食品添加物の安全性確保のための研究

文献情報

文献番号
201622019A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物の安全性確保のための研究
課題番号
H28-食品-一般-001
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 恭子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 多田 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 北村 陽二(金沢大学 学際科学実験センタ-)
  • 建部 千絵(佐々木 千絵)(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 山田 雅巳(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部)
  • 久保田浩樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物の安全性確保のために、一日摂取量推計や使用実態の把握が求められていることから、1)生産量統計を基にした食品添加物摂取量の推定に関わる研究、 2)香料の使用量調査、 3)マーケットバスケット(MB)方式による香料の一日摂取量調査の検討を行った。また、食品添加物のうち、18 項目の類又は誘導体として指定されている香料(18類香料)の安全性確保に重要となる 4)香料化合物規格の国際整合化に関わる調査研究、 5)食品香料についての遺伝毒性評価予測システムの研究を行うとともに、規格試験法(一般試験法)の向上のため、 6)食品添加物公定書一般試験法の改良に関する研究、 7)赤外スペクトル(IR)測定法に関する調査研究並びに 8)鉛とヒ素の同時分析法に関する研究を行った。
研究方法
1)食品添加物製造・輸入業者を対象に、指定添加物及び既存添加物の国内流通量等を調査し、輸入食品中の保存料10品目の摂取量を推定した。 2)香料製造・輸入業者を対象に、国内で食品香料製造に使用した香料化合物及び天然香料物質の量を調査した。 3)MB試料中のエステル系香料を分析し、20歳以上の成人の喫食量データを基に、摂取量を推計した。 4)試験成績表等の調査、実測値調査を行い、JECFA規格との整合性を比較検討した。 5)構造活性相関(SAR)のソフトで陽性の予測が得られ、かつ、実際のデータがない5物質のAmes試験を行った。 6)JECFA規格等について公定書の一般試験法に相当する箇所を精査し、公定書未収載の試験法を確認した。 7)参考となる国内外の最新の規格基準の比較調査を行った。 8)無機塩類(ナトリウム塩等)を対象試料とし、前処理(鉄共沈法)の条件検討を行った。
結果と考察
1)指定添加物の摂取量の推定は概ね前回と同様の結果が得られ、保存料10品目の摂取量に対する輸入食品の寄与は少ないと推定された。既存添加物は着色料、製造用剤の中に出荷量が増加した品目が見られた。 2)香料化合物の使用総数は1538品目、年間総使用量は約1249tであった。天然香料の使用総数は254 品目、年間総使用量は約1403tであり、これらの結果は、今後の香料化合物及び天然香料の安全性評価にも活かされるものと思われた。 3)エステル香料の流通側からの摂取量推計を明らかとした。最も摂取量が多かったのは酢酸エチルであり、対ADI比は0.13%であった。調査した香料はいずれもADIを大きく下回っていた。 4)252品目に対して、実測値(II)及び実測値(I)の調査により、115品目はJECFA 規格の修正が必要、93 品目はより詳細な検討あるいはさらなる調査が必要と考えられた。 5)構造活性相関(SAR)では陽性判定で、類縁物質のAmes試験の情報がない5物質について、Ames試験を実施し、1物質でTA100とTA98において代謝活性化無の条件で弱い陽性という結果を得た。この物質を陽性と判定していたSARモデルはMultiCaseのみだった。 6)国際整合の観点から公定書に追加すべきと考えられる試験法の選択を行った。 7)食品添加物公定書における規格基準設定の参考とするため、第17改正日本薬局方(JP17)の赤外吸収スペクトル測定法の規格を精査した。また、JP17において減衰全反射(ATR)法が採用されている品目について検討を行った。 8)無機塩については、前処理法として、鉄共沈法の適用が可能であることが明らかとなった。
結論
生産量統計調査を基にした食品添加物摂取量の推定、香料の使用量調査及びMB方式による香料の摂取量調査の検討により、食品添加物の適正な使用に関わる知見が得られ、これらの結果は食品の安全の確保に資すると考えられた。香料化合物規格については、多くの品目でJECFA規格の修正、さらなる調査検討が必要であることが明らかとなった。食品香料についての遺伝毒性評価予測システムの研究では、香料についての既存のSARの予測精度に大きな問題はないと考えられ、新しいAmes試験の結果を追加することで、より精度が上がることが期待される。食品添加物公定書一般試験法の改良に関する研究では、JECFA規格等で採用されている一般試験法の内、質量分析計を用いる試験法等は、汎用性や国際整合の観点から今後公定書への追加を検討すべきと考えられた。IR測定法に関する調査研究では、確認試験にATR法を取り入れる場合は、標準品との比較を行うか、プリズムの種類や補正の有無などの条件を規定した上で参照スペクトルとの比較を行うことが必用であると考えられた。鉛とヒ素の同時分析法に関する研究では、無機塩類中の鉛及びヒ素の同時分析法の前処理法として簡便な鉄共沈法の適用が可能であり、ICPによる鉛及びヒ素の同時分析が可能であることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-07-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201622019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,000,000円
(2)補助金確定額
9,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,592,962円
人件費・謝金 0円
旅費 335,982円
その他 4,071,056円
間接経費 0円
合計 9,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-12
更新日
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