災害対策における地域保健活動推進のための管理体制運用マニュアル実用化研究

文献情報

文献番号
201625013A
報告書区分
総括
研究課題名
災害対策における地域保健活動推進のための管理体制運用マニュアル実用化研究
課題番号
H28-健危-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 美砂子(国立大学法人 千葉大学 大学院看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 奥田博子(国立保健医療科学院健康危機管理研究部)
  • 春山早苗(自治医科大学看護学部)
  • 金谷泰宏(国立保健医療科学院健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
統括的な役割を担う保健師(以下、統括保健師)は、災害時に被災地の健康支援の推進役割を期待されているが、その役割、コンピテンシー、人材育成の方法は明確になっていない。本研究は、統括保健師のための災害対策における管理実践に係るマニュアル及び研修ガイドラインの作成、それらの検証を目的とする。統括保健師の災害時の管理実践の中でも中核を成すと考えられる情報活用とリーダーシップに着目する。本年度は、統括保健師のためのマニュアル及び研修ガイドラインに記載するエビデンスレベルの検討を行った。
研究方法
6つの分担研究を設定した。文献レビュー・災害時対応事例のヒアリング調査からの知見の抽出(分担研究1-3)、学際的な知見の分析と統括保健師の育成への応用可能性の検討(公衆衛生領域の他専門職、有事の専門機関である警察・消防・自衛隊(分担研究4-5)を踏まえ、災害時における統括保健師のコンピテンシーの構成・内容についての仮説的枠組みを作成した。それらを用いて、都道府県及び保健所設置市の本庁、大規模災害が想定される3県の保健所・市町村の統括保健師(合計255人)を対象に、災害時における統括保健師のコンピテンシー、役割・権限、育成方法に関する意見調査を実施した(分担研究6)。(倫理的配慮)研究参加者の自由意思を尊重すると共に個人情報保護を遵守する。所属機関における研究倫理審査委員会にて研究計画の承認を得た(承認番号28-37、28-54、28-84)。
結果と考察
米国の公衆衛生専門職の災害に対するコア・コンピテンシーモデル(CDC&ASPH,2010))を参考に、本研究における文献レビュー・ヒアリング調査結果、学際領域の危機管理支援人材の育成に関する調査結果に基づき、災害時における統括保健師のコンピテンシーとして4領域(リーダーシップ、情報知識の形成と運用、計画策定と推進、職員の健康安全管理)・89項目を導出した質問紙意見調査において137人より回答得た(回収率53.7%)。災害時における統括保健師のコンピテンシーとして提示した4領域・89項目については、「とても重要である」「重要である」の回答が多くを占めたが、課題として、統括保健師の役割・権限・責任の明文化と組織内(災害対策本部、保健福祉対策部署内)での共有、統括保健師を支える体制、統括保健師としての自覚、平時からの統括役割の遂行、状況のイメージ力の形成、平時からの地域及び住民の状況理解、平時からの関係者との連携等が見出された。以上のことから、災害時における統括保健師の管理実践能力の育成においては、統括保健師の役割・権限の明確化と行政組織における共通理解の形成が統括保健師の役割発揮の前提及び基盤として必須であることが複数の調査から明示された。災害時における統括保健師のコンピテンシー4領域・89項目は、統括保健師への意見調査の結果、概ね同意が得られたが、項目内容を、統括保健師の管理実践マニュアル、研修ガイドラインに適用させたり、能力開発の評価指標として活用したりするには、更なる精査が必要である。豊かな経験を有する統括保健師、他領域の統括的立場にある専門職者、行政組織内の管理者等とも意見調査の結果を共有し、意見交換の場をもつことが有用と考える。修得すべきコンピテンシーを基盤においた教育体系と評価方法の確立が必要であり、とくに形式的な知識を、思考力や判断・行動力に転換していく実践的な教育を包含するプログラムが必要である。コピテンシー修得において評価者の役割の重要性が示唆された。
結論
災害時における統括保健師のコンピテンシーの構成・内容についての仮説的枠組み(4領域・89項目)を導出した。コンピテンシーの仮説的枠組みを用いて、都道府県及び保健所設置市の本庁、大規模災害が想定される3県の保健所・市町村の統括保健師を対象に、災害時における統括保健師のコンピテンシー、役割・権限、育成方法に関する意見調査を実施し、災害時における統括保健師のコンピテンシーを精査するための根拠資料を得た。また災害時において統括保健師が活動の推進役割を発揮するには、統括保健師の役割の明確化、行政組織内での役割の共有理解の形成が基盤として必須であることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201625013Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
4,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 639,450円
人件費・謝金 416,691円
旅費 1,020,215円
その他 1,770,079円
間接経費 1,153,000円
合計 4,999,435円

備考

備考
1,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2018-02-16
更新日
-