地域の実情に応じた自殺対策推進のための包括的支援モデルの構築と展開方策に関する研究

文献情報

文献番号
201701012A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の実情に応じた自殺対策推進のための包括的支援モデルの構築と展開方策に関する研究
課題番号
H29-政策-指定-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
本橋 豊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺総合対策推進センター)
研究分担者(所属機関)
  • 椿 広計(統計数理研究所)
  • 清水康之(特定非営利活動法人・自殺対策支援センターライフリンク・自殺対策)
  • 近藤伸介(東京大学医学部附属病院精神科)
  • 猪飼周平(一橋大学大学院社会学研究科)
  • 井門正美(北海道教育大学教職大学院長)
  • 藤原武男(東京医科歯科大学大学院・医歯学総合研究科)
  • 岩瀬博太郎(千葉大学医学研究院東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
改正自殺対策基本法において、都道府県・市町村における自殺対策計画の策定が義務づけられ、計画に基づき地域自殺対策がすべての自治体において推進されることになった。今後の自殺対策の優先課題は、地域自殺対策計画に基づく地方自治体の自殺対策の推進を円滑かつ強力に支援することである。本研究の目的は、改正自殺対策基本法及び自殺総合対策大綱の理念を踏まえ、地域における自殺対策のための包括的支援モデルと展開方策を確立し、地域自殺対策の推進に必要な政策的・実務的支援の展開方策を社会実装できるようにすることである。
研究方法
研究代表者及び研究分担者8名で、4つの大きな研究領域にについて研究分担を行い、それぞれの研究成果を統合して自殺対策推進の包括的支援モデルを構築する。
 4つの研究領域とは、(1)自殺対策の包括的支援モデルの構築と若者の自殺対策とくにソーシャルメディアの役割、(2)地域における自殺対策を医療保健福祉の統合的立場から俯瞰的に見直す研究、(3)教育分野におけるSOSの出し方教育の研究と実践および都市部における子供の貧困と自殺対策の関連に関する研究と実践、(4)自殺対策における公的データベースの利活用に関する研究および死因究明制度と連動した死亡情報データの自殺対策の活用に関する研究である。研究方法としては、SNS相談現場におけるヒアリング調査、臨床の場における事例検討、児童生徒を対象とした質問紙調査、データベース構築に関する数理モデル構築の検討会議開催等である。調査の実施にあたっては、倫理委員会の審査を受けた。
結果と考察
平成29年度においては、(1)若者の自殺対策におけるソーシャルメディアの役割について、相談事業を実施している民間団体のヒアリング調査により、テキストベースの相談を現実空間の相談支援につなげるシステム構築の必要性が喫緊の課題であることが示された。(2)適切な精神科医療体制の在り方に関する研究については、自殺対策拠点病院の普及のためには、精神科救急のレベルに応じた人的・物的資源のアロケーションが重要であることが示された。(3)SOSの出し方教育の研究と実践については、平成30年1月の国の通知内容に合致した発達段階に対応した実践的内容の一回完結式チーム・ティーチング型の授業もモデルを構築し、実証授業を行うことができた。子供の貧困と自殺対策については質問紙調査の結果、学校環境が児童生徒の自尊感情と密接に関連していることが明らかになった。(4)自殺対策の公的データベベース構築については、オンサイト利用統計拠点の整備を行った。死因究明制度については、無理心中では母子間に加え介護中や成人親族間の無理心中も多く指摘できることが分かった。 
結論
平成29年度の研究の成果を要約すると、(1)地域の実情に応じた自殺対策推進のためオンサイト利用統計システムに基づく自殺実態分の基盤を整備し、若者の自殺対策におけるSNS相談の課題と解決の方向性を示し、(2)適切な精神科医療体制の在り方に関する課題の整理を行い、(3)児童生徒のSOSの出し方に関する研究の実践モデルを構築し、(4)自殺対策と連動する死因究明制度において、無理心中事案の背景について一端を明らかにした。以上より、平成29年7月に閣議決定された新たな自殺総合対策大綱の施策を具体的に推進するための社会実装に向けた学際的研究成果を蓄積することができた。

公開日・更新日

公開日
2018-11-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2018-11-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201701012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,200,000円
(2)補助金確定額
16,275,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,925,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,596,000円
人件費・謝金 2,193,000円
旅費 1,598,000円
その他 4,688,000円
間接経費 4,200,000円
合計 16,275,000円

備考

備考
人件費については、予定していた非常勤職員の雇用が困難となったため。旅費については、海外出張計画が変更となったため、差額が生じた。

公開日・更新日

公開日
2019-05-17
更新日
-