国際保健政策人材増強のための国内環境整備施策に関する研究

文献情報

文献番号
201705008A
報告書区分
総括
研究課題名
国際保健政策人材増強のための国内環境整備施策に関する研究
課題番号
H29-地球規模-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
山下 俊一(長崎大学 原爆後障害医療研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 仲佐 保(国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 馬場 幸子(大阪大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的の一つは、「グローバルヘルス人材戦略センター」が今後、取り組むべき課題の特定と取り組むべき対策のプライオリティー付けへの提案である。
 本研究において、究明されるべきは2つである。一つは長年、問題と認識されているこの問題が何故、解決されにくいかをエビデンスを以って、課題の特定をすることにある。今ひとつは課題が特定された後の解決策としてどのようなオプションがあるかという提案である。
 ここでひとつの疑問が浮かんでくる。国際保健の領域には公的セクターのみならず、多くの民間セクターが活躍しており、公的セクター同様、民間セクターでも同様に人材の流動化が阻まれているのかという疑問である。そういった意味で課題を特定する際には、その課題が公的セクター特有の課題であるのかを精査し、仮に課題が公的セクター特有の課題であることが明らかになれば、解決策のオプションは身近に存在するということになろう。そういった意味で、課題の特定に際しては、民間セクターとの比較研究が極めて重要になってくる。
 民間セクターでは、公的セクターよりも人材の流動性が高く、国際的なキャリアパスが公的機関に比べて、既に構築されており、人材の国際化が促進されていることが予想されるからである。
研究方法
第一年度である本年度の研究目的は、国際保健政策人材養成において主要な障害の特定であった。
国際保健政策人材養成ワーキンググループ報告書及びその他の文献につき、キーワード検索等を通じて、国際保健政策人材養成における大きな問題が何であるかを特定する他、民間セクターの国際的人材流動に関する実態調査を行った。民間セクターでは、公的セクターよりも人材の流動性が高く、国際的なキャリアパスが公的機関に比べて、既に構築されており、人材の国際化が促進されていることが予想されたからである。 
結果と考察
 国際保健政策人材養成において多岐にわたる分野の主要な障害を具体的に特定するために、文献(情報)レビューを行うべき18サブテーマを決定した。また、サブテーマの一部について、検索及びレビューを開始した。検索は主にインターネットでのリサーチエンジンを用い、対象機関が作成しているウェブサイトや公表刊行物を利用した。
東京及び神戸に事務所を置く外国籍の企業、及び海外事業所を有する日本企業、全5社を対象に、守秘義務を遵守する事で、インタビューあるいはアンケート調査への協力を要請したところ、全企業とも企業名を明記したアンケート調査への回答はできないとの回答であった。理由は人事記録に関することであり、守秘義務の観点から情報を開示できないとのことであった。一方、匿名のインタビューへの回答はできるとのことであり、データの信頼性に疑問は残るものの他の選択肢もないことから匿名のインタビューを実施した。
調査の結果、外資系企業全社において、日本人社員が外資系企業の本社を含む海外事業所で活躍できている実態がないことが判明した。当然のことながら国際的に展開する日本企業の場合は逆に海外事業所の責任者等がほとんど日本人であるとの回答であった。日本企業が海外展開する場合と同様、外資系企業もその本社の存在する「母国」があり、その「母国」出身の社員が多くの場合、主要な海外事業所の主要なポストを占めていることがほとんどであり、国際採用された日本人社員であっても、中間管理職止まりが実態であるようである。印象的であったのは、外資系企業と言う言葉が一人歩きするものの、米国企業、中国企業、ドイツ企業ということであり、そういった会社が海外展開をしているに過ぎなく、日本の企業の海外展開と基本的には一緒であるという回答であった。日本にある会社の部長職や執行役員などの幹部職員も日本から次は本社の幹部へという例はほとんどないことの実態であった。
結論
文献調査については、まだ、開始したところであり、結論に至るまでのデータが揃っておらないことから、引き続きの調査を進めることとしている。
 国際保健医療政策人材の登用が増えないことは我が国の公的セクターの特徴、例えば、年功序列のシステムや人事の流動性の課題と給与問題などが阻害要因となっており、民間の優れた点に倣い、公的セクター内に存在する本邦独自のシステムや慣行などを変えていく必要があるとの仮定に基づき、民間セクターの動向を予備的に調査した。
 しかし、民間セクターにおいても、そのグローバル化は、日本企業の文化や慣行に根差したものであることが多く、大きな差異がないという結論が予見される初期調査となった。国際機関などへ邦人職員の増加をその立場や人数を目標に議論することの前に、真にグローバル保健医療政策人材とは何か、そしてその人材育成や支援の制度設計がどうあるべきかを、民間セクターのノウハウから類推することは困難であった。

公開日・更新日

公開日
2018-07-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201705008Z