設、学会関連団体などに配布予定であったが、厚生労働省健康局長より健発0524 第1号として『乳がん検診における「高濃度乳房」への対応について』が発信されたため冊子の製作が不要になった。よって支出が予定額より少なかった。(自己資金582円)

公開日・更新日

公開日
2019-01-31
更新日
-