文献情報
文献番号
201623015A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の広告監視の適正化を図るための研究
課題番号
H28-医薬-一般-005
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
白神 誠(日本大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 中島 理恵(日本大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
製薬企業等は、医薬品等の広告活動では、医療関係者や患者等の医薬品等の使用者が、当該医薬品等を適正に使用することができるよう、適切かつ正確な情報の伝達に努めることが求められる。製薬企業等の広告活動の適切性を担保するために、医薬品医療機器等法では医薬品等の虚偽誇大広告を禁止しており、さらに、この法規制の解釈等を示した「医薬品等適正広告基準」(以下「適正広告基準」という。)を基に、行政による医薬品等広告監視業務が実施されている。しかし、適正広告基準では個別具体的な広告表現等の適否にまで言及していないことから、個別事例の適否判断においては、地方自治体の指導内容に統一化が図られていないのではないかとの指摘がある。そこで、本研究では、現行の適正広告基準の精査を行うとともに、医薬品等の広告監視指導の運用の明確化を図ることとした。なお、平成28年5月19日に、規制改革会議から出された「規制改革に関する第4次答申~終わりなき挑戦~」において「一般用医薬品及び指定医薬部外品の広告基準等の見直し」が取り上げられ、平成28年度中に検討・結論とされていることから、今年度は一般用医薬品等に限って検討を行った。
研究方法
検討にあたっては、研究班会議を開催し、薬事関連の広告の現状、規制に精通する専門家として、都道府県薬事取締当局、医師・薬剤師、消費者関係者等の参画を求め、必要に応じ業界の意見も聴取した。また、適正広告基準やその解説書で示されている考え方が真に消費者の意向を反映したものであるかどうかを把握するため20代以下、30代、40代、50代、60代、70代以上の各年代、男女それぞれ100名、計1200名に対しwebを通したアンケート調査を実施した。
結果と考察
消費者を対象とした広告は、販売する側の論理ではなく、その広告によって消費者が不利益を被らないことを第一に考えるべきである。特に医薬品のような生命関連商品においては、不適切な情報やちょっとした誤解が重大な健康被害をもたらすことが十分考えられる。こういった消費者の不利益は、販売する側と消費者との間の情報の非対称性に由来することが多い。たとえば、科学的でないものをあたかもエビデンスがあるかのように広告したとしても消費者がそれを見抜くことは困難である。そこで、まずこの消費者の視点を基本とする「適正広告基準」見直しのための判断基準を作成した。次いで「適正広告基準」案並びに同基準の解説及び留意事項等案を提案した。
消費者が一般用医薬品等を購入する際、薬剤師や登録販売者が消費者の相談に乗り、的確な指導を行えば、消費者は広告に惑わされることなく適切な一般用医薬品等を選択することができ、また、一般用医薬品等で対処するべきでない場合には受診勧奨を受けることができる。消費者の一般的医薬品等の適切な選択を支援する薬剤師や登録販売者による積極的な取り組みを期待する。
業界の自主的な審査機関である日本一般用医薬品連合会の広告審査会においては、適正広告基準への適・不適を字面に沿って判断するだけでなく、基準が定められた趣旨を踏まえ、かつ消費者の視点も加味した審査を行うよう要望する。
広告については、地方自治体間で経験を共有できるような仕組みを有することが指導内容の統一に向けた取組みとして有益である。指導事例については、広告を作成する側とも共有することで、改善を促すことが期待される。また、消費者に対する注意喚起の観点から、取締りを行った悪質な広告については消費者にわかりやすい形で公表していくことも有益と考える。
一般用医薬品等の広告については、非常に厳しい規制の下で行われているが、いわゆる健康食品や最近認められるようになった機能性表示食品の中には、科学的根拠に乏しく消費者を惑わすような広告が行われている現状がある。しっかりとした監視体制を構築することが望まれる。
アンケート調査結果については、単純集計を行っただけではあるが、消費者の認識が、行政当局等の推測とは必ずしも一致していないことが示唆された。また、速効性や持続性について、消費者が具体的にどのくらいの時間を想定しているかも明らかとなった。製薬企業は、速効性や持続性を主張するのであれば、消費者の認識に沿った裏付けのデータを用意することも必要になるのではないかと思う。
消費者が一般用医薬品等を購入する際、薬剤師や登録販売者が消費者の相談に乗り、的確な指導を行えば、消費者は広告に惑わされることなく適切な一般用医薬品等を選択することができ、また、一般用医薬品等で対処するべきでない場合には受診勧奨を受けることができる。消費者の一般的医薬品等の適切な選択を支援する薬剤師や登録販売者による積極的な取り組みを期待する。
業界の自主的な審査機関である日本一般用医薬品連合会の広告審査会においては、適正広告基準への適・不適を字面に沿って判断するだけでなく、基準が定められた趣旨を踏まえ、かつ消費者の視点も加味した審査を行うよう要望する。
広告については、地方自治体間で経験を共有できるような仕組みを有することが指導内容の統一に向けた取組みとして有益である。指導事例については、広告を作成する側とも共有することで、改善を促すことが期待される。また、消費者に対する注意喚起の観点から、取締りを行った悪質な広告については消費者にわかりやすい形で公表していくことも有益と考える。
一般用医薬品等の広告については、非常に厳しい規制の下で行われているが、いわゆる健康食品や最近認められるようになった機能性表示食品の中には、科学的根拠に乏しく消費者を惑わすような広告が行われている現状がある。しっかりとした監視体制を構築することが望まれる。
アンケート調査結果については、単純集計を行っただけではあるが、消費者の認識が、行政当局等の推測とは必ずしも一致していないことが示唆された。また、速効性や持続性について、消費者が具体的にどのくらいの時間を想定しているかも明らかとなった。製薬企業は、速効性や持続性を主張するのであれば、消費者の認識に沿った裏付けのデータを用意することも必要になるのではないかと思う。
結論
一般用医薬品等の広告は、消費者を対象としたものであり、販売する側の論理ではなく、その広告によって消費者が不利益を被らないことを第一に考えるべきであり、そのような考え方に沿って見直しを行った。また、広告に用いられた表現を消費者が実際にはどのように受け取るかを消費者にアンケート調査を行った。消費者の認識が行政等が推測とは必ずしも一致していないことが示唆された。今後、性、年齢、住所地について層別解析するなど詳細な検討を行う予定である。
公開日・更新日
公開日
2017-06-22
更新日
-