薬剤師が担う医療機関と薬局間の連携手法の検討とアウトカムの評価研究

文献情報

文献番号
201623024A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師が担う医療機関と薬局間の連携手法の検討とアウトカムの評価研究
課題番号
H28-医薬-指定-002
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
安原 眞人(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科薬物動態学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究の目的:わが国は、地域包括ケアシステムによる医療・介護の総合的な展開において質が高く良質な医療提供体制を構築することを、政策として推進しているが、この枠組みでがん医療を提供していくには、病院だけでなく、外来・在宅医療をつなぐ薬局において、高度な知識・技術と臨床経験を有する薬剤師による高度な薬学的ニーズへの対応を図る機能(いわゆる高度薬学管理機能)が発揮されることが不可欠である。この高度薬学管理機能は平成27年10月23日に厚生労働省から公表された「患者のための薬局ビジョン」においても患者等のニーズに応じて強化・充実すべき機能として明記されている。 本研究は、平成27年度の厚生労働科学研究「薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究」(主任研究者:安原眞人)において作成されたプロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)のガイドラインをもとに、PBPMをがん外来化学療法に適用するための標準手順を確立し、その効果を検証するとともに、普及のための人材養成を目指すものである。
研究方法
日本病院薬剤師会遠藤一司専務理事と日本医療薬学会佐々木均会頭の2名を中心に日本腫瘍薬学会、日本医療薬学会、日本薬剤師会等関連団体の協力を得て実施した。
研究班で協議の上、研究対象の経口抗がん薬としてティーエスワンとゼローダを選択し、テレフォンフォローアップの手順書(病院用、薬局用)、チェックリストと副作用確認の手引き、お薬手帳サイズの患者情報提供用紙を作成した。プロトコールに基づく経口抗がん薬治療管理の効果を実証する調査に当たっては、研究協力医療機関(国立がん研究センター東病院、昭和大学横浜市北部病院、東京医科歯科大学医学部附属病院)において、経口抗がん剤による外来化学療法として抗がん薬(ティーエスワンもしくはゼローダ)を処方され、共同研究施設である薬局をかかりつけとしている患者を対象とした。
日本臨床腫瘍薬学会との協同により、薬局薬剤師が病院でのがん患者に対する診断・治療・指導業務を知り、また病院薬剤師が医療機関・薬局連携において薬局薬剤師が抱えている課題を共有することができるようなシナリオを構築し、画像化したDVD(業務紹介編、薬局編)を作製した。
結果と考察
本研究では病院と患者のかかりつけ薬局の間で経口抗がん薬治療管理に関するプロトコールを事前に交わすことにより、PBPMによる外来抗がん薬治療管理のシステムを構築した。本システムの効果を検証するための調査研究は、倫理審査委員会の承認を受け、患者登録を開始している。今後、薬局の立地状況にかかわらず、地域包括ケアシステムの下で、薬局が専門医療機関と連携を保ちながら高度薬学管理機能を発揮する方策を検討するため、本調査に協力する薬局も増やす予定である。
病院と薬局の薬剤師の相互理解を深め、病院と薬局の連携を担う薬剤師の養成に向けた教育用資材としてDVDを作製し、各都道府県の薬剤師会、病院薬剤師会に配布した。日本臨床腫瘍薬学会主催のがん治療の薬-薬連携セミナー(東京・大阪)において、作製したDVDを上映し、参加者にアンケートを実施したところ、約9割から医療機関と保険薬局との連携に必要な事項を理解することができたとの回答を得た。
結論
研究初年度は、経口抗がん薬治療管理に関する医療機関と薬局間の連携手法を整備し、効果を検証するための調査研究を開始することができた。次年度にはアウトカムの評価を実施するが、プロトコールに基づくかかりつけ薬剤師・薬局と病院の連携により、副作用の早期発見、患者の安心・安全、医師の負担軽減など、がん医療の質の改善に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-06-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201623024Z