ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)達成に寄与する要因の解明と我が国による効果的な支援施策に関する研究

文献情報

文献番号
201705004A
報告書区分
総括
研究課題名
ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)達成に寄与する要因の解明と我が国による効果的な支援施策に関する研究
課題番号
H28-地球規模-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
大角 晃弘(公益財団法人結核予防会結核研究所 臨床・疫学部)
研究分担者(所属機関)
  • 内村 和広(公益財団法人結核予防会結核研究所 臨床・疫学部)
  • 山田 紀男(公益財団法人結核予防会結核研究所 国際協力・結核国際情報センター)
  • 伊達 卓二(保健医療経営大学 保健医療経営学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,856,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本を含むいくつかの工業先進諸国とアジア・アフリカ諸国におけるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)の達成状況に関する情報を収集・比較分析し、1960年代にUHCを達成した日本を一つのモデルとして、結核対策とUHCの発展との関係と、結核対策がUHC達成に寄与した要素を明らかにし、我が国としての支援施策について具体的に提言することである。
研究方法
研究は、日本及び他の先進国(カナダ・英国等)やアジア・アフリカ諸国(フィリピン・バングラデシュ・カンボジア・タイ・ケニア)のUHCに関する既存の関係資料や、関係者からの面接及び電子メール等による情報収集、情報を整理・分析することにより、UHC達成状況の評価、UHC達成の阻害要因と促進要因の検討、UHC達成と結核対策との関連性等を検討する記述的研究である。
結果と考察
・フィリピンにおけるUHC達成の課題については、インフォーマルセクターに所属する人々におけるPhilHealth未加入率が高いこと、保険負担金支払いが免除される貧困層に所属しているか否かの判定についてかなりの偏りがあること等の課題があった。・バングラデシュのダッカ市内においては、ダッカ市結核対策部が中心となり、患者がどこで診断されても、近くの診療機関ないし保健センターで治療を完了する仕組みを構築してきた。・UHC達成の政策学的な検討では、日本、カナダ、英国とそれぞれの国の時代、政治的背景に違いはあるものの、UHC達成における5つの要因での整理が可能であった。日本における地域保健強化がUHC達成に影響を与えた点については、地域における保健・医療制度の強化と保健・医療における地域住民の「力」の強化の両輪が機能したと考えられた。・カンボジアでは、依然として患者の窓口負担が総医療支出の63%を占めており、1ヶ月間の世帯医療関連支出が100米ドル以上だった世帯の割合は9.6%であった。このような医療費の高負担世帯では、27.9%の世帯が借入金を、17.3%の世帯が資産売却、23.7%の世帯は親戚等からの贈与により支出していた。・タイでは、2001年に確立したUniversal Coverage Scheme (UCS)によってUHCが達成されているが、医療保険が適用される施設へのアクセスの程度も評価する必要があると考えられた。・ケニア政府としては、UHC達成に積極的に取り組んでおり、国民の医療費に占めるOut-of-Pocket(OOP)支出割合は、近年減少傾向である。公的医療保険の加入者は増加傾向にあるが、Informal sector約1千万人が未加入であり、医療施設の数や質、医療へのアクセス数など、性別・教育・地域・経済状態などの格差問題があることが明らかとなった。
結論
・フィリピンでは、保健所側でPhilHealthによる公認を継続申請する意欲や、受診者に対してもPhilHealthへの加入を積極的に勧める意欲も阻害している要因が判明した。バングラデシュのダッカ市で、結核対策に関与する様々なパートナーと保健省の保健経済部門の関係者とが、政策や今後の課題について議論がなされたことは、意義があると思われた。・保健所と保健師を軸とした日本の結核患者管理における結核対策は、地域・住民からの動きを促進させる事業の推進があったと考えられた。・カンボジアにおいては、保健サービス提供や保健財政など保健システムの進歩がUHC実現を促しているかどうか、さらに検討していく必要がある。・タイにおけるUHCについては、結核発病リスクグループへの対応をさらに検討する必要がある。・ケニア政府の保健医療政策は、結核対策を含めた現状の医療サービス提供体制や医療機関受診状況は、男女間や地域間、教育や家計の状況などで格差があり、UHC達成には時間がかかることが予想された。

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201705004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,712,000円
(2)補助金確定額
3,712,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 28,580円
人件費・謝金 1,232,400円
旅費 1,534,340円
その他 84,258円
間接経費 856,000円
合計 3,735,578円

備考

備考
支出超過分(23,578円)を自己資金で補填した。

公開日・更新日

公開日
2018-05-29
更新日
-