ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究

文献情報

文献番号
201621006A
報告書区分
総括
研究課題名
ストレスチェック制度による労働者のメンタルヘルス不調の予防と職場環境改善効果に関する研究
課題番号
H27-労働-一般-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
川上 憲人(東京大学 大学院医学系研究科 精神保健学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 彰臣(産業医科大学 産業生態科学研究所 精神保健学教室)
  • 島津明人(東京大学 大学院医学系研究科 精神保健学分野)
  • 吉川 徹(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)
  • 堤 明純(北里大学 医学部 公衆衛生学)
  • 廣 尚典(産業医科大学 産業生態科学研究所 精神保健学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、平成27 年12 月に施行されたストレスチェック制度について、1)制度の導入による労働者の健康状態や職場環境改善への効果について評価すること、2)制度の運用上の課題を明らかにし、効果的な実施上の工夫を検討し提案することである。
研究方法
1.全国調査によるストレスチェック制度の評価:1)労働者の追跡調査を行い、ストレスチェック制度の実施状況および制度の効果を評価した。2)事業場への追跡調査を行い、法制度施行後のストレスチェック制度の実施状況、ストレスチェック制度の実施と職場のメンタルヘルスに対する事業者の意識や活動との関連、および費用を検討した。3)平成24年労働者健康状況調査を用いて職場環境改善と仕事関連ストレスとの関連を検討した。2.既存コホート4事業場を対象にストレスチェック制度の実施状況と効果を検討した。3. 41社の産業保健スタッフ等50名を対象にワールドカフェ方式の意見交換会を開催した。4.教育研修、ストレスマネジメントの工夫のために個別面接を支援するツールを開発し、セルフケアとしての身体活動の有効性について系統的レビューを実施した。5.職場環境改善のための研修の実施、前後比較試験、好事例収集を行った。6.科学的根拠による高ストレス者の判定基準について、労働者の休業に関する予測妥当性を2つの事業場の前向き研究で検討した。7.ストレスチェック制度施行後約1年を経過した時点での同制度の実施状況に関して産業保健活動を主たる業務としている医師を対象としたWeb調査とグループ討議形式による聞き取り調査を実施した。
結果と考察
1.1)回答者2,481名(66.4%)のうち、受検率は91%、高ストレス者は受検者の14%、高ストレス者のうち医師面接の実施は17%、職場環境改善の経験は6%であった。ストレスチェックを受検し職場環境改善を経験した群で、未受検者とくらべて心理的ストレス反応が改善していた。2)回答事業場316件(69.6%)のうち、ストレスチェックを実施した事業場は87%、約8割の事業場で受検率は80%以上であった。高ストレス者の頻度は、10%以上20%未満、5%以上10%未満が多かった。ストレスチェック制度の合計費用は中央値で約50万円と、昨年度調査の約40万円より高額となっていた。特にストレスチェック実施の外注費が増加していた。3)1,026事業所、9,908名の労働者において男性において職場環境改善の実施が、労働者の重度の仕事関連ストレスと負の関連を有した。2.聞き取り調査を行った事業場では、対象者の9割以上がストレスチェックを受検していた。労働者の心理的な負担の程度に変化はなかった。3.意見交換の結果、ストレスチェック制度の実施における課題として5点、工夫として5点があげられた。4.個別面接支援マニュアル(案)への意見聴取では、難易度(分かりやすさ)、ボリューム、有用性について肯定的な回答が多く得られた。身体活動の効果については不安をアウトカムとした研究、ヨガの研究で有意な改善効果がみられた。5.ストレスチェック制度の中での職場環境改善ために追加で必要な知識やスキルが明かとなった。職場環境改善のモデル事業が開始され、良好事例が収集された。6.ストレスチェック制度実施マニュアルが推奨する高ストレス者が1ヶ月以上の休業を開始するハザード比は研究1で男性6.6、女性2.8、研究2で男性6.7、女性17.1であった。7.Web調査では、99名の回答から医師面接の実施状況が明かとなった。ストレスチェック制度における医師による面接指導のガイドラインの骨子を作成した。
結論
ストレスチェック制度施行1年目には実施事業場の割合および受検率は高かった。医師面接の割合は低かった。職場環境改善が労働者の心理的ストレスの軽減に効果があることが示された。今後の実施に向けて事業場が考慮すべき工夫のポイント、職場環境改善ために追加の知識やスキルが明かとなり、セルフケア支援のための個別面接支援マニュアル(案)、医師による面接指導のガイドライン(案)が開発された。現在推奨されている高ストレス者の判定法は妥当と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
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分担研究報告書
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分担研究報告書
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研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-05-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201621006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,600,000円
(2)補助金確定額
12,590,553円
差引額 [(1)-(2)]
9,447円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,124,717円
人件費・謝金 1,410,569円
旅費 2,243,617円
その他 5,211,650円
間接経費 2,600,000円
合計 12,590,553円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-05-29
更新日
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