文献情報
文献番号
201706002A
報告書区分
総括
研究課題名
医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究
課題番号
H29-特別-指定-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院総合研究部 医学域 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 田宮 菜奈子(筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野)
- 武藤 香織(東京大学 医科学研究所 公共政策研究分野)
- 篠原 亮次(健康科学大学 健康科学部 理学療法学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,823,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本調査は、「成年後見制度利用促進基本計画」及び「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」を踏まえ、医療機関が成年後見人や身元保証人に求める役割や支援の内容、医療機関職員の制度理解の状況といった実態把握を行うことを目的とした。
研究方法
全国の調査対象医療機関に所属する院長、医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務職を対象とし、質問紙調査とヒアリング調査を実施した。質問紙調査は平成29年9月から10月に実施した。医療機関毎の配布枚数は、各種病院(4,602箇所)へは成年後見人に関する調査票6枚と身元保証人に関する調査票1枚、一方、有床および無床診療所(1,500箇所)へは成年後見人に関する調査票1枚と身元保証人に関する調査票1枚を配布した。
合計配布枚数は、成年後見人に関する調査用質問票は29,112枚、身元保証人に関する調査用質問票は6,102枚となった。ヒアリング調査は平成30年1月から2月に実施した。成年後見人へ医療行為の同意を求めたケースの詳細な実態把握および身元保証人を求めるようになった経緯や身元保証人に求める役割についての詳細な実態把握を行うため、アンケート調査に回答した個人へヒアリング調査を実施した。
合計配布枚数は、成年後見人に関する調査用質問票は29,112枚、身元保証人に関する調査用質問票は6,102枚となった。ヒアリング調査は平成30年1月から2月に実施した。成年後見人へ医療行為の同意を求めたケースの詳細な実態把握および身元保証人を求めるようになった経緯や身元保証人に求める役割についての詳細な実態把握を行うため、アンケート調査に回答した個人へヒアリング調査を実施した。
結果と考察
成年後見人に関する調査票の回収枚数は5,168名(回収率17.8%)、身元保証人に関する調査票の回収枚数は1.399名(回収率22.9%)であった。ヒアリング調査において、成年後見人に関する調査は医師4名、看護師1名、医療ソーシャルワーカー3名に実施し、身元保証人に関する調査は医師3名、事務職3名、医療ソーシャルワーカー1名に実施をした。
質問紙調査およびヒアリング調査に関して、成年後見人に関する事項では、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応についての規定や手順書がない医療機関が多く、規定のない中で個別の対応を求められている現状がうかがえた。医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応では「医療行為の同意」に苦慮しており、医療行為の同意を、成年後見人に求めている現状もうかがえた。今後、成年後見人は身上監護の点から、医療行為の意思決定の支援に参与してもらうことが望まれる。そのためには、成年後見制度の理解の促進やアドバンス・ケア・プランニングの推進が重要である。加えて、医療機関の種別によって、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応について規定や手順書の有無、成年後見制度を利用している患者を担当した経験、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応における困りごと等が異なることが示唆された。医療機関によって環境要因や人的要因が大きく異なることを考慮して、医療機関規模別、機能別に好事例の調査を実施し、それぞれのモデル事例を周知することが望まれる。
一方、身元保証人に関する事項では、多くの医療機関において、入院時に身元保証人等を求めることは慣習として広まっており、身元保証人等は医療費の支払いから日常の世話までを網羅する家族と同様の役割を求められていることがうかがえた。身元保証人等がいないことが入院を拒否する正当な理由に該当しないことが認識されていない医療機関が存在する可能性も示唆されたため、身元保証人等が得られない場合の入院がどのようなプロセスを経て、入院に至っているのか、また入院を拒否するプロセスについてのヒアリング調査が望まれる。身元保証等高齢者サポート事業については、医療機関の規模や機能によって活用している身元保証等高齢者サポート事業の提供者や、利用サービス内容に差異がある可能性が示唆されたため、医療機関の規模別、機能別にどのような差異があるのかを詳細に調査をし、現状のサービスで活用されている部分と不足している部分を整理していく必要がある。
質問紙調査およびヒアリング調査に関して、成年後見人に関する事項では、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応についての規定や手順書がない医療機関が多く、規定のない中で個別の対応を求められている現状がうかがえた。医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応では「医療行為の同意」に苦慮しており、医療行為の同意を、成年後見人に求めている現状もうかがえた。今後、成年後見人は身上監護の点から、医療行為の意思決定の支援に参与してもらうことが望まれる。そのためには、成年後見制度の理解の促進やアドバンス・ケア・プランニングの推進が重要である。加えて、医療機関の種別によって、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応について規定や手順書の有無、成年後見制度を利用している患者を担当した経験、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応における困りごと等が異なることが示唆された。医療機関によって環境要因や人的要因が大きく異なることを考慮して、医療機関規模別、機能別に好事例の調査を実施し、それぞれのモデル事例を周知することが望まれる。
一方、身元保証人に関する事項では、多くの医療機関において、入院時に身元保証人等を求めることは慣習として広まっており、身元保証人等は医療費の支払いから日常の世話までを網羅する家族と同様の役割を求められていることがうかがえた。身元保証人等がいないことが入院を拒否する正当な理由に該当しないことが認識されていない医療機関が存在する可能性も示唆されたため、身元保証人等が得られない場合の入院がどのようなプロセスを経て、入院に至っているのか、また入院を拒否するプロセスについてのヒアリング調査が望まれる。身元保証等高齢者サポート事業については、医療機関の規模や機能によって活用している身元保証等高齢者サポート事業の提供者や、利用サービス内容に差異がある可能性が示唆されたため、医療機関の規模別、機能別にどのような差異があるのかを詳細に調査をし、現状のサービスで活用されている部分と不足している部分を整理していく必要がある。
結論
成年後見人に関する事項では、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応についての規定や手順書がない医療機関が多く、また実際の対応では「医療行為の同意」に苦慮しており、医療行為の同意を、成年後見人に求めている場合がある。一方、医療機関の種別ごとに検討すると規定や手順書の有無、成年後見制度を利用している患者を担当した経験、医療にかかわる意思決定が困難な患者への対応における困りごと等が異なる。
身元保証人に関する事項では、多くの医療機関において、入院時に身元保証人等を求めており、身元保証人等は医療費の支払いから日常の世話までを網羅する家族と同様の役割を期待されている場合がある。身元保証人等がいないことが入院を拒否する正当な理由に該当しないことが認識されていない医療機関が存在する可能性がある。身元保証等高齢者サポート事業については、医療機関の規模や機能によって活用している身元保証等高齢者サポート事業の提供者や、利用サービス内容に差異がある可能性がある。
身元保証人に関する事項では、多くの医療機関において、入院時に身元保証人等を求めており、身元保証人等は医療費の支払いから日常の世話までを網羅する家族と同様の役割を期待されている場合がある。身元保証人等がいないことが入院を拒否する正当な理由に該当しないことが認識されていない医療機関が存在する可能性がある。身元保証等高齢者サポート事業については、医療機関の規模や機能によって活用している身元保証等高齢者サポート事業の提供者や、利用サービス内容に差異がある可能性がある。
公開日・更新日
公開日
2018-05-31
更新日
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