文献情報
文献番号
201706008A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの供給に係る課題の抽出及びその解決策の検討に関する研究
課題番号
H29-特別-指定-008
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 澄信(独立行政法人国立病院機構本部 総合研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ワクチンの供給に関して、何らかの問題が発生、あるいは発生が懸念される場合には、国は、都道府県等にあてて通知等を発出し、ワクチンの安定供給に努めている。しかしながら平成28年8月の関西空港における麻しんの発生に伴う関心の向上等に端を発した乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の不足感や日本脳炎ワクチン製造所のある熊本が平成28年熊本地震で被災し、全国的にはワクチンが不足していないにも関わらず、ワクチンの供給不足感が発生した。ワクチンの流通過程におけるワクチンの地域的な偏在等が原因と推察された。その解消に向けての問題点を整理することを目的とする。
研究方法
ワクチンの流通過程におけるワクチンの地域的な偏在等が原因と推察された。その解消に向けて、諸外国の流通および流通備蓄の状況を調査し、あわせて、国内のワクチン製造販売業者ならびに医薬品卸売業者に対して、ヒアリングを行い、問題点の整理を行った。
結果と考察
米国では小児用ワクチンを6か月流通備蓄、英国も製造販売業者が1社の場合は半年、複数社の場合は3か月備蓄していた。フランス、ドイツは流通備蓄を用意していない。ギリシャ、ベルギー、オランダは一定量の備蓄を義務付けている。
わが国の現状では2か月分程度の流通備蓄があるが、それを増大させるための手法として、国による全量買い上げ方式、国による流通備蓄相当買い上げ方式、各業者による流通在庫積み増し方式案を提示し、各案について意見聴取した。その結果、共通の問題点として①備蓄用製剤をすぐに全量製造することは困難(ビルドアップには時間が必要)、②保管と管理の責任の所在の明確化が必要、③備蓄した製品の廃棄の際の代償、④流通可能な有効期間が短くなることへの対応:国家検定の迅速化、PMDAでの一変申請の承認の迅速化、⑤一変申請後、前の製品が使えなった際の補償、⑥企業の営業戦略への影響、⑦税制面での支援(在庫を持つことによる経営状況の悪化)⑧備蓄倉庫被災時の補償などの問題点が浮き彫りになった。
わが国の現状では2か月分程度の流通備蓄があるが、それを増大させるための手法として、国による全量買い上げ方式、国による流通備蓄相当買い上げ方式、各業者による流通在庫積み増し方式案を提示し、各案について意見聴取した。その結果、共通の問題点として①備蓄用製剤をすぐに全量製造することは困難(ビルドアップには時間が必要)、②保管と管理の責任の所在の明確化が必要、③備蓄した製品の廃棄の際の代償、④流通可能な有効期間が短くなることへの対応:国家検定の迅速化、PMDAでの一変申請の承認の迅速化、⑤一変申請後、前の製品が使えなった際の補償、⑥企業の営業戦略への影響、⑦税制面での支援(在庫を持つことによる経営状況の悪化)⑧備蓄倉庫被災時の補償などの問題点が浮き彫りになった。
結論
上記の問題点を踏まえ、医療機関による過剰な発注を防止し、迅速な流通情報提供を目的としたワクチン流通の見える化や、災害あるいはワクチンで予防可能な疾患のアプトブレークに対応できるワクチン供給体制整備に向けての問題点を整理した。
公開日・更新日
公開日
2018-06-07
更新日
-