HACCPの導入推進を科学的に支援する手法に関する研究

文献情報

文献番号
201622029A
報告書区分
総括
研究課題名
HACCPの導入推進を科学的に支援する手法に関する研究
課題番号
H27-食品-指定-015
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(東海大学 海洋学部水産学科食品科学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 豊福 肇(山口大学 共同獣医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
10,311,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HACCPの導入を科学的に支援し、HACCPを普及させるため、漬け魚と醤油についてHACCPプラン作成を行い、TryHACCPを実際に試用すること。日本版SFBBを精査すること。さらに、食品衛生監視員が検証のためのカリキュラム及び教材の作成を試みること。また、試験検査の品質管理の方法論を整理することを目的とした。
研究方法
(1) HACCPプランの作成は漬け魚および醤油について行う。
(2) 昨年度開発したTryHACCPを日本の食品事業者が使用しやすいように修正を行う。
(3) 飲食店等メニューが多く、かつ変化し、食品事業者が実施できるHACCPの考え方に基づく食品安全計画の策定について精査する。
(4) 食品衛生監視員が検証に対する知識を習得するための研修会のカリキュラム及び教材の作成を試みる。
(5) 化学分析試験室の内部品質管理に関するハーモナイズドガイドラインを邦訳し、試験検査の品質管理の方法論を整理する。
結果と考察
(1) 漬け魚のHACCPについては、標準的な製品説明書(例)、フローダイヤグラム、ハザード分析、CCP整理表を示した。また、試売した漬け魚の理化学、微生物検査のデータを示した。報告書を参照。
醤油については、重要なハザードとして考えられたのはストレーナー破損による異物混入であり、その管理手段はすべてPRPで管理するものとなっていた。報告書を参照。
(2) TryHACCPを試行したレビュー結果に基づき、準備段階及び7原則の各段階でのHelp情報を充実させた。また、User manualでの解説をよりわかりやすくした。報告書を参照。
(3) 五つ星の記録用紙とSFBBを比較した結果、一般的衛生管理の部分は概ねカバーされているが、調理工程におけるチェック項目が欠落していることから、メニューを1)加熱をせずに、冷蔵したまま提供、2)十分な加熱、3)加熱後高温保管、4)加熱後冷却、5)加熱後冷却その後再加熱にわけ、日々実施の記録を加えれば、SFBBと遜色のない、飲食店用HACCPに基づく衛生管理が実施できると考えられた。
旅館用にCodexの7原則を適用して作成されたHACCPプランをレビューした結果、CCPとしては、1)加熱をせずに、冷蔵したまま提供する場合には冷蔵庫の温度と十分な加熱、2)加熱後高温保管の場合には保管庫の温度、3)加熱後冷却の場合には速やかな冷却、4)加熱後冷却その後再加熱の場合には、加熱、冷却に加え、再加熱がCCPとなった。以上のことから、CCPについては、同じようなメニューであれば、Codexの原則の適用が困難な飲食店でも、ほぼ、CCPを正しく設定できると考えられた。ただし、加熱でも、蒸す、揚げる、焼く、煮る等、種々の調理方法があり、きめ細かなCLとモニタリング方法の開発が必要であると考えられた。上記以外でCCPとなりえるのは、ヒスタミンのコントロールと考えられた。
(4) 食品を見ただけで、潜在的ハザードを推定し、さらに重要なハザードを絞り込み、その管理措置を予測し、さらに製品だけでは判断できず、工場で調査したい事項を整理させる演習課題を作成した。
(5) 化学分析における内部精度管理についてガイドラインを翻訳した。標準物質は精度管理を行う上で重要なものであるが、それをどのように管理するかなど我が国における指針が示されていない。今回の翻訳文書はその参考となる。(別添翻訳参照)
結論
(1) 漬け魚HACCP
漬け魚は、その水分活性等から、味付けの鮮魚と考えるべきで、漬け工程による微生物制御は限定的なものと考えられた。従って、鮮魚同様、原材料の受入から出荷まで、温度管理と一般的衛生管理による汚染防止が重要であると考えられた。また、ヒスタミン産生魚を原料とした場合には原料魚の受入がCCPとなりえると考えられた。
醤油HACCP
 重要と考えられるハザードはストレーナーの破損による硬質異物の混入で、その管理措置は目視による管理で、ISO22000ではOPRP、ISO22000を実施していない施設ではすべてPRPで十分管理できると考えられた。
(2) 公益社団法人日本食品衛生協会の実施している五つ星事業の内容とSFBB等の比較検討を行った結果、メニューのチェックを強化し、記録項目を毎日、毎月、年一度と整理することで、SFBBとほぼ同等の衛生管理プランが実施できると考えられた。
(3) TryHACCPを使用できるように、システムの文言、Helpページの充実、取扱いマニュアルの整備を行った。
(4) 監視員による検証能力向上のための、カリキュラム及び教材を作成した。
(5) 化学分析試験室は内部精度管理を行う必要があり、そのための標準物質の準備及び管理は重要である。

