保健医療福祉計画策定のためのデータウェアハウス構築に関する研究

文献情報

文献番号
201625005A
報告書区分
総括
研究課題名
保健医療福祉計画策定のためのデータウェアハウス構築に関する研究
課題番号
H27-健危-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
岡本 悦司(公立大学法人 福知山公立大学 地域経営学部医療福祉マネジメント学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
市区町村別に集計された統計,医療圏,保健所管轄区域ごとに集計できるよう加工しデータウェアハウス(DWH)化し,ウェブ上でピボットテーブルのように自在に集計できるように公開する。また保健医療福祉計画に関連して実際にDWHを用いた使用例を分担研究者で作成する。
研究方法
Javascriptで,キューブ化されたcsvファイルをブラウザー上でExcelのピボットテーブルのように操作できるシステムを構築し,ウェブ上で公開した(http://www.jmedicine.com)。作成された保健医療福祉データウェアハウスを分担研究者らが操作し,具体的な活用事例集を作成した。
結果と考察
昨年度は,ExcelやACCESSファイルをDVD化して配布したが,2年目にはウェブ上公開ともっぱらとりくんだ。年度中に4回の班会議を開催し,使用法を説明するとともに改良した。当初予定していたブロック単位での保健所向けの説明会や研修は,所長会と協議した結果,スケジュール的に困難であることが判明したため,8月東京で開催された所長会理事会でのプリゼンならびに11月富山市で開催された北陸公衆衛生学会でのプリゼンにとどまらざるをえなかった。
結論
膨大な市区町村や地域単位データが公表されつつあるなか,それをいかに有効活用するか,が課題となっている。e-STAT等で公表されているデータはそのままでは活用困難であり,データウェアハウス化は,異なるデータを誰でも自在に活用することを可能にする有力なツールとして期待される。本研究は,保健所や自治体の保健医療福祉計画策定を支援することも主目的とするデータウェアハウスを構築したが,作成の過程で,保健医療福祉はもちろんあらゆる分野に適用可能であることがわかった。本研究後は,小地域や医療機関単位といったデータをデータウェアハウスとして統合し,活用できるシステムに発展させてゆく。

公開日・更新日

公開日
2017-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201625005B
報告書区分
総合
研究課題名
保健医療福祉計画策定のためのデータウェアハウス構築に関する研究
課題番号
H27-健危-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
岡本 悦司(公立大学法人 福知山公立大学 地域経営学部医療福祉マネジメント学科)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 雄一(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 澤口 聡子(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院 医療福祉サービス研究部)
  • 水島 洋(国立保健医療科学院 研究情報研究センター)
  • 藤井 仁(国立保健医療科学院 政策技術評価部)
  • 吉田 穂波(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 森永 裕美子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 大夛賀 政昭(国立保健医療科学院 医療福祉サービス研究部)
  • 大江 浩(富山県砺波厚生センター)
  • 田中 久子(女子栄養大学 栄養学部)
  • 松岡 宏明(岡山市保健所)
  • 岩室 紳也(ヘルスプロモーション推進センター)
  • 中本 稔(島根県県央保健所)
  • 永井 仁美(枚方市保健所)
  • 仙田 幸子(東北学院大学大学院 人間情報学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
研究代表者の所属機関が初年度,国立保健医療科学院であったのが2年度目は福知山公立大学に変更となった。

研究報告書(概要版)

