文献情報
文献番号
201703017A
報告書区分
総括
研究課題名
介護施設入居高齢者等の疾病の早期発見・重症化予防をAIを活用して行う実証研究
課題番号
H29-ICT-一般-007
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 鹿島 久嗣(京都大学 情報学研究科)
- 櫻井 保志(熊本大学 大学院先端科学研究部)
- 國澤 進(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
介護施設等に居住する高齢者等の疾病の早期発見・重症化予防を行うために、各種データを用いた評価・通知のシステムを研究開発し、現場にフィードバックすることを目的としている。
研究方法
1)【生体センサーデータの解析】早期発見・重症化予防に向けて生体センサーデータを解析する。
2)【医療・介護の大規模データ解析】医療・介護(病名・行為等)の大規模データを解析する。
3)【介護提供に係る組織文化と利用者の生活の質のモニタリングと包括的アプローチ】ケア提供に関わる組織文化と利用者生活の質・満足度をモニタリングして活用し、これらの多側面の情報を用いて包括的にアプローチする。
2)【医療・介護の大規模データ解析】医療・介護(病名・行為等)の大規模データを解析する。
3)【介護提供に係る組織文化と利用者の生活の質のモニタリングと包括的アプローチ】ケア提供に関わる組織文化と利用者生活の質・満足度をモニタリングして活用し、これらの多側面の情報を用いて包括的にアプローチする。
結果と考察
1)【生体センサーデータの解析】
介護施設等の居住者の生体センサーを用いた見守りサービスの導入施設のデータ解析を開始した。
パナソニック株式会社が開発・実用化している動きデータの二次利用の承諾を得た。
このデータを利用する具体的な研究計画を、京都大学倫理委員会にて審議を受け、2018年4月に承認を得た。
2017年度は、実データの提供を受けるためのる準備を進め、データを想定した検討を行った。
アウトカムの設定については、要介護状態の悪化あるいは改善などの日常生活との関わりとを重点課題として検討した。
そのほか、データのノイズ除去の必要性の把握とその除去する方法等の検討を行った。例えば、動作の有無を検出するための時間幅の設定や、他人が入室した場合と入居者が動作をした場合の違いが判別できるかどうかなど、データのクリーニングの必要性を検討した。
2)【医療・介護の大規模データ解析】
1年間に介護サービスの利用があった要支援1~2と要介護度1~4の利用者を対象にした。登録期間中、最初に介護サービス利用があった月から最大4.5年間追跡した。サンプル数は77,159人であった。認知症あり群は23,638人(30.6%)、平均年齢84歳、認知症なし群は53,521人(69.4%)、平均年齢83.3歳であった。
また、4.5年の追跡が終わったところで、認知症あり群の累積生存率は17.6%であった。追跡21ヶ月目に半数で介護ニーズ増加した。認知症なし群の累積生存率は31.9%であり、半数で介護ニーズが増加する時点は追跡から31か月目であった。
3)【介護提供に係る組織文化と利用者の生活の質のモニタリングと包括的アプローチ】
以下の計19施設を対象に、組織文化調査を開始した。
サービス付高齢者向け住宅5、グループホーム2、住宅型有料老人ホーム2、通所介護事業所9、運営本部1
介護施設等の居住者の生体センサーを用いた見守りサービスの導入施設のデータ解析を開始した。
パナソニック株式会社が開発・実用化している動きデータの二次利用の承諾を得た。
このデータを利用する具体的な研究計画を、京都大学倫理委員会にて審議を受け、2018年4月に承認を得た。
2017年度は、実データの提供を受けるためのる準備を進め、データを想定した検討を行った。
アウトカムの設定については、要介護状態の悪化あるいは改善などの日常生活との関わりとを重点課題として検討した。
そのほか、データのノイズ除去の必要性の把握とその除去する方法等の検討を行った。例えば、動作の有無を検出するための時間幅の設定や、他人が入室した場合と入居者が動作をした場合の違いが判別できるかどうかなど、データのクリーニングの必要性を検討した。
2)【医療・介護の大規模データ解析】
