適切な原死因記載のための教育コンテンツの開発

文献情報

文献番号
201702003A
報告書区分
総括
研究課題名
適切な原死因記載のための教育コンテンツの開発
課題番号
H28-統計-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
木下 博之(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 法医学)
研究分担者(所属機関)
  • 池松 和哉(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 教授)
  • 横田 順一朗(独立行政法人 堺市立病院機構)
  • 加藤 稲子(三重大学大学院 周産期発達障害予防学講座 小児科学)
  • 鷲見 幸彦(国立長寿医療研究センター 神経内科)
  • 横井 英人(国立大学法人 香川大学医学部 附属病院 医療情報部)
  • 宮武 伸行(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 死亡診断書・死体検案書の標準的な記載例を作成し、その普及・啓発のための教育コンテンツの開発を目的とする。
研究方法
 研究開発としては、事例と標準的記載例を中心とするコンテンツを作成する。特に、原死因を適切に記載・選択する事を主要な目的としており、選択方法の考え方を重点にした記載例を作成する。様々な領域の専門家から構成される各分担研究者、研究協力者の協力の下、過去の経験、学会や検討会、カンファレンスなどで伝聞した情報も含め、それぞれの領域における比較的典型的な事例を収集する。死亡診断書・死体検案書等を作成する上で問題となる点や課題を抽出し、それらを基に、ICD-10の原死因選択ルールに基づいた模範記載例(標準的記載例)を作成し、e-ラーニングのシステムとした。さらに、今年度は特に、模範記載例についての幅広い想定事例を作成し、充実を図る。記載例については、研究班員全員でのブラッシュアップを行い、様式の統一を図る。
(倫理面への配慮)
 例示の作成に際しては、個人情報や個人が特定できるような内容は含まない。
結果と考察
 死亡診断書・死体検案書作成の際に、因果関係の記載が困難な例、特に、内因(疾病によるもの)と外因(外傷や中毒、温度環境など)の両者が関与する事例などを中心に、60例余りの事例を設定し、それぞれについて模範記載例(標準的記載例)を作成した。
 死亡診断書、死体検案書は人間の死亡を医学的・法律的に証明することのみならず、わが国の死因統計を作成する際の資料となる。その記載内容のうち、死因欄に記載された傷病から選択された原死因が死因統計の分類を行う上での基礎となる。死因統計は、わが国の保健衛生行政や社会的にも広く活用されており、保健衛生政策を実施していく上での基盤データのひとつである。そのため、死亡診断書・死体検案書の作成にあたり、どのような形で記載内容が統計作成に利用されているかを熟知しておく必要があるが、現状の重要性についての意識・認識は必ずしも十分ではない。医学部の学部教育においても、これら死亡診断書、死体検案書の作成に関する授業は行われているものの、現場で診療や死体検案に従事する医師を対象として、医師会等の研修会での普及・啓発も不可欠である。
 本研究では実際の事例に即した形での教育コンテンツを作成した。このコンテンツについては、e-ラーニングによる自習のみならず、
講義や研修会等でも活用できるように、標準記載例についての幅広い事例を充実させた。
 死亡診断書・死体検案書の適切な記載は、直接的・間接的に死因統計の精度向上につながるものと考える。さらには死因統計の精度向上を介して、国民の健康増進や福祉の向上に大きく寄与することが期待される。
結論
 死亡診断書・死体検案書作成の際の、記載に困難を感じる例について,因果関係の記載が困難な例、あるいは記載方法の判断に迷う例について、適切な記載についての内容例示を充実させた。具体的な事例を用いた学習に関しては、適切な記載例の増加により、死因統計の精度向上、ひいては国民の健康増進・福祉の向上に大きく寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-09-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201702003B
報告書区分
総合
研究課題名
適切な原死因記載のための教育コンテンツの開発
課題番号
H28-統計-一般-003
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
木下 博之(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 法医学)
研究分担者(所属機関)
  • 池松 和哉(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 法医学分野)
  • 横田 順一朗(独立行政法人 堺市立病院機構)
  • 加藤 稲子(三重大学大学院 周産期発達障害予防学講座)
  • 鷲見 幸彦(国立長寿医療研究センター 神経内科)
  • 横井 英人(国立大学法人 香川大学 医学部附属病院 医療情報部)
  • 宮武 伸行(国立大学法人 香川大学 医学部 人間社会環境医学講座 衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 死亡診断書・死体検案書の標準的な記載例を作成し、その普及・啓発のための教育コンテンツの開発を目的とする。
研究方法
 具体的な研究開発としては、模擬事例と標準的記載例を中心とするコンテンツを作成する。特に、原死因を適切に記載・選択する事を主要な目的としており、因果関係の記載が困難な例や、記載に悩む例や選択方法の考え方を中心に記載例を作成する。
 臨床医学の様々な領域(救急医療、小児医療、高齢者医療)と法医学(外因死)の専門家から構成される各分担研究者、研究協力者の協力の下、過去の経験、学会や検討会、カンファレンスなどで伝聞した情報も含め、それぞれの領域における比較的典型的な事例を収集する。死亡診断書・死体検案書等を作成する上で問題となる点や課題を抽出し、それらを基に、ICD-10の原死因選択ルールに基づいた模範記載例(標準的記載例)を作成した。さらに、記載事項や判断に関する解説を加え、内容の充実を図る。記載例については、研究班員全員でのブラッシュアップを行い、様式の統一を図る。
