保健関連ポスト2015国連開発目標に貢献する途上国における住民登録制度の研究

文献情報

文献番号
201705009A
報告書区分
総括
研究課題名
保健関連ポスト2015国連開発目標に貢献する途上国における住民登録制度の研究
課題番号
H27-地球規模-若手-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
横堀 雄太(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 国際医療協力局 研修課)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
814,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Civil Registration and Vital Statistics( 住民登録と人口動態統計:以下 CRVS) の国際動向についてのレビュー並びに各国 の CRVS システムについて調査を行い、各国の CRVS システム改善への提言をまとめ、我が国の CRVS システムと比較検 討をする事で、ポスト 2015 国連開発目標に関連した我が国の国際貢献の方向性を検討する上で必要な情報提供を行う。
研究方法
2年次の研究を受けて、保健セクターにおけるCRVSの役割に関する調査をラオスにて実施した。また、ザンビアの調査結果問題が指摘された到着時死亡症に関する調査を口頭剖検による自動死因特定プログラム(SmartVA)を用いて死因調査を実施した。また、当該分野における日本政府として協力の可能性を探るため日本におけるCRVSについても調査を行った。
結果と考察
1. ラオスCRVSの保健セクターにおける役割に関する調査研究
ラオス保健セクターにおけるCRVS現状調査の結果以下の点が結果として挙げられた。1.保健セクターの主要な役割は住民登録システムにおける保健医療施設内の出生死亡の通知と人口動態統計における出生・死亡数やそれに付随した死因などの情報の報告である。2.内部規定、情報インフラ、情報収集 / 報告活動に関しては概ね整備されているが、情報の質に関わる評価 は十分ではなく、ICD-10 コードは調査時点では、すべてのレベルで使われていなかった。3、死 亡・ 出 生 住 民 登 録 へ の 促 進 活 動、出生死亡証明書の発行に関する実施状況も低レベルにあった。結果をふまえ、保健省に対し、多省庁横断的協力による出生の把握、診断・死因の標準化、CRVSにおける保健セクターの評価標準化の可能性に関して政策提言を行った。

2. ザンビア到着時死亡症例に関する調査
調査結果以下のように結果がまとめられた。1. 到着時死亡症例の平均年齢は、47.2 才(男 61.8%、女38.2%)2. SmartVA による死因分析では、AIDS/TB/Malaria といった感染症が大きな死因の割合をしめるが、非感染性疾患(NCD) による死因も上位を占めており、院内死亡症例死因の分布よりNCDによる死因割合が多くを占めていた。3. 死亡診断書の死因とSmart VA による死因を比較したところ、Smart VA で 75% の症例の死因を特定できた(死亡診断書では 60%)。調査後、研究を通じて構築した一連の院外死亡死因同定システムが有効かつ実践的な方法であり、定常的に使用されるようザンビア政府に提言し、その後、提言に沿った形で、大学教育病院ではアメリカ CDC の援助のもとザンビア総務省により Smart VA による到着時死亡分析を定常業務として行われるようになった。

3. 日本におけるCRVS現状調査
日本におけるCRVSの保健セクターにおける役割に関する調査により、以下の点において、現在 CRVS 確立を目指す国に対して、日本の CRVS システムの下記の点が参考になると考えられる。1.法の枠組み 。2. 関係省庁の役割分担。3. 住民登録 における住民登録の促進(法律による規定や登録時の負担軽減 等)4. 人口動態 におけるIT による情報システムによる 自治体の負担軽減 ならびに人口動態データの一般公開 、ICD による標準化。
結論
上記結果を踏まえ、当研究は、“CRVS システムに関連した保健セクターの役割強化に対し提言をまとめ、各国保健省並びに各関係ドナー、また今後の協力の可能性について , 日本国厚生労働省等に対し一定の政策提言の導き出すことができた。結果は、各国保健省ならびに関連ドナーに対し共有され、日本のCRVS分野における協力の可能性に関しては厚労省国際課に報告されたまた、その他、年一回以上学会発表を通じて結果発表を行い、広く結果を共有した。今後、順次結果を論文化予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-05-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201705009B
報告書区分
総合
研究課題名
保健関連ポスト2015国連開発目標に貢献する途上国における住民登録制度の研究
課題番号
H27-地球規模-若手-005
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
横堀 雄太(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 国際医療協力局 研修課)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Civil Registration and Vital Statistics( 住民登録と人口動態統計:以下 CRVS) の国際動向についてのレビュー並びに各国 の CRVS システムについて調査を行い、各国の CRVS システム改善への提言をまとめ、我が国の CRVS システムと比較検 討をする事で、ポスト 2015 国連開発目標に関連した我が国の国際貢献の方向性を検討する上で必要な情報提供を行う
研究方法
研究1年次:CRVS関連情報収集・文献レビュー
研究2年次:フィールド調査:ザンビアCRVSにおける保健セクターの役割に関する調査
研究3年次:フィールド調査ならびにまとめ
結果と考察
1.文献レビュー
出生登録と死亡登録における現状と問題点は、それらの低登録率に加え、出生の遅延登録や不正確な死因特定であり、また双方に影響する要因として、CRVS の関連する法的枠組みの不備や不十分な執行状況、異なる関連組織間のコミュニケーション不足や不明確な責任の所在等が挙げられることが既存の文献からの結果である。また、効果的な CRVS システム構築のために、保健セクターは届出や証明書の発行を通じた住民の CRVS システムへのエントリーポイント等において重要な役割を担う必要がある。しかし、現在、中・低所得国における CRVS システムにおいて保健セクターが果たしている役割は明確ではない。

