潰瘍性大腸炎患者に対する青黛治療の有害事象実態調査と機序解明

文献情報

文献番号
201706009A
報告書区分
総括
研究課題名
潰瘍性大腸炎患者に対する青黛治療の有害事象実態調査と機序解明
課題番号
H29-特別-指定-009
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
金井 隆典(学校法人 慶應義塾 内科学(消化器)教室)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
11,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201706009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
青黛による肺高血圧症、肝機能障害、腸重積の副作用発症時期が異なることより、副作用発現の作用機序に相違がある可能性が示唆された。また青黛による肺高血圧症合併の機序としてCYP1A1経路が重要であること、青黛により動物レベルで再現性をもって肺血管に障害をもたらすことが実証されたことは、今後の炎症性腸疾患治療に対する青黛治療の個別化医療に有用であると考えられる。
臨床的観点からの成果
青黛による副作用の種類・頻度、臨床的特徴が明らかになり、肺高血圧症、肝機能障害、腸重積、非特異性腸炎などの副作用が存在するものの死亡例がないことが確認された。投与量とは関係なく生じうること、腸重積、非特異性腸炎は青黛服用早期に生じるのに対し、肺高血圧症は比較的長期服用例に生じることが確認された。また肝機能障害や肺高血圧症は中止により回復・改善することが明らかになった。以上は今後青黛を使用する患者に対して、安全面に関する適切な情報を提供することが可能となると考える。
ガイドライン等の開発
今後日本消化器病学会、厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班と連携を取りながら、青黛の有効性・安全性に関して、潰瘍性大腸炎診療ガイドラインなどへの追記を目指す。
その他行政的観点からの成果
青黛治療に関わる医師が本研究の副作用内容を把握することにより、青黛使用患者の副作用頻度および重症度の軽減が可能となり、医療経済学的にも有益であると考えられる。健康被害防止のために、発見された場合には肺高血圧症治療薬による介入だけではなく、青黛の内服中止を行うことが重要であることが本研究より明らかになった。
その他のインパクト
本研究を契機に、これまで副作用の実態が不明瞭であった、青黛を含有する漢方薬においても肺高血圧症や腸重積などの副作用が生じることが明らかになったことは安全性に関する情報提供が可能となり、多くの使用患者によって有益なことである。また青黛の内服に伴う肺動脈性肺高血圧症はその臨床的特徴から新たな薬剤誘発性の肺高血圧症の一種と考えられたことは意義のあることと思われる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201706009Z