(倫理面への配慮)
 例示の作成に際しては、個人情報や個人が特定できるような内容は含まない。
結果と考察
死亡診断書・死体検案書作成の際に、因果関係の記載が困難な例をしばしば経験するが、その特徴としては、①内因・外因を含め複数の病態が関与する場合、②医学的因果関係をとらえにくい場合、③日常の診療・検案等では遭遇しにくい事例等があげられる。このうち特に、内因(疾病によるもの)と外因(外傷や中毒、温度環境など)の両者が関与する事例などを中心に、比較的平易な事例から難解な事例まで60例余りを設定し、それぞれについて模範記載例(標準的記載例)と解説を作成した。
 死亡診断書、死体検案書は一人一人の死亡を医学的・法律的に証明することのみならず、わが国の死因統計を作成する際の資料となる。
死因統計は、わが国の保健衛生行政や社会的にも広く活用されており、保健衛生政策を実施していく上での基盤データのひとつである。死亡診断書、死体検案書の記載内容のうち、死因欄に記載された傷病から選択された原死因が死因統計の分類を行う上での基礎となっている。そのため、死亡診断書・死体検案書の作成にあたり、どのような形で記載内容が統計作成に利用されているかを熟知しておく必要があるが、現状の重要性についての意識・認識は必ずしも十分でないことも多い。医学部の学部教育のみならず、現場で診療や死体検案に従事する医師を対象として、医師会等の研修会での普及・啓発も不可欠である。
 本研究では実際の事例に即した形での教育コンテンツを作成した。このコンテンツについては、e-ラーニングによる自習のみならず、
講義や研修会等でも活用できるように事例を充実させた構成にした。死亡診断書・死体検案書の適切な記載は、直接的・間接的に死因統計の精度向上につながるものと考える。さらには死因統計の精度向上を介して、国民の健康増進や福祉の向上に大きく寄与することが期待される。
結論
 死亡診断書・死体検案書作成の際の、記載に困難を感じる例について,因果関係の記載が困難な例、あるいは記載方法の判断に迷う例について、適切な記載についての内容例示を充実させた。具体的な事例を用いた学習に関しては、適切な記載例の増加により、死因統計の精度向上、ひいては国民の健康増進・福祉の向上に大きく寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2018-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-09-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201702003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
死因統計は、保健衛生政策を実施していく上での基盤データのひとつである。死亡診断書、死体検案書の記載内容のうち、死因欄に記載された傷病名から原死因が選択・分類され、死因統計を作成する際の資料となっている。作成した教育コンテンツを活用し、原死因を考慮した適切な記載についての一層の普及・啓発を行うことで、直接的・間接的に死因統計の精度向上につながる。
臨床的観点からの成果
死亡診断書、死体検案書は、死亡に立ち会った、または死体を検案した医師が作成する。その作成にあたっては、医学的診断のみならず、外因の関与する場合や複数の病態が複合して死亡に至る場合には、それぞれについての医学的因果関係も考慮する必要がある。そのため、時に記載の際に悩む例も少なくない。記載に苦慮する事例、因果関係の記載が困難な例、あるいは記載方法の判断に迷う例について、適切な記載についての内容例示をおこない、参照できる形にしている。
ガイドライン等の開発
教育コンテンツとして作成した研究成果は、医師自身による自学自習、記載に苦慮した場合に参照するといった利用法のみならず、医学部における講義や、死体検案に従事する医師を対象とした研修会等でも演習等に活用できる。
その他行政的観点からの成果
死亡診断書・死体検案書の適切な記載は、直接的・間接的に死因統計の精度向上につながるものと考える。さらには死因統計の精度向上を介して、国民の健康増進や福祉の向上に大きく寄与することが期待される。
その他のインパクト
作成したコンテンツの一部は、研修会での教材としても活用している。これらの活用による成果については、短期日での顕著な成果は出にくいものの、教育効果が浸透することで、徐々に顕在化するものと思われる。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
6件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yamamoto Y, Miyatake N, Kinoshita H, et al.
Changes in asphyxia death classified by month in the 23 wards of Tokyo.
Curr Study Environ Med Sci , 10 (1) , 3-9  (2017)
原著論文2
宮武伸行,田中直子,木下博之,他
東京23区における凍死者数と気温指標との関連および凍死者数の月別比較.
地域環境保健福祉研究 , 20 (1) , 27-30  (2017)

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201702003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,300,000円
(2)補助金確定額
1,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 486,120円
人件費・謝金 0円
旅費 57,880円
その他 756,000円
間接経費 0円
合計 1,300,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-10-24
更新日
-