1年間に介護サービスの利用があった要支援1~2と要介護度1~4の利用者を対象にした。登録期間中、最初に介護サービス利用があった月から最大4.5年間追跡した。サンプル数は77,159人であった。認知症あり群は23,638人(30.6%)、平均年齢84歳、認知症なし群は53,521人(69.4%)、平均年齢83.3歳であった。
また、4.5年の追跡が終わったところで、認知症あり群の累積生存率は17.6%であった。追跡21ヶ月目に半数で介護ニーズ増加した。認知症なし群の累積生存率は31.9%であり、半数で介護ニーズが増加する時点は追跡から31か月目であった。
3)【介護提供に係る組織文化と利用者の生活の質のモニタリングと包括的アプローチ】
以下の計19施設を対象に、組織文化調査を開始した。
サービス付高齢者向け住宅5、グループホーム2、住宅型有料老人ホーム2、通所介護事業所9、運営本部1
結論
(1) 個々人の生体センサーデータと、病名等・医療介護行為データとの解析において、データと解析を連結させAI技術も駆使することで、リスク因子の組合せと時系列変化を把握し、より精度高く早期発見・重症化予測を行うことができるようになる。
(2) 解析アウトプットの介護や医療にあたる実務者のフィードバックは、活用志向で設計し、早期発見・重症化予防、および職場の負担軽減につながることが期待される。
(3) ここで収集されるデータは、現場の負担を増やすことなく、かつ観察対象者に侵襲や不快感を与えないものである。生体センサーデータは、血圧や脈拍などの非侵襲的データの自動集計に加えて、センサーカメラ等による空間的動態解析も可能である。また、病名等・医療介護行為データとして、全国で標準化された診療報酬・介護報酬データも活用する。この膨大なデータに機械学習やディープラーニングなどAI技術も駆使し、一方で臨床疫学的解析成果も加味して臨床現場に妥当な意味づけ・理論化も行い、学術および実用のさらなる展開の基盤として資する。
(4) また、これらの予測・予防ツールには、センサーデータ、ADL等の患者の健康関連QOLやケア提供者陣の組織文化などの情報をも含めた、従来にない包括的なデータ・情報を駆使し、これまでにない予測力と予防方策の実現へとつなげる。
(5) さらに、これらのシステムの開発研究を多分野および産官学連携の枠組で実施していくことにより、社会実装への円滑な導入へ向けた実証が可能となる。機械学習・AIによる解析および各モデルの統合を行い、疾病等の早期発見・重症化予防のための予測システムを開発し、迅速に現場フィードバックを行うしくみの構築を行うことを計画している。本年度は、データ確保、解析の開始、さらなるデータ収集解析のための整備など、目的を実現するための基盤を作ることができた。
(2) 解析アウトプットの介護や医療にあたる実務者のフィードバックは、活用志向で設計し、早期発見・重症化予防、および職場の負担軽減につながることが期待される。
(3) ここで収集されるデータは、現場の負担を増やすことなく、かつ観察対象者に侵襲や不快感を与えないものである。生体センサーデータは、血圧や脈拍などの非侵襲的データの自動集計に加えて、センサーカメラ等による空間的動態解析も可能である。また、病名等・医療介護行為データとして、全国で標準化された診療報酬・介護報酬データも活用する。この膨大なデータに機械学習やディープラーニングなどAI技術も駆使し、一方で臨床疫学的解析成果も加味して臨床現場に妥当な意味づけ・理論化も行い、学術および実用のさらなる展開の基盤として資する。
(4) また、これらの予測・予防ツールには、センサーデータ、ADL等の患者の健康関連QOLやケア提供者陣の組織文化などの情報をも含めた、従来にない包括的なデータ・情報を駆使し、これまでにない予測力と予防方策の実現へとつなげる。
(5) さらに、これらのシステムの開発研究を多分野および産官学連携の枠組で実施していくことにより、社会実装への円滑な導入へ向けた実証が可能となる。機械学習・AIによる解析および各モデルの統合を行い、疾病等の早期発見・重症化予防のための予測システムを開発し、迅速に現場フィードバックを行うしくみの構築を行うことを計画している。本年度は、データ確保、解析の開始、さらなるデータ収集解析のための整備など、目的を実現するための基盤を作ることができた。
公開日・更新日
公開日
2018-09-12
更新日
-