遺伝毒性・発がん性短・中期包括的試験法の確立と香料の安全性評価への応用に関する研究

文献情報

文献番号
201622009A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝毒性・発がん性短・中期包括的試験法の確立と香料の安全性評価への応用に関する研究
課題番号
H27-食品-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター  病理部)
  • 小川久美子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター  病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
香料の迅速な安全性評価手法を高度化するため、我々が開発してきたgpt deltaラットを用いた遺伝毒性・発がん性短中期包括的試験法の新規評価系としての可能性を検討した。JECFAにおいて遺伝毒性に対する懸念から評価保留となっているフルフリルアルコール類、フラン類ないしアルコキシベンゼン類の香料の中から、使用実態および入手の可能性を総合的に判断して試験対象を選定した。
研究方法
① Elemicinの肝中期遺伝毒性・発がん性包括的試験による評価のため、6週齢の雄性F344系gpt deltaラットにelemicinを25、100又は400 mg/kg体重の用量で13週間強制経口投与した。② Furfuryl acetateの肝中期遺伝毒性・発がん性包括的試験における用量設定のため、6週齢の雄性F344ラットにfurfuryl acetateを20、60、180又は540 mg/kgの濃度で28日間強制経口投与した。③ フラン環を有し側鎖構造の異なる2-pentylfuran、3-(2-furyl)acrolein、2-furyl methyl ketoneおよびehyl 3-(2-furyl)propanoateについて、gpt deltaラットを用いた肝短期遺伝毒性・発がん性試験法(GPGモデル)により検討した。
結果と考察
① 400 mg/kg群で最終体重が有意に低下し、肝臓及び副腎の重量、総コレステロール、γ-GTP及びALTが有意に増加した。病理組織学的に、好酸性変異肝細胞巣及びび漫性肝細胞肥大が100 mg/kg群から認められた。肝前がん病変マーカーGST-P陽性細胞巣の定量解析の結果、400 mg/kg群ではその数及び面積が有意に増加した。以上より、elemicinは肝毒性を有し(無毒性量は25 mg/kg体重)、肝発がん性を有する可能性が示唆された。② 540 mg/kg投与群において投与1日目に全例が死亡した。一方、180 mg/kg投与群では途中死亡例は認められず、一般状態および体重推移に変化はなかった。以上より、gpt deltaラットを用いたfurfuryl acetateの肝中期遺伝毒性・発がん性包括的試験を180 mg/kg/dayを最高用量として実施することとした。③ gptアッセイの結果、陽性対照であるestragole投与群のgpt変異体頻度は高値傾向を示したが、3種のフラン誘導体投与群のgpt変異体頻度は変化なく、Spi-アッセイでも有意な変化はみられなかった。
結論
肝中期遺伝毒性・発がん性包括的試験の結果、elemicinはラット肝毒性を有すること、一部のアルコキシベンゼン類と同様にラット肝発がん性を有する可能性が示された。今後、in vivo変異原性の検索によりelemicinの遺伝毒性評価を実施する。また、furfuryl acetateの用量設定試験を実施し、13週間投与における最大耐用量を180 mg/kg/dayと判断した。今後、この結果に基づきgpt deltaラットを用いた肝中期遺伝毒性・発がん性包括的試験を実施する。さらに、GPGモデル標準プロトコールに従ってin vivo変異原性を検討した結果、2-pentylfuran、3-(2-furyl)acrolein、2-furyl methyl ketone及びethyl 3-(2-furyl)propanoate投与によるgpt及びSpi-変異体頻度の顕著な変化はみられなかった。

公開日・更新日

公開日
2017-07-04
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201622009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,597,447円
人件費・謝金 775,500円
旅費 1,626,448円
その他 1,000,605円
間接経費 0円
合計 10,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-22
更新日
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