食品に残留する農薬の管理手法の精密化と国際的整合性に関する研究

文献情報

文献番号
201622032A
報告書区分
総括
研究課題名
食品に残留する農薬の管理手法の精密化と国際的整合性に関する研究
課題番号
H28-食品-指定-009
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
適正農業規範(GAP)の一部として、健康に影響のない残留にしかつながらない、必要最小限の農薬の使用が規定される。農薬の最大残留基準値 (以下、MRL)は、GAPに沿った農業の実施を確認するための指標である。GAPに沿った農業により生産された農産品であることがMRLを指標に確認されれば、そのことが、農産品を原材料に生産される食品の摂食に伴う健康リスクの管理につながる。食品流通のグローバル化が進む現在、MRLの設定は一国だけの課題ではなく、国際的な調和の下で各国が取り組むべき課題である。
 本研究では、国際的な調和の下で、食品における農薬のMRLを設定するための原則や方法論をまとめ、手順を示す文書の開発を目的とした。また、より効果的かつ整合のとれたMRLの設定に不可欠な食品分類さらに、MRLへの適合判定において明確にしなければならない検査部位について、Codex委員会と我が国との間で比較し、改善点を勧告することを目的とした。
研究方法
FAO Plant production and protection paper 225; Submission and evaluation of pesticide residues data for the estimation of maximum residue levels in food and feed、2012年のCodex Alimentarius総会で最終採択された文書(REP12/PRA ppendix VIII)、1993年出版のCodex Alimentarius Vol. 2等の国際文書を詳細に分析し、我が国における残留農薬規制に不可欠なMRL設定の手順案を策定するとともに、食品分類、検査部位における改善点を勧告した。
結果と考察
国際的に認められているMRL設定に関する科学的な原則、方法論を明らかにし、我が国におけるMRL設定の手順を示す文書案を開発した。Codexの食品分類のうち、植物由来の食品の分類にあたり、植物学的分類と、使用された農薬への暴露及び摂食部位の2つが主要な要因として考慮されていることを明確にした。これに対し、ポジティブリストに含まれる食品分類では、農薬残留についての考察はあまりなかったと考えられた。また、シーズンのみならず、一年を通して何らかの形で摂取される食品の記述が欠如しているのに対し、食品調査により摂取者がいないことが明らかとなっている食品が記述されてもいた。我が国における多くの食品の検査部位にCodex委員会による設定と整合がないことが確認された。
結論
我が国における作物残留試験データ取得の制限等を考慮に加え、MRL設定手順を示す文書案の改訂をすすめ、国際的に整合しかつ実際的な手順へと向上させることで、今後のMRL設定における活用が期待される。また、より国際的に整合し円滑に食品を輸出入するため及び、Codex等で設定されている食品群を対象とするグループMRLを我が国においても設定あるいは導入し、効果的かつ効率的な残留農薬規制を可能にするためには、食品分類や検査部位の整合が不可欠であり、研究成果となる各種勧告に沿った改善がなされることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201622032C

収支報告書

文献番号
201622032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,616,580円
人件費・謝金 0円
旅費 141,064円
その他 242,356円
間接経費 0円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
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