文献情報
文献番号
201702002A
報告書区分
総括
研究課題名
レセプトデータを活用した患者調査統計報告の手法に関する研究
課題番号
H28-統計-一般-002
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 澄信(独立行政法人国立病院機構本部 総合研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 小段 真理子(独立行政法人国立病院機構 総合研究センター)
- 井高 貴之(独立行政法人国立病院機構 総合研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
1,685,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省の基幹統計である患者調査は、医療施設を利用した患者の傷病や受療の状況等の実態を明らかにするための調査として3年に1回実施されている。しかしながら、医療施設における記入者負担も大きく、調査の支援・負担軽減を図ることが喫緊の課題となっている。患者調査の入力負担を軽減するために、レセプトデータ等が利用できるかどうかについて平成26年患者調査結果に同時期の国立病院機構病院のレセプトデータ等と突合し、レセプトデータの利活用可能性を検討した。
研究方法
平成26年患者調査、平成26年医療施設静態調査の調査票情報について二次利用申請のうえ、国立病院機構に所属する143病院が報告した患者調査データを抽出し、当機構が全国143病院から収集・データベース化を行っている同時期のレセプトデータ等と病院ごと、患者単位で突合して比較・分析を行った。なお、国立病院機構臨床研究中央倫理審査委員会で審議の上、国立病院機構ホームページに研究概要を公示した。
結果と考察
患者調査から抽出されたデータは外来奇数票15,111件、入院奇数票19,609件、病院退院票47,902件であった。患者調査票情報とレセプト・DPCデータを施設+性別+生年月日、受診日で突合した結果、外来奇数票・入院奇数票・病院退院票の90-93%が一致した。一致しなかった調査票情報は医療保険以外の妊娠関連、予防接種、健診、歯科関連が上位を占めた。外来奇数票に突合できた電子カルテ病名は最高68疾患名であった。患者調査票病ICD病名のうち外来奇数票88.4%、入院奇数票でも88.4%、病院退院票では89.5%がレセプト病名から抽出可能であった。同一診療日に複数科を受診している患者は11.6%と推定された。患者調査ではシステム上、同一医療機関の複数受診は個票として重複登録されるが、その際、複数受診科で同じ病名で登録される割合が乳がんで2.9%(95%信頼区間1.0-4.7%)、前立腺がん2.7%(95%信頼区間0.6-4.7%)であると推定された。糖尿病はレセプトではE11あるいはE14とコードされているため、一致率が低かったが、レセプト上の糖尿病は外来では25.5%、患者調査では19.5%であった。副傷病名の記載に際して、疾患頻度の高い脂質異常症や高血圧は外来レセプトデータからの抽出頻度が8割を超えた。
結論
レセプトデータを利用することにより患者調査入力が簡略化されると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2018-09-07
更新日
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