確定拠出年金の個人型加入者への投資教育と企業型確定拠出年金の運営管理機関モニタリングについて

文献情報

文献番号
201706013A
報告書区分
総括
研究課題名
確定拠出年金の個人型加入者への投資教育と企業型確定拠出年金の運営管理機関モニタリングについて
課題番号
H29-特別-指定-013
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
大江 加代(特定非営利活動法人 確定拠出年金教育協会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,965,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
個人型・企業型において投資教育と制度運営が適切に行われることは、個人で公的年金を補完する老後資産を形成する確定拠出年金(DC)制度の発展に寄与するものと考えられる。確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成28年6月3日公布)の中で、努力義務とされた個人型確定拠出年金加入者への投資教育と企業型確定拠出年金における運営管理機関モニタリングについての具体的指針策定に資するため、個人型・企業型それぞれの実態を調査し、専門家による研究会での議論を行い、今後の課題と改善策を取りまとめ、報告・提言することを目的とする。
研究方法
【個人型研究について】研究協力者5名と研究会を立ち上げ、課題の洗い出しを行ったのち実態調査を実施した。調査対象は個人型確定拠出年金(iDeCo)加入者に限定することなく、一般の方々の年金に関する知識・認識度合を把握するため、研究代表者の所属機関が運営するiDeCo情報提供サイトにアンケートフォームを設置し、回答を依頼する形とした。回答結果を集計し、そのデータを研究会メンバーで分析・議論し、報告書に取りまとめた。
【企業型研究について】個人型同様、研究協力者7名と研究会を立ち上げ課題の洗い出しと実態調査を行った。確定拠出年金制度を導入している承認規約代表事業主(約5,300社)に加え、制度開始後初めて非代表事業主(約6,500社)も調査対象とし、Webアンケートフォームもしくは郵送留置による回答を依頼した。回答結果の集計データを研究会メンバーで分析・議論し、報告書に取りまとめた。
結果と考察
【個人型研究について】iDeCoの投資教育についてのアンケート調査では、1ヵ月強の回答回収期間において2,616票の有効回答数を得た。加入者に認識されていない制度や運用に関する事項、その解決法といった目先のことだけでなく、情報提供の内容以前に受け取る側の素地として、公的年金や老後生活費の正しい理解が40代以下では低いこと、また加入者の15%が『60歳前には受け取れない』という重要な事項について理解していない、50代男性がお金に関して相談する相手がいないといった由々しき実態が浮き彫りになった。公的年金を補完するための私的年金制度である個人型DC制度において投資教育がどうあるべきかという以前に、公的年金制度自体が正しく理解されていないといった結果を受け、研究会では、若年世代に社会保障、特に公的年金について正しく理解してもらうためへの教育が一層充実することを望む意見が出された。
【企業型研究について】企業型DCの運営管理機関モニタリングについての調査では、個人型DCアンケート調査と同じ回答回収期間において、承認規約代表企業1,395票、非代表企業1,797票の有効回答数を得ることが出来た。企業型においては初めて非代表事業主の制度運営実態が明らかになった。企業規模等によって大きく異なる事業主と運営管理機関・代表事業主と非代表事業主との関係が明らかになり、運営管理機関のモニタリング以前に企業としての受託者責任を果たす体制整備が必要な事業主も少なくないことが明らかになった。企業型DCは、導入事業主により制度の位置づけ、運営管理機関に求めるサービスも千差万別である。運営管理機関モニタリングの項目も一律のものに決められるものではない。よって必須事項と任意事項に分け、DC制度加入者の利益を最優先にした商品の選定・提示、そのモニタリングを主軸として必須事項についての整理を行うこととした。
結論
【個人型研究について】個人型の投資教育は投資教育ガイドラインに挙げられている4つの項目ごとに配慮すべき点と対策として望まれることを具体的に例示し、運営管理機関等各機関にて検討・実行しやすい形の報告書とした。また、日本年金機構や社会保険労務士協会が推進している年金教育のより一層の充実を望むとともに、英国や米国における参考事例を紹介する内容とした。
【企業型研究について】運営管理機関のモニタリングは、委託元の事業主が運営管理機関に委託している業務およびその状況について把握し、加入者利益のためによりよい制度運営について対話することにつなげるためのものである。事業主により求めるサービス・重視する点が異なるためモニタリングの評価項目・軸は一律のものとせず、法令に運用関連業務と規定されている商品選定と提示を軸に必須と任意にわけて整理した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201706013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
企業型確定拠出年金の制度運営実態については非代表事業主を含めた初めての調査である。代表事業主と非代表事業主の割合は1対4であり、事業主の実施主体としては非代表事業主の方が圧倒的に多い。その意味で、はじめて企業型確定拠出年金の制度運営実態を把握したものだといえる。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成 28 年法律第 66 号)による改正後の確定拠出年金法(平成 13 年法律第 88 号)第7条第4項に定められた事業主による確定拠出年金運営管理機関の評価に係る省令案及び通知案等の策定の参考にされた。
その他のインパクト
現時点なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-29
更新日
2022-05-26

収支報告書

文献番号
201706013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,754,000円
(2)補助金確定額
7,718,000円
差引額 [(1)-(2)]
36,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,357,886円
人件費・謝金 1,273,276円
旅費 137,302円
その他 3,161,098円
間接経費 1,789,000円
合計 7,718,562円

備考

備考
差額562円は自己資金より充当した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-29
更新日
-