中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201620036A
報告書区分
総括
研究課題名
中小医療機関向け医療機器保守点検のあり方に関する研究
課題番号
H27-医療-指定-018
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石原 美弥(防衛医科大学校 医用工学講座)
  • 高倉 照彦(亀田総合病院 医療技術部)
  • 中島 章夫(杏林大学 保健学部臨床工学科)
  • 須田 健二(杏林大学 保健学部臨床工学科)
  • 中村 淳史(杏林大学 保健学部臨床工学科)
  • 新 秀直(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
  • 山田 紀昭(済生会横浜市東部病院 臨床工学部)
  • 櫛引 俊宏(防衛医科大学校 医用工学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 第5次医療法改正では医療安全の確保に重点がおかれ、医療機器に係る安全確保が義務付けられた。しかし、現状では医療機器の安全管理が適正であるとは言い難い。本研究では、施設の規模や専門家の有無によらず活用可能な医療機器安全管理のガイドラインなどを作成することを目的とする。
研究方法
1.中小医療機関向け保守点検ガイドラインの策定研究グループ
1) 中小医療機関を対象とした日常点検の手引書の作成:平成27年度に人工呼吸器、除細動器(AEDを含む)、輸液・シリンジポンプ、閉鎖式保育器、生体情報モニターについて中小医療機関向け日常点検の項目を抽出した。平成28年度は、これに対し、(一社)日本医療機器産業連合会の協力を得て医療機器産業界からの意見を聴取した。
2) 中小医療機関を対象とした安全管理の手引書の作成:医療機器安全管理の体制構築のための手引書について検討を開始した。
3) 中小医療機関における医療機器保守管理の現状把握:看護師を中心に医療機器保守管理を行っている病院など(平成27・28年度に各4施設)を訪問し、保守管理に関する調査を行った。
2.保守管理のガイドライン策定の普及に向けた諸課題調査研究グループ
1) 安全使用のためのガイドラインの精査:平成26-27年度厚生労働科学研究「医療機器保守管理のガイドライン策定の普及に向けた諸課題の調査研究(研究代表者:石原美弥)」により、輸液ポンプ、医用テレメータ、人工呼吸器、人工心肺装置、透析装置、麻酔器の「安全使用のためのガイドライン(案)」が作成・公表されており、公表後に医療従事者や医療機器企業から寄せられた意見などを踏まえ内容の精査を行った。また、6製品群のメーカーが所属する団体から意見を聴取した。
2) 教育サイトの拡充:平成26-27年度厚生労働科学研究により輸液ポンプの教育用教材が公開されており、これを拡充した。
3. 研究班の体制
 本研究班には医療機関において医療安全や医療機器保守管理の業務経験を有する臨床工学技士や看護師、医療機器関連団体、行政関係者が参画した。
結果と考察
1.中小医療機関向け保守点検ガイドラインの策定研究グループ
1) 中小医療機関を対象とした日常点検の手引書の作成:医療機器産業界の意見について、研究グループにおいて再検討した。意見聴取にあたっては「日常点検の手引書」のコンセプトに配慮いただくよう説明した。
2) 中小医療機関を対象とした保守管理の手引書の作成:3)の調査において、保守管理体制構築の方法などを取りまとめた手引書の必要性を認識した。そのため、1)の「日常点検の手引書」と2)の「体制構築の手引書」を合わせて「医療機器安全管理の導入支援パッケージ」として作成することとし、内容について検討を開始した。
3) 中小医療機関における医療機器保守管理の現状把握:調査対象施設では看護師や事務職員を中心に医療機器安全管理に熱心に取り組まれていた。しかし、保守管理に関する知識・技術、情報が不足していることなどが明らかとなった。
2.保守管理のガイドライン策定の普及に向けた諸課題調査研究グループ
1) 安全使用のためのガイドラインの精査:同ガイドライン(案)の公表後に医療従事者や医療機器企業から寄せられた意見などについて検討し、「医療機器の安全使用に関するガイドライン」として「医療機器の安全使用に関するガイドラインダウンロードと研究成果公表サイト」(http://plaza.umin.ac.jp/~me-guidelines/index.html#download_frame、平成28年11月2日)に公表した。また、医療機器団体の意見について検討した。さらに、科学的な教育研修の計画・実施のために研修の計画書を作成・追加した。
2) 教育サイトの拡充:「ナースのための輸液ポンプ 超入門編のサイト」(http://plaza.umin.ac.jp/~iryoukiki/)を複数医療機器に対応するようにサイト構成を変更し、人工呼吸器の教材を追加した。
 医療機器の保守管理や安全管理は、個々の医療機関において診療内容や医療機器の運用方法などを考慮して立案・実施すべきものである。そのためのガイドラインは活用される現場の状況を反映したものでなければならない。本研究では医療機関へのインタビュー、関係学会や医療機器産業界などの意見聴取を実施し、社会実装可能なガイドラインの完成を目指している。
結論
 本研究の目標は病院規模などによらず活用可能な保守点検ガイドラインなどを作成することである。医療機器に関連するすべての関係者が望む、【医療機器の安全使用】に向けて、引き続き研究を推進する。

公開日・更新日

公開日
2018-02-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-02-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201620036Z