機械設備に係る簡易リスクアセスメント手法の開発に関する調査研究

文献情報

文献番号
201621011A
報告書区分
総括
研究課題名
機械設備に係る簡易リスクアセスメント手法の開発に関する調査研究
課題番号
H28-労働・一般-005
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
梅崎 重夫(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 尚憲(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
  • 齋藤 剛(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
  • 濱島 京子(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
  • 福田 隆文(国立大学法人長岡技術科学大学 システム安全専攻)
  • 木村 哲也(国立大学法人長岡技術科学大学 システム安全専攻)
  • 島田 行恭(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
  • 吉川 直孝(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
  • 酒井 一博(公益財団法人 大原記念労働科学研究所)
  • 余村 朋樹(公益財団法人 大原記念労働科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
機械設備等に起因する労働災害を防止するには、機械の設計・製造段階及び使用段階で適切なリスクアセスメントを実施する必要がある。しかし、危険性を十分に熟知していない人が機械設備の使用段階でリスクアセスメントを実施しようとする場合、通常は次のような困難が考えられる。
1)機械の機能や危険性に関する十分な情報と適切な支援が得られない状態で、リスクアセスメントを実施するのは困難と考えられる。
2)仮にリスクアセスメントを実施しても、専門家が関与していない状況の下では、実施したリスクアセスメントの妥当性を検証するのは困難と考えられる。
3)リスクアセスメントには継続的な改善が要求される。しかし、リスクアセスメントの妥当性が検証できない状況の下で、形ばかりの継続的改善を進めるのは現場にとって相当な負担となる。
本研究では、以上のような問題が存在すると言われている小規模事業場などを対象に、ユーザー段階でのリスクアセスメントを簡易化する手法の確立を試みた。具体的には、ユーザー段階で発生する労働災害の大部分を占める繰り返し災害を対象に典型的な労働災害事例を抽出し、この事例に対してあらかじめ根本原因の究明と保護方策の明確化を図るなどによって、ユーザー段階でのリスクアセスメントを簡易化する手法などを提案した。
研究方法
次の調査を行い、簡易リスクアセスメント手法を構築する際の参考とする。
1)日本の労働現場で災害を多発させている機械(以下「災害多発機械」という)の調査
2)国内外における簡易なリスクアセスメント手法の調査
3)小規模事業場でリスクアセスメントの実施を困難とする阻害要因等の解明
結果と考察
小規模事業場でリスクアセスメントの実施が進まない背景には、手法の難しさや人材不足が原因というよりは、これらの事業揚がリスク管理の必要性をそもそも認識していないためと考えられた。このような認識が生じる背景には、本研究で行った現場調査の結果によれば、「統計的には、人数の少ない小規模事業場で労働災害が起きることは稀」であり、その結果としての無災害の継続を「安全の証」と勘違いしてしまう点に根本的な原因があると推察された。また、その結果として、本来であれば危険な機械を誤って安全と判断してしまうという、誤った認識(危険側の認識)が生じるためと推察された。そして、仮に事業者がこのような認識に至っているとするならば、経営が厳しい小規模事業場の場合、事業者はリスクアセスメントに要するコストと効果(稀にしか起きない労働災害の防止)を天秤にかけて、リスクアセスメントを実施しないという意思決定を行いやすいと推察された。
結論
「危険源」を出発点とする一般的なリスクアセスメント手法に代えて、「危害」を出発点とする簡易リスクアセスメント手法を提案した。この特徴は次のようにまとめられる。
1)機械災害の8割近くを占める典型災害事例の活用によって簡易なリスクアセスメント手法を開発し、多発する繰り返し災害への重点化を図る。
2)「危害」を出発点とした場合の見逃しを防ぐために、重篤度の高い(比率Hが低い)災害、危険点近接作業、及び真の危険性と認識された危険性のギャップが大きい作業に着目する。

公開日・更新日

公開日
2017-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201621011Z