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
2018-07-05

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201622029B
報告書区分
総合
研究課題名
HACCPの導入推進を科学的に支援する手法に関する研究
課題番号
H27-食品-指定-015
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(東海大学 海洋学部水産学科食品科学専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 豊福 肇(山口大学 共同獣医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HACCP義務化を見据えて、我が国におけるHACCP導入を支援するため、主に中小事業者によるHACCP実施を支援するためのツールを作成した。また、食品衛生監視員等の基礎教育や食品事業者に対する教育のためのツールや原材料の微生物汚染の迅速検査法について検討した。以下の内容について平成27年度、28年度の2年間で研究を行った。
研究方法
平成27年度
① ハザード&コントロールガイド(H&C)事例の作成
豆腐、佃煮、うどんのH&Cを作成した。
② 英国のMy HACCPシステムをベースとしたTry HACCPの作成
③ 店内加工へのHACCP導入
スーパーのバックヤード、小規模製造・加工施設で活用可能なジェネリックモデルを開発する。
④ 飲食店へのHACCP導入
英国SFBBを翻訳(日本に合うよう構成を変更)し、日本で活用できるようにした。
3つの料理(中華、和食、洋食)を例として、飲食店で活用可能な日本版SFBBの実用化を検討した。
⑤ 食品安全ハザードの管理手段の妥当性確認
NACFMの邦訳(検証のための微生物の接種試験法の提示)を行った。
⑥ HACCPの検証のための迅速検査法に関する検討
食肉、食鳥肉の表面を生菌数可視化装置による食肉表面の菌数の定量化を検討した。
⑦ HACCP普及のためのe-learningシステムの開発
WebベースのHACCP導入のためのe-learningシステムを開発する。
⑧ HACCPの導入推進を科学的に支援する手法の国際的なレビューに関する研究
平成28年度
HACCPプラン作成及び支援
①-1 漬け魚のHACCPジェネリックモデルの作成
①-2 醤油HACCP支援
飲食店へのHACCP導入
② SFBB(Safer Food Better Business)
③ 日本版MyHACCP(TryHACCP)
日本の食品事業者が使用しやすいように修正を行う。
④ 食品衛生監視員用検証トレーニングカリキュラム及び教材作成
⑤ 試験検査の品質管理
試験検査の品質の管理ハーモナイズドガイドライン(Pure & Appl. Chem., 67, 649-666, 1995)を邦訳し、整理する。
結果と考察
平成27年度
① ハザード&コントロールガイド(H&C)事例の作成
豆腐、佃煮、うどんのH&Cを作成した。
② 英国のMy HACCPシステムをベースとしたTry HACCPの作成
Cloudベースで運用するTry HACCP開発した。
③ 店内加工へのHACCP導入
スーパーのバックヤード、小規模製造・加工施設で活用可能なジェネリックモデルを開発した。
④ 飲食店へのHACCP導入
英国SFBBを翻訳(日本に合うよう構成を変更)し、日本で活用できるようにした。
中華、和食、洋食を例として日本版SFBBの実用化を検討した。
⑤ 食品安全ハザードの管理手段の妥当性確認
NACFMの邦訳(検証のための微生物の接種試験法の提示)を行った。
⑥ HACCPの検証のための迅速検査法に関する検討
食肉、食鳥肉の表面を生菌数可視化装置による食肉表面の菌数の定量化を検討した。
⑦ HACCP普及のためのe-learningシステムの開発
WebベースのHACCP導入のためのe-learningシステムを開発した。
⑧ HACCPの導入推進を科学的に支援する手法の国際的なレビューに関する研究
諸外国のHACCP導入推進に係る方策について調査した。

平成28年度
HACCPプラン作成及び支援
①-1 漬け魚のHACCP
ジェネリックモデルを作成した。
①-2 醤油HACCP支援
醤油協会が作成したモデルをチェックし、問題ないことを確認した。
飲食店へのHACCP導入
②SFBB(Safer Food Better Business)
昨年度、作成した日本版SFBBを実際の飲食店で試行し、その結果に基づき修正した。
③ 日本版MyHACCP(TryHACCP)
より日本の食品事業者が使用しやすいように修正を行った。
④ 食品衛生監視員用検証トレーニングカリキュラム及び教材作成
有効な助言をできる能力を身に着けるためのカリキュラムと教材作成を行った。
⑤ 試験検査の品質管理
化学分析試験室の内部品質管理に関するハーモナイズドガイドラインを邦訳した。
結論
これまでの研究でH&Cガイドの作成、e-learningコンテンツの開発、バックヤードHACCPのガイドライン(案)、検証の亜ための蛍光指紋を利用した原材料の細菌数簡易測定法、な中小企業および飲食店向けのガイドラインとして、日本版SFBBの作成、Web上で運用する日本版Try HACCPを作成した。e-learning教材の開発さらに外部検証や査察に関して教材を作成し実際の教育を行ってきた。

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201622029C

成果

専門的・学術的観点からの成果
行政研究であり、学術的観点からは評価できない。HACCP導入推進に関して有用な成果を上げたと考えられる。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
Safer Food Better Businessの日本語版を作成した。
ハザードコントロールの指針を作成した。
その他行政的観点からの成果
食品衛生監視員向け教材を作成し、研修を行った。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
2018-07-05

収支報告書

文献番号
201622029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,399,380円
(2)補助金確定額
9,399,380円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 804,404円
人件費・謝金 82,500円
旅費 1,081,436円
その他 4,338,040円
間接経費 3,093,000円
合計 9,399,380円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-