文献情報
文献番号
201703016A
報告書区分
総括
研究課題名
小児領域の医薬品の適正使用推進のための人工知能を用いた医療情報データベースの利活用に関する研究
課題番号
H29-ICT-一般-006
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
栗山 猛(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 臨床研究センター開発推進部ネットワーク推進室)
研究分担者(所属機関)
- 中村 秀文(国立成育医療研究センター臨床研究センター)
- 森田 英明(国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー・感染研究部)
- 森川 和彦(東京都立小児総合医療センター臨床研究支援センター)
- 石川 洋一(国立成育医療研究センター病院薬剤部)
- 加藤 省吾(国立成育医療研究センター臨床研究センターデータ管理部データ科学室)
- 荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学研究推進機構/情報科学研究科)
- 井上 永介(聖マリアンナ医科大学医学部医学教育文化部門(医学情報学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,537,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成29年度においては、これら添付文書情報を言語処理技術も活用して精査するとともに横断的に検索・抽出することが可能となる添付文書検索・抽出システムを開発し、小児医療情報収集システム(小児DB)から得られたシグナルについて、類薬も含めた対象薬剤における比較検証が容易となる基盤環境を整備する。また、小児DBとの連携についても検討を開始するとともに、試行的稼働の対象とする医薬品(疾患領域群と薬効群)及び当該領域の実地臨床において、それぞれの医薬品評価に必要となる具体的な評価項目などについて検討する。また、小児DBを活用した小児医薬品の適正使用及び安全対策に向けたデータ解析及びAIとの連携、小児医療分野における機械学習的解析手法の調査などについても検討していく。
研究方法
平成29年度においては、以下の点を主眼として研究を進めた。
1.添付文書検索・抽出システムの整備
2.小児科学及び小児臨床薬理学の視点からの検討
3.医療情報データベースを用いた小児領域の医薬品の使用実態に関する研究
4.医療情報データベースを用いた医薬品(抗微生物薬)の適正使用及び安全対策の評価に関する研究
5.医薬品情報、臨床薬学的見地からの検討
6.小児医療情報収集システムとAI連携との可能性に関する検討
7.薬剤添付文書における小児医薬品の記載のされ方に関する調査研究
8.小児医療分野における機械学習的解析手法の調査
1.添付文書検索・抽出システムの整備
2.小児科学及び小児臨床薬理学の視点からの検討
3.医療情報データベースを用いた小児領域の医薬品の使用実態に関する研究
4.医療情報データベースを用いた医薬品(抗微生物薬)の適正使用及び安全対策の評価に関する研究
5.医薬品情報、臨床薬学的見地からの検討
6.小児医療情報収集システムとAI連携との可能性に関する検討
7.薬剤添付文書における小児医薬品の記載のされ方に関する調査研究
8.小児医療分野における機械学習的解析手法の調査
結果と考察
1.電子化された添付文書(テキストデータ)の選定・入手を完了させるとともに、検索・抽出システムの仕様について検討し確定させた。本システムにより、添付文書に記載されている情報を横断的に検索・抽出することで、これまで網羅的な検索が困難であった添付文書上での小児適応の有無、用法・用量、副作用についても容易に把握可能となる。
2.添付文書記載事項の小児に関する内容を網羅的に抽出する技術を確立することが出来れば、その経時的な変化の調査が容易に可能になるのみならず、小児DBと連携した適応外使用実態、用法・用量の乖離、副作用情報等の解析も行えるようになる可能性がある。
3.小児において比較的有病率が高い感染症及びアレルギー疾患を初期の対象疾患として解析することとし、対象とする医薬品(群)、それら評価項目について確定させた。小児DBとAI技術が連携することで、小児に使用されている薬剤及び有害事象と考えられる事象をモニタリングし、適正使用、安全性の評価を試みる。
