社会的養護における人材育成等の課題に対する研究

文献情報

文献番号
201701010A
報告書区分
総括
研究課題名
社会的養護における人材育成等の課題に対する研究
課題番号
H28-政策-指定-007
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
新保 幸男(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部社会福祉学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,966,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2018 年3月に実施した本調査は、全国の乳児院・児童養護施設・母子生活支援施設で仕事をしている保育士・児童指導員などの常勤専門職の全員を対象とする調査であり、①専門職としてのキャリア形成、②専門職としての能力についての自己評価、③現在受けているスーパービジョン、④職場環境などについて回答していただくことで、その回答結果を統計的に解析し、その結果に基づいて、社会的養護分野における常勤専門職が、「自らの専門性」「仕事への思い」「働く環境」などをどのように自己評価し、どのような思いで日々の仕事に取り組んでいるのかについての現状を把握することを目的としている。
研究方法
3年計画の厚生労働科学研究における2年目の研究であり、1年目に実施した2017年3月実施調査においては、A県内における社会的養護関係施設・機関で勤務している常勤専門職全員を対象とする調査を行った。その結果を参照しつつ、「調査対象」「調査票」「調査方法」などに一定の修正を行った上で、2018年3月に全国調査を実施した。その際、乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設の全国協議会及び厚生労働省の協力を得ながら調査を進めた。
結果と考察
(考察1)
専門性・スーパービジョン・職場環境の概要(高得点項目)
 10点満点で8点以上と高い得点であった項目は次の2項目である。1つは「児童を理解しようとしている」(8.47点)、もう一つは「自らの専門性をより高めようと思っている」(8.35点)であった。
 次に高い項目は「社会的養護分野の仕事に誇りを感じている」(7.69点)、「同僚に仕事の相談をすることができる」(7.49点)、「自分(あなた)自身を理解しようとしている」(7.46点)、「幸せである」(7.01点)、「スーパービジョンを積極的に受けたいと思っている」(7.01点)であった。

(考察2)
専門性・スーパービジョン・職場環境の概要(低得点項目)
 「職場外でスーパービジョンを受ける機会が十分ある」(4.70点)、「地域資源の活用に関して、自らの専門職としての能力は高い」(4.78点)、「制度理解に関して、自らの専門職としての能力は高い」(4.81点)、「自分の年収に満足している」(4.86点)であった。
 次に低い項目は、「休暇を取りやすいと感じている」(5.02点)、「他の施設・機関との連携に関して、自らの専門職としての能力は高い」(5.03点)、「専門職団体の倫理綱領の内容を日々の実践の中で実行できている」(5.09点)であった。

(考察3)
強い思いと誇りを持っている
 「乳児院」「児童養護施設」「母子生活支援施設」の常勤専門職は、「児童を理解しようとしている」し「自らの専門性を高めようと思っている」し、さらには「社会的養護分野の仕事に誇りを感じている」(7.69点)という状況にあるように、強い思いと誇りを感じながら仕事をしている様子をデータから読み取ることができる。
結論
(1)倫理綱領の理解を深めつつ、専門性を向上させるために、スーパービジョン体制を整えることが必要である。
(2)講義・演習内容として、「地域資源」「制度」「連携」に関する科目を充実することが必要である。
(3)「強い思いと誇りを持っている」一方で、「年収・休暇」についての満足度が低い状態にある。勤務条件について改善する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2018-11-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201701010Z