文献情報
文献番号
201621004A
報告書区分
総括
研究課題名
定性的手法を用いた労働災害防止対策に対する労働者の認識の分析
課題番号
H27-労働-一般-002
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
熊崎 美枝子(国立大学法人 横浜国立大学 環境情報研究院 人工環境と情報部門)
研究分担者(所属機関)
- 岡田 賢(産業技術総合研究所 安全科学研究部門)
- 清水 芳忠(神奈川県産業技術総合研究所)
- 庄司 卓郎(産業医科大学 産業保健学部)
- 牧野 良次(産業技術総合研究所 安全科学研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、労働災害防止対策への取り組みに関する労働者の意識をヒアリング等により得て、その情報を定性的手法により分析し、労働者の認識を構成する要因や影響を与える要因の間の関係を構造化することで理解し、より効果的な取組みに 資することを目的としている。3年間の研究期間中,初年度は、主に国内外の好事例集を検討しその内容を明らかにするほか、これらを基に研究の核となるヒアリングを行う際のリサーチクエスチョンを設定した。
研究方法
2年目である平成28年度は、短文の投稿を共有できるウェブサービスTwitterを調査すると共に、10箇所の事業所にて25名の労働者にヒアリングを実施し、データを収集・分析した。Twitterでは「現場」「安全」等の検索語句を利用して得られたTweetを解釈し概念を作成した。インタビューは安全対策が良好に機能しているとされる事業所に依頼し、現場の作業担当者や安全管理者を訪ねて事業所内で聞き取り調査を行った。インタビューは半構造化面接とよばれる,あらかじめ準備した質問内容に沿ってインタビューを進めるものの協力者の回答内容に応じて質問の順番や内容を変えてゆき、自然な流れで興味深い内容をより深く掘り下げる手法で行った。インタビューはインタビュー協力者の同意を得た上で録音し、テキストに書き起した。書き起こしたデータを精読し、労働者の安全意識に関連する文章のまとまりを抽出した。より多くのまとまりを表すことができるよう解釈したうえで抽象化して命名することで概念を生成し,それと共に概念を説明する定義も整備した。データは見直しを繰り返し、研究代表者・分担者間で多角的な視点で議論することでより適切な表現となるよう洗練させた。
結果と考察
インタビューデータについては最も初期の分析で概念が105件生成したが、現在,統合によって18件の概念を得ている。Twitter分析では現在44件の概念を得ている。
Twitterによる分析では投稿者が匿名で投稿できているということから、身の回りの事象に対する好意的な印象だけではなく負の感情も吐露されており、結果として分析の対象として抽出された安全対策に関する認識についても前向きおよび後ろ向きのどちらの姿勢も抽出されてきた。インタビューさせていただいた事業所は好事例として紹介されている事業所であるために、得られる情報は基本的に安全対策に前向きな認識についてのものと考えられる。インタビューの結果と相補的に検討することにより、安全対策に積極的になる施策,消極的になる施策など、対極の関係となる情報が得られることが期待される。
インタビュー調査では安全対策に前向きな認識を示す情報が多数得られた。Twitter分析よりも文脈が十分わかることから、より明快な概念作成ができており、また概念間の比較が容易であった。一方Twitter分析では、文脈が曖昧な箇所では複数の解釈が可能であり、それぞれ概念化を行ってコーディング当初には概念が増える傾向にあった。現在までのインタビュー分析では作業担当者と管理者あるいは安全管理者のインタビューを区別せずに概念化を行っている。安全管理者・管理社はかつて作業担当者だった時期もあることから、認識の変遷などについても検討することが出来る可能性がある。
Twitterによる分析では投稿者が匿名で投稿できているということから、身の回りの事象に対する好意的な印象だけではなく負の感情も吐露されており、結果として分析の対象として抽出された安全対策に関する認識についても前向きおよび後ろ向きのどちらの姿勢も抽出されてきた。インタビューさせていただいた事業所は好事例として紹介されている事業所であるために、得られる情報は基本的に安全対策に前向きな認識についてのものと考えられる。インタビューの結果と相補的に検討することにより、安全対策に積極的になる施策,消極的になる施策など、対極の関係となる情報が得られることが期待される。
インタビュー調査では安全対策に前向きな認識を示す情報が多数得られた。Twitter分析よりも文脈が十分わかることから、より明快な概念作成ができており、また概念間の比較が容易であった。一方Twitter分析では、文脈が曖昧な箇所では複数の解釈が可能であり、それぞれ概念化を行ってコーディング当初には概念が増える傾向にあった。現在までのインタビュー分析では作業担当者と管理者あるいは安全管理者のインタビューを区別せずに概念化を行っている。安全管理者・管理社はかつて作業担当者だった時期もあることから、認識の変遷などについても検討することが出来る可能性がある。
結論
本年度では、ヒアリング実施と共に、労働者の生の声の収集として短文の投稿を共有するウェブ上の情報サービスを利用して分析を行った。
概念化を進めている途上であるが、研究の最終的な目標である「労働者の認識の理解」のため分析が進んでおり、概念化が飽和する(もう新たな概念が生れない状態)まで進め,インタビューとTwitterの結果を比較検討することで、日本の働く人の間に広がる認識を把握することが出来ると期待できる。
概念化を進めている途上であるが、研究の最終的な目標である「労働者の認識の理解」のため分析が進んでおり、概念化が飽和する(もう新たな概念が生れない状態)まで進め,インタビューとTwitterの結果を比較検討することで、日本の働く人の間に広がる認識を把握することが出来ると期待できる。
公開日・更新日
公開日
2017-06-06
更新日
-