研究目的
各種統計が刊行物としてしか提供されなかった以前には,市区町村別データは膨大で刊行物におさまりきらないため「閲覧公表」というかたちでしか提供されなかった。しかし,今日ではネット上にExcelやcsvファイルで提供されるため,膨大なデータが次第に提供されるようになってきた。しかしながら,データが膨大であることから,その活用はかえって容易ではなくなっている。たとえば,経年推移をみたい,と思った場合は複数年のデータをダウンロードし,同一市区町村ごとに結合しなければならない。また市区町村を医療圏や保健所管轄区域ごとに集計するには,いちいち医療圏や保健所管轄区域に含まれる市区町村を調べて手作業で抽出しなければならない。
もしこれらデータがExcelピボットテーブルのように容易に集計可能となれば,データ利活用は格段に容易になる。そのためには,クロス表データをキューブ形式に加工する必要がある。かかる,キューブ形式に加工され,ピボットテーブル様に分析可能となったシステムをデータウェアハウス(DWH)と呼び,ウェブ上で提供するシステム構築ととりくんだ。また,全国保健所を対象にデータ利活用の状況や,市区町村の保健医療福祉計画策定への活用の状況についても調査し,DWHの実際の活用例を示すことを目的とした。
研究方法
初年度においては3回の班会議において,分担研究者により保健医療福祉計画に必要な統計データの選択が行なわれ,選択された統計データのe-STAT等からの取得ならびにキューブ化処理を行った。その過程において,膨大なExcelやcsvファイルのダウンロードを効率化するため,URLDownLoadToFileというAPIプログラムを活用することや,クロス表をキューブ化するために乱数発生を用いたり逆ピボットテーブルの手法等の技術が開発された。
初年度においては,完成したDWHをExcelやACCESSファイルとしてDVDにいれ,報告書とともに全国保健所等に配布した。また初年度に実施した全国保健所対象のデータ活用調査の結果も報告書とともに配布された。
2年目においては,研究代表者が福知山公立大学に異動したことから,同大学の情報系研究者の協力を得て,ウェブ上で提供ととりくんだ。Javascriptというプログラム言語を用いて,ウェブ上でピボットテーブル様に扱えるシステムを構築し2016年12月に公開にこぎつけた(http://www.jmedicine.com)。4回の班会議において,分担研究者による活用事例も作成した。
その結果,csvファイルをいったんユーザーのPCにダウンロードしてから処理するためダウンロードに時間がかかることが問題として浮上し,大規模ファイルでは,都道府県別(病床機能報告)やがんの種類別(健康増進事業報告のがん検診)に分割することを余儀無くされた。
結果と考察
研究終了時点において以下の統計調査のDWHが構築されウェブ上で公開した。
http://www.jmedicine.com
医師歯科医師薬剤師調査(医師のみ)
保健師活動領域調査
病床機能報告
施設基準
患者調査
健康増進事業報告
地域保健事業報告
ナショナルデータベース(NDB)データ
医療給付実態調査
人口動態統計
住民基本台帳人口
介護保険関係
国民健康保険関係
市区町村の指標,警察自殺統計
結論
e-STAT等ウェブ上で公開された膨大な市区町村別データがキューブ化加工してデータウェアハウス化すれば,ウェブ上でピボットテーブルのようなドラグ&ドロップ操作により容易に分析できることが明らかとなった。本研究では保健所の保健医療福祉計画策定支援のためのデータを中心にデータウェアハウス化してウェブ上で公開したが,人口,産業,経済そして教育等様々なデータにも拡大できることから,本研究終了後は,より広汎なデータを網羅したデータウェアハウスを構築して,もし可能であれば事業化も念頭に発展させてゆく。そのために解決すべき課題は,開発したJavascriptが一旦csvデータをユーザーのパソコンにダウンロードした後で,ピボットテーブル処理するため,データが大きくなるとダウンロードに時間を費やす点である。現時点では,有効な解決策は見つかっていないが,今後はデータの拡張より使いやすいシステム構築ととりくむ予定である。

公開日・更新日

公開日
2017-09-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201625005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
e-STAT等で膨大かつ詳細なデータがcsvファイルとして公開されているが,経年推移や他市町村との比較を行う上では,多数のcsvファイルをダウンロードして手作業で結合しなければならず,使いにくさがあった。DWH化によって,Excelのピボットテーブルのように,特定の市町村,特定の性・年齢階級について数年間の推移を追うことが容易となり,市町村や保健所の保健医療福祉計画の基礎資料として活用しやすくなった。
臨床的観点からの成果
健康増進事業報告のがん検診データを用いて,がん検診の精度管理に必要な指標(受診率,要精検率,陽性反応適中度,早期がん割合)をがん部位別,性・年齢階級別,初回非初回別,個別集団別に容易に抽出し算出が可能。
ガイドライン等の開発
本研究はガイドライン等の開発には該当しない
その他行政的観点からの成果
研究代表者が2年度より福知山公立大学に異動し,新大学では北近畿の市町村の各種行政計画の策定を支援することを目標としていることから,本DWHをさらに発展させ,保健医療福祉のみならず,財務,税務,商工業データを含む地方創生データウェアハウスも構築した。その内容はhttp://www.japanreview.comで公開され,自治体の各種計画の基礎資料造りに活用されている。
その他のインパクト
保健師に広く読まれている保健師ジャーナル誌(医学書院社)に,健康増進事業報告のがん検診DWHの活用について2017年10月号に寄稿したことに加え,2018年度には12か月にわたる保健医療福祉DWHの内容と活用について連載を行う予定。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
保健師ジャーナル誌を通じての行政保健師への啓発

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-09-26
更新日
2018-03-06

収支報告書

文献番号
201625005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,976,984円
人件費・謝金 0円
旅費 999,032円
その他 24,000円
間接経費 0円
合計 3,000,016円

備考

備考
利息 16円

公開日・更新日

公開日
2018-02-28
更新日
-