文献情報
文献番号
201625010A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆衛生医師確保のための連携の在り方に関する研究
課題番号
H28-健危-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
三沢 あき子(京都府立医科大学 小児科学教室)
研究分担者(所属機関)
- 渡邊 能行(京都府立医科大学 地域保健医療福祉行政システム学)
- 細井 創(京都府立医科大学 小児科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、公衆衛生医師の不足が深刻化しており、人材の確保と育成が地域における公衆衛生の維持・向上のために重要かつ喫緊の課題となっている。本研究は、自治体と医育機関である大学の連携実践モデルである京都府立医科大学(以下、京都府立医大)医療センターシステムにより、京都府行政機関において公衆衛生業務に従事した医師を対象とした調査及び自治体の大学連携に関する現状調査を行い、今後の我が国の公衆衛生医師の確保と育成に寄与することを目的とする。
研究方法
①京都府立医大医療センターのもと、京都府行政機関において公衆衛生業務に従事した医師を対象とした無記名自記式質問紙調査を行い、②好事例4ケースをロールモデルとして抽出し2次調査を実施しロールモデル集を作成した。③保健所設置自治体を対象として大学連携に関する現状調査を行った。
結果と考察
①行政・公衆衛生業務従事に際しては、「不本意であった」という回答はなかったが、26人中11人(42.3%)が「本意とも不本意ともどちらともいえなかった」と回答した。一方、行政・公衆衛生を経験した医師として、行政・公衆衛生への自身の適性について26人中21人(80.8%)が「ある」または「とてもある」と回答し、行政・公衆衛生への自身のやりがいについては26人中25人(96.2%)が「感じる」または「とても感じる」と回答した。26人中25人(96.2%)が、臨床経験は行政・公衆衛生業務に役立つと「とても思う」「思う」と回答し、23人(88.5%)が、行政・公衆衛生業務は臨床や研究に役立つと「とても思う」「思う」と回答した。②公衆衛生医師への一方向性のみではなく、大学連携に基づく、双方向性のキャリアを有する4ロールモデルの医師としてのキャリア及び保健所勤務となる契機は様々であったが、多様なキャリアの中において、行政・地域保健・公衆衛生従事経験の重要な位置づけがあり、前向きなキャリアビジョンにつながっていた。③回収率は90.1%(128/142)であった。大学連携による公衆衛生医師派遣や医師の人事交流を実施している都道府県は17.0%、大学との協働による公衆衛生医師の育成・教育の機会の提供を行っている都道府県は9.8%と限られていたが、「今後、行う予定」「検討中」との回答した都道府県は、医師派遣・人事交流:31.7%、育成・教育:68.3%におよんだ。
結論
本調査研究結果により、公衆衛生医師が可逆的選択肢となるシステムの存在により、公衆衛生と臨床分野の双方向性でのキャリアパスが普及・拡大する可能性が示された。社会医学系専門医制度の創設により、今後、自治体と医育機関である大学との連携・協働が進み、公衆衛生医師育成の充実が図られることで一時的「経験」から「継続」へ課題解決へとつながることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2017-06-23
更新日
-