電子カルテと連携する音声認識システムのニーズ把握及び音声認識システムに用いられる医療用語辞書の編纂に関する研究

文献情報

文献番号
201703013A
報告書区分
総括
研究課題名
電子カルテと連携する音声認識システムのニーズ把握及び音声認識システムに用いられる医療用語辞書の編纂に関する研究
課題番号
H29-ICT-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
野田 和敬(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 生坂 政臣(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 傳 康晴(国立大学法人千葉大学 文学部)
  • 鈴木 隆弘(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 大平 善之(国際医療福祉大学 医学部)
  • 上原 孝紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 島井 健一郎(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,537,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療業務の効率化は限られた医療資源への負荷を軽減する上で重要であり,それを達成するひとつの手段として,電子カルテと連携する音声認識技術の活用に期待が寄せられている。そのためには,音声認識技術に対する現場のニーズを把握することと,その場面における音声認識精度を向上させることが重要と考えられた。我々が調べた限りでは,国内の医療者を対象として電子カルテと連携する音声認識システムのニーズについて調査した報告は見当たらなかった。そこで本研究では,医師・コメディカルを対象としたアンケート調査を実施することとし,音声認識システムに対するニーズの高い領域・診療場面を明らかにする。次いで,ニーズの高い診療場面で使用される単語や用語の頻度を明らかにし,辞書構築を図ることを目的とする。
研究方法
<アンケート調査>
1) 調査対象者
平成29年度は,全国の特定機能病院85施設を対象とし,各施設の医師(各診療科から医師1名ずつ),看護師1名,薬剤師1名,臨床検査技師1名,理学療法士1名,作業療法士1名,言語聴覚士1名,診療放射線技師1名に回答を依頼した。
2) 方法
まず,千葉大学病院内での個別およびフォーカスグループでのインタビューを実施した。そこで得られたニーズの内容を踏まえてアンケート調査項目を決定した。続いて郵送法によりアンケート調査についての通知と回答依頼を行い,回答はすべてインターネット経由で収集することとした。なお,対象施設への調査票の郵送,Web回答画面の作成・管理・回収については調査会社へ委託した。
3) 解析方法
職種や診療分野ごとにクロス集計表を作成し,統計学的検討を行った。

<辞書の編纂>
A) 音声収録からの辞書編纂
音声収録は千葉大学医学部附属病院(以下,当院)内でICレコーダー(PCM形式)を用いて行うこととした。H29年度はまず,臓器横断的で医療面接に重点をおいた診療を行っている総合診療科の初診外来において実施した。
技術補佐員2名を当院にて雇用し収録した音声のテキスト書き起こし作業を行った。次いで,形態素解析により単語抽出と頻度分析,ならびに,音声データのコーパス化を行った。
B) 電子カルテのテキスト情報からの辞書編纂
当院の電子カルテのテキスト情報のうち,まずは総合診療科の診療録からサンプルデータを取り出し,辞書編纂工程で利用するスクリプト作成を行うこととした。
C) ATOKの変換履歴データによる辞書編纂作業の補完
ATOK専用の用語集計ツールを導入し,端末ごとの確定履歴,学習情報を蓄積させ,H30年度以降に辞書編纂に活用できる環境を構築することとした。
結果と考察
調査票の配布数はのべ3,155部(うち医師2,569部)で,回答者数は649名,回収率は20.6%であった。回答者の内訳は,医師(または歯科医師)463名(71.3%),看護師30名(4.6%),薬剤師36名(5.5%),臨床検査技師7名(1.1%),理学療法士37名(5.7%),作業療法士35名(5.4%),言語聴覚士23名(3.5%),診療放射線技師16名(2.5%),その他(医療事務)2名(0.3%)であった。ニーズが高かった用途を列挙すると,「電子カルテの特定の項目を呼び出す」,「救急対応時の処置等を記録する」,「カンファレンス等の会議録をテキスト化する」,「薬剤の添付文書を参照する」,「処置中にCT画像などの閲覧操作をする」,「患者への病状説明をそのままテキスト化する」,「診療情報提供書や入院診療計画書などの医療文書を作成する」,「カルテを記載する」,「問診・医療面接の内容をそのままテキスト化する」などであった。
従来から想定されてきたのは,文章の記載を目的として音声入力を用いることであったが,実際には『音声でのカルテ操作』と『会話の記録』を目的とした音声認識技術への要望の方が高い傾向にあった。
辞書の編纂では,Aについて千葉大学病院総合診療科外来において延べ約48時間分の医療面接音声の収録および約36時間分のテキスト書き起こしを実施した。書き起こされたテキストから作成した頻度付き語彙表によると,医師・患者間で使用される用語には難解な医学用語はほとんどなく,一般的な用語について辞書を充実させることが重要であると推察された。B, Cについてはデータ収集のための環境整備を行った。
結論
文章の記載を目的として音声入力を用いることは従来想定されてきたニーズではあるが,実際には「音声でのカルテ操作」と「会話の記録」への要望の方が高い傾向があった。医療面接(問診)の音声認識には,難解な医学用語よりも一般的な医学用語について辞書を充実させることが重要であると推察された。

公開日・更新日

公開日
2018-08-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201703013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,498,000円
(2)補助金確定額
8,498,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,886,457円
人件費・謝金 1,217,193円
旅費 139,870円
その他 3,293,480円
間接経費 1,961,000円
合計 8,498,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-03-18
更新日
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