文献情報
文献番号
201620052A
報告書区分
総括
研究課題名
医療通訳の認証のあり方に関する研究
課題番号
H28-医療-指定-032
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
中田 研(大阪大学大学院 医学系研究科 スポーツ医学(整形外科))
研究分担者(所属機関)
- 染谷 泰正(関西大学 外国語学部 外国語学科)
- 山田 秀臣(東京大学 医学部附属病院 国際診療部)
- 糸魚川 美樹(愛知県立大学 外国語学部 ヨーロッパ学科 スペイン語圏専攻)
- 押味 貴之(国際医療福祉大学 医学部 医学教育統括センター)
- 南谷 かおり(大阪大学 医学部附属病院 未来医療開発部 国際医療センター)
- 重野 亜久里(特定非営利活動法人 多文化共生センターきょうと)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 押味 貴之
日本大学医学部医学英語教育学(平成19年12月1日~28年11月30日)
→国際医療福祉大学総合教育センター(平成29年12月1日以降)
→国際医療福祉大学医学部医学教育統括センター(平成29年4日3日以降)
研究分担者 染谷 泰正
体調不良のため、平成28年12月末で中断。
研究報告書(概要版)
研究目的
近年のグローバル化により日本への訪日・在留外国人が増加し、医療施設を利用する機会が増加している。このような外国人診療の状況を調査し、外国人診療において問題となる言葉や文化などコミュニケーションに対して必要とされる医療通訳の認証制度のあり方を検討することを目的とした。
研究方法
日本での外国人診療と、医療通訳と、その育成に関する調査研究を、厚生労働省が 2016年実施したアンケート調査回答(1710病院)と関係者へのヒアリング調査、さらに、第1回日本臨床医学会や、医療通訳者との意見交換会などでのアンケート(144名)を行った。また、医療通訳の日本と海外での実情、医療通訳の認証制度について、文献的、ホームページなど公開情報での調査研究を行った。
結果と考察
日本全国の医療機関の約8割が外国人患者を、また半数以上が日本語の理解が困難な外国人患者を受け入れていた。在留外国人の外来対応が最も多いが、観光地に集積して観光目的の訪日外国人患者が見られ、また医療目的の訪日外国人患者は東京や国際空港をもつ地域の特定の医療機関に認められるなど、地域による特徴と差異が認められた。
海外の医療通訳の認証制度は、コミュニティサービスの一つとして通訳が普及しており、医療通訳に特化した育成・認証制度をもつ国は少ない。また、国際的に統一した基準も存在していない。
日本では、派遣前提の地域主体の医療通訳事業が動あり、短期間実践重視型の研修が行われている。一部の大学講座では、より専門的な医療通訳を学ぶことができるがまだ少数である。医療通訳派遣事業者や教育機関は多様で、医療通訳の育成レベルには差があると考えられた。
日本での医療通訳派遣は利用料金3000円前後で実施主体、医療機関、患者などが負担していた。派遣数の多い事業者では、独自の研修や試験が行われているところもあった。
アンケート調査により、医療通訳認証制度の早急な策定の要望は強く、その目的を医療通訳技術の「質の保証・可視化」と答えた人が最も多かった。
今後、日本で医療通訳の認証制度を運用には、試験実施団体とは別の、認証に利益相反のない「中立・公正性・専門性」をもつ第3者機関が適しており、「妥当性」と「信頼性」を高めるためのカリキュラム策定や育成機関の審査、試験開発も必要であると考えられた。
本研究により、日本における「外国人患者」の実態を、地域的相違も含めて実数としてデータを得ることができた。医療機関の約8割が外国人患者の経験があることから、もはや外国人患者受入れは特別なことではない。医療通訳および認証制度の社会ニーズは高く、早急な策定が望まれていることが明らかとなった反面、派遣事業者や通訳者のレベルが多様で、また国際医療に関する様々な語句の定義や共通理解も得られていないのが現状である。今後の課題として、医療通訳の業務内容、認証試験の方法、養成方法、さらには、業務規定と身分保証・報酬などの解決が求められている。先進的な取組みを行っている諸外国の制度や、日本国内ですでに都市部や在留外国人の多い地域で行われている医療通訳の実績を踏まえつつ、医療通訳関係者と協働して、医療通訳認証制度を策定、運用することが必要である。
海外の医療通訳の認証制度は、コミュニティサービスの一つとして通訳が普及しており、医療通訳に特化した育成・認証制度をもつ国は少ない。また、国際的に統一した基準も存在していない。
日本では、派遣前提の地域主体の医療通訳事業が動あり、短期間実践重視型の研修が行われている。一部の大学講座では、より専門的な医療通訳を学ぶことができるがまだ少数である。医療通訳派遣事業者や教育機関は多様で、医療通訳の育成レベルには差があると考えられた。
日本での医療通訳派遣は利用料金3000円前後で実施主体、医療機関、患者などが負担していた。派遣数の多い事業者では、独自の研修や試験が行われているところもあった。
アンケート調査により、医療通訳認証制度の早急な策定の要望は強く、その目的を医療通訳技術の「質の保証・可視化」と答えた人が最も多かった。
今後、日本で医療通訳の認証制度を運用には、試験実施団体とは別の、認証に利益相反のない「中立・公正性・専門性」をもつ第3者機関が適しており、「妥当性」と「信頼性」を高めるためのカリキュラム策定や育成機関の審査、試験開発も必要であると考えられた。
本研究により、日本における「外国人患者」の実態を、地域的相違も含めて実数としてデータを得ることができた。医療機関の約8割が外国人患者の経験があることから、もはや外国人患者受入れは特別なことではない。医療通訳および認証制度の社会ニーズは高く、早急な策定が望まれていることが明らかとなった反面、派遣事業者や通訳者のレベルが多様で、また国際医療に関する様々な語句の定義や共通理解も得られていないのが現状である。今後の課題として、医療通訳の業務内容、認証試験の方法、養成方法、さらには、業務規定と身分保証・報酬などの解決が求められている。先進的な取組みを行っている諸外国の制度や、日本国内ですでに都市部や在留外国人の多い地域で行われている医療通訳の実績を踏まえつつ、医療通訳関係者と協働して、医療通訳認証制度を策定、運用することが必要である。
結論
今回の研究により、医療通訳認証制度の策定に必要なエビデンスと海外での情報を得ることができた。今後、これらのエビデンスや情報を基に、実際に認証制度を施行し、医療通訳認証制度の実施における課題を抽出しながら、実用化を目指す研究に発展していくことが期待される。将来的には、医療通訳のさらなる普及と、医療者側と訪日・在留外国人患者側双方にとって安全な外国人診療の確保につながることで、医療の国際化の推進が可能となる。
公開日・更新日
公開日
2017-09-11
更新日
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