4.抗微生物薬適正使用並びに抗微生物薬における不必要使用、不適切使用について定義を明確化し、抗微生物薬の添付文書上の副作用及び教科書的に記載されている有害事象について評価した。小児DBで医療情報の収集し、医薬品の処方現場において適切な用法・用量や副作用について情報提供を行うことで適正使用の推進に寄与できるものと考える。また、予期しない有害事象が多発する場合には、小児DBからその異常値を検出し評価を促すと言うことも想定される。
5.小児DBで収集される医療情報等について、添付文書、文献のどの項目と比較可能かなど医薬品情報の観点・臨床薬学的見地から検討、精査を行った。小児においては体重・年齢情報を反映したシステムである必要があるため、小児の用法・用量が明確か、使用上の注意にあっては小児特有の記載がないかを意識する必要がある。
6.小児DBの活用例として、小児に対する承認と使用の実態に関する調査の方法を整理し、AIの活用可能性について検討した。引き続き、これらの実装形態について具体的に検討するとともに、その実現可能性についての評価を試行することを検討する。
7.添付文書における小児に関する記載について、その記載場所、記載のされ方について調査し不均一な箇所があることを明らかにした。特に、小児の年齢区分と安全性については、標準的な記述方法と明確な記述がなく、小児で医薬品適正使用の障壁になっている可能性がある。
8.小児医療分野では、確立した人工知能ツールの活用例は見られないものの海外では実験レベルであるものの病状悪化が予見される子どもの早期検知を支援する機械学習システム開発の報告がある。小児DBで、上記で取り上げたような事例につなげることは可能であろう。
2.添付文書記載事項の小児に関する内容を網羅的に抽出する技術を確立することが出来れば、その経時的な変化の調査が容易に可能になるのみならず、小児DBと連携した適応外使用実態、用法・用量の乖離、副作用情報等の解析も行えるようになる可能性がある。
3.小児において比較的有病率が高い感染症及びアレルギー疾患を初期の対象疾患として解析することとし、対象とする医薬品(群)、それら評価項目について確定させた。小児DBとAI技術が連携することで、小児に使用されている薬剤及び有害事象と考えられる事象をモニタリングし、適正使用、安全性の評価を試みる。
4.抗微生物薬適正使用並びに抗微生物薬における不必要使用、不適切使用について定義を明確化し、抗微生物薬の添付文書上の副作用及び教科書的に記載されている有害事象について評価した。小児DBで医療情報の収集し、医薬品の処方現場において適切な用法・用量や副作用について情報提供を行うことで適正使用の推進に寄与できるものと考える。また、予期しない有害事象が多発する場合には、小児DBからその異常値を検出し評価を促すと言うことも想定される。
5.小児DBで収集される医療情報等について、添付文書、文献のどの項目と比較可能かなど医薬品情報の観点・臨床薬学的見地から検討、精査を行った。小児においては体重・年齢情報を反映したシステムである必要があるため、小児の用法・用量が明確か、使用上の注意にあっては小児特有の記載がないかを意識する必要がある。
6.小児DBの活用例として、小児に対する承認と使用の実態に関する調査の方法を整理し、AIの活用可能性について検討した。引き続き、これらの実装形態について具体的に検討するとともに、その実現可能性についての評価を試行することを検討する。
7.添付文書における小児に関する記載について、その記載場所、記載のされ方について調査し不均一な箇所があることを明らかにした。特に、小児の年齢区分と安全性については、標準的な記述方法と明確な記述がなく、小児で医薬品適正使用の障壁になっている可能性がある。
8.小児医療分野では、確立した人工知能ツールの活用例は見られないものの海外では実験レベルであるものの病状悪化が予見される子どもの早期検知を支援する機械学習システム開発の報告がある。小児DBで、上記で取り上げたような事例につなげることは可能であろう。
結論
今年度の本研究による添付文書における小児に関する記述についての分析の結果、添付文書において小児関連情報の記述のされ方を収集することができた。この得られたデータにより、「小児」自体をどのように表現するのかという“表記のゆれ”と禁忌や慎重投与などの“表現のゆれ”の教師データとして利用可能であることも確認できた。また様々な見地から現状での添付文書情報と小児DB並びにAIとの連携・活用についての課題も抽出できた。
公開日・更新日
公開日
2018-09-12
更新日
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