2. CRVSの保健セクターにおける役割に関する調査研究
a)ザンビア
①出生・死亡情報管理システム、② 国際疾病分類(ICD-10)コーディングに関する保健医療施設スタッフの能力、③到着時死亡症例の死因・背景に関するデータ収集に問題があることがわかりそれぞれの問題点に対する改善点についてザンビア保健省ならびに関連機関に対し提言を行った。また、到着時死亡症例についてその死因に関してはさらなる調査の必要があることが分かった。
b)ラオス
①保健セクターの主要な役割は住民登録システムにおける保健医療施設内の出生死亡の通知と人口動態統計における出生・死亡数やそれに付随した死因などの情報の報告である。②内部規定、情報インフラ、情報収集 / 報告活動に関しては概ね整備されているが、情報の質に関わる評価は十分ではなく、ICD-10 コードは調査時点では、すべてのレベルで使われていなかった。③死 亡・ 出 生 住 民 登 録 へ の 促 進 活 動や出生死亡証明書発行に関する実施状況も低レベルにあった。結果をふまえ、保健省に対し、多省庁横断的協力による出生の把握、診断・死因の標準化、CRVSにおける保健セクターの評価標準化の可能性に関して政策提言を行った。

3.ザンビア到着時死亡症例に関する調査
調査結果、SmartVA による死因分析では、AIDS/TB/Malaria といった感染症が大きな死因の割合をしめるが、非感染性疾患(NCD) による死因も上位を占めており、院内死亡症例死因の分布よりNCDによる死因割合が多くを占めていた。また、死亡診断書の死因とSmart VA による死因を比較したところ、Smart VA で 75% の症例の死因を特定できた(死亡診断書では 60%)。調査後、研究を通じて構築した一連の院外死亡死因同定システムが有効かつ実践的な方法であり、定常的に使用されるよう保健省( あるいは総務省) に提言し、その後、提言に沿った形で、大学教育病院ではアメリカ CDC の援助のもと Smart VA による到着時死亡分析を定常業務として行われるようになった。

4.日本によるCRVS現状調査
日本におけるCRVSの保健セクターにおける役割に関する調査により、以下の点において、現在 CRVS 確立を目指す国に対して、日本の CRVS システムの下記の点が参考になると考えられる。1.法の枠組み。2.関係省庁の役割分担 。3. 住民登録における住民登録の促進 4. 人口動態 におけるIT による情報システムによる 自治体の負担軽減 ならびに人口動態データの一般公開 、ICD による標準化。

結論
上記結果を踏まえ、当研究は、“CRVS システムに関連した保健セクターの役割強化に対し提言をまとめ、各国保健省並びに各関係ドナー、また今後の協力の可能性について , 日本国厚生労働省等に対し一定の政策提言の導き出すことができた。結果は、各国保健省ならびに関連ドナーに対し会議等を通じて共有され、日本のCRVS分野における協力の可能性に関しては厚労省国際課に報告されたまた、その他、年一回以上学会発表を通じて結果発表を行い、広く結果を共有した。今後、順次結果を論文化予定である。

公開日・更新日

公開日
2018-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201705009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究結果を踏まえ、当研究は、“CRVS システムに関連した保健セクターの役割強化に対し提言をまとめ、各国保健省並びに各関係ドナー、また今後の協力の可能性について , 日本国厚生労働省等に対し一定の政策提言の導き出すことができた。結果は、各国保健省ならびに関連ドナーに対し会議等を通じて共有され、日本のCRVS分野における協力の可能性に関しては厚労省国際課に報告されたまた、その他、年一回以上学会発表を通じて結果発表を行い、広く結果を共有した。
臨床的観点からの成果
臨床に関連した研究ではなく特記すべきことなし。
ガイドライン等の開発
特記すべきことなし
その他行政的観点からの成果
本研究で評価した自動口頭剖検システムがザンビア国内の行政システムとして取り入れられ、2021年7月現在で、対象病院からザンビア全国へ拡大している。
その他のインパクト
特記すべきことなし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yokobori Y, Matsuura J, Sugiura Y, Mutemba C, et al
Analysis of causes of death among brought-in-dead cases in a third-level Hospital in Lusaka, Republic of Zambia, using the tariff method 2.0 for verbal autopsy: a cross-section
BMC Public Health , 20 (1) , 473-  (2020)
原著論文2
Yuta Yokobori, Jun Matsuura, Yasuo Sugiura, Charles Mutemba
Gaps in the civil registration and vital statistics systems of low- and middle-income countries and the health sector’s role in improving the situation
Glob Health Med  (2021)
10.35772/ghm.2020. 01103
原著論文3
Rei Haruyama, Martin Nyahoda, Sharon Kapambwe, Yuta Yokobori1
Underreported breast and cervical cancer deaths among brought-in-dead cases in Zambia
The American Society of Clinical Oncology  (2021)
原著論文4
Yuta Yokobori, Yasuo Sugiura, Charles Mutemba et al
Comparison of the Causes of Death Identified Using Automated Verbal Autopsy and Complete Autopsy among Brought-in-Dead Cases at a Tertiary Hospital in Sub-Sahara Africa
Applied Clinical Informatics  (2022)

公開日・更新日

公開日
2018-07-05
更新日
2022-07-07

収支報告書

文献番号
201705009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,000,000円
(2)補助金確定額
1,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 636,935円
旅費 55,854円
その他 121,211円
間接経費 186,000円
合計 1,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-05-24
更新日
-