文献情報
文献番号
201620035A
報告書区分
総括
研究課題名
遠隔診療の有効性・安全性の定量的評価に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H27-医療-指定-017
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
酒巻 哲夫(群馬大学)
研究分担者(所属機関)
- 本多 正幸(長崎 大学)
- 中島 直樹(九州大学)
- 森田 浩之(岐阜大学)
- 齋藤 勇一郎(群馬大学)
- 郡 隆之(利根中央病院)
- 野口 貴史(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
6,667,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
遠隔から医師の介入により、看護師単独よりも訪問看護の質的向上(迅速性、適切性など)を可能にできるとの仮説検証のため、臨床研究をデザインし、多施設臨床試験を行った。
研究方法
(1)多施設臨床試験のデザイン:平成28年4月~11月
①多施設臨床試験に関する詳細デザイン
②参加施設の募集と選定(各施設の状況調査および遠隔診療に関する研修実施)
③群馬大学医学部附属病院での臨床試験審査
(2)多施設臨床試験の実施:平成28年12月~平成29年3月
①各施設での試験開始の指導およびモニタリング
②多施設試験実施とデータの収集と分析
①多施設臨床試験に関する詳細デザイン
②参加施設の募集と選定(各施設の状況調査および遠隔診療に関する研修実施)
③群馬大学医学部附属病院での臨床試験審査
(2)多施設臨床試験の実施:平成28年12月~平成29年3月
①各施設での試験開始の指導およびモニタリング
②多施設試験実施とデータの収集と分析
結果と考察
(1)臨床試験デザイン
・H22-23年度に収集した臨床研究データにより、薬の用量変更の実績や、対面診療と同等の有害事象発生率等の結果が得られた。一方で上記研究以降、積極的な実施施設の出現は見受けられなかった。また研究プロトコルや有効性尺度の提案も無かった。さらに在宅医療で報酬を請求できる診療行為の整備は進んでおり、新たな診療行為を加える余地が少ない。つまり臨床試験のターゲットが限られることがわかった。そこで有効性を実証すべき遠隔診療は、一般的な指導(電話等再診等)のみだった。疾患種類や診療科の絞った評価尺度は未確立だった。テレビ電話により一般的な指導に於ける判断確定時間が短縮されるか、主評価とした。副評価は患者QOL(EQ5D-5L)、医療者の各診療毎の満足度評価、イベント発生率などとした。
(2)臨床試験の準備
全国7施設、秋田厚生連由利組合総合病院(秋田県)、内田病院(群馬県)、美原診療所(群馬県)、つくばハートクリニック(茨城県)、篠崎クリニック(岡山県)、日南市立中部病院(宮崎県)、宮上病院(鹿児島県)より臨床試験参加の同意を得た。遠隔診療に初めて取り組む施設もあり、実施指針を作成し各施設で研修を実施した。
(3)臨床試験審査
研究計画書、患者向け説明資料、各施設向け調査用紙、各施設向け遠隔診療実施指針を設計および作成して、群馬大学医学部付属病院臨床試験審査委員会で審査を受け、合格した(受付番号1480番)。UMIN-CTLに「試験番号 UMIN000025145」、記号名 TMJ Homesで登録した。またEQ5Dも事務局に利用申請を行い、無償利用を許可された。
(4)臨床試験の実施
画像による遠隔診療群(22人、81症例)、対照群(11人、83症例)を得た。速報値では判断確定時間に両群間に有意差のある差異は無く、患者QOLやイベント発生にも差異は見られなかった。医療者の各診療毎の満足度は高かった。対照群の症例が非常に少なかったが、各施設よりテレビ電話によらない訪問看護を行わない(効果が期待されるものしか実施しない)との情報を得た。
(5)遠隔診療の実施指針案の作成
日本遠隔医療学会普及委員会より在宅医療への遠隔診療の実施指針(2011年3月)の情報を得て、それを更改する形で遠隔診療の実施指針案を作成した。これを日本遠隔医療学会に渡して、ガイドライン化の検討を進めて貰う。
(6)考察
①価値
特定対象に限定しない指導行為の診療報酬は、「電話等再診を遠隔診療で請求できる」ことで評価されそれ以上の追加評価は無かった。今後のエビデンス収集には対象疾患等の絞り込みが必須である。
②有効性
在宅医療で判断時間短縮等が優位に発現するほど、重大な事象は少ないと推測される。医師からは判断しやすさ、看護師等からは報告しやすさと即断お得やすさへの期待の高さ、つまり現場医療者の負担感軽減に効果があると考えられる。
③医療普及の障壁
「取り組みたい人が多いが、規制が抑えている」状況は見いだせず、実施手法の情報や立ち上げ支援の不足に伴う不安が、参入を妨げていると考えられる。臨床試験中は研究事務局が支援できるが、研究終了後の支援継続が大きな問題である。
・H22-23年度に収集した臨床研究データにより、薬の用量変更の実績や、対面診療と同等の有害事象発生率等の結果が得られた。一方で上記研究以降、積極的な実施施設の出現は見受けられなかった。また研究プロトコルや有効性尺度の提案も無かった。さらに在宅医療で報酬を請求できる診療行為の整備は進んでおり、新たな診療行為を加える余地が少ない。つまり臨床試験のターゲットが限られることがわかった。そこで有効性を実証すべき遠隔診療は、一般的な指導(電話等再診等)のみだった。疾患種類や診療科の絞った評価尺度は未確立だった。テレビ電話により一般的な指導に於ける判断確定時間が短縮されるか、主評価とした。副評価は患者QOL(EQ5D-5L)、医療者の各診療毎の満足度評価、イベント発生率などとした。
(2)臨床試験の準備
全国7施設、秋田厚生連由利組合総合病院(秋田県)、内田病院(群馬県)、美原診療所(群馬県)、つくばハートクリニック(茨城県)、篠崎クリニック(岡山県)、日南市立中部病院(宮崎県)、宮上病院(鹿児島県)より臨床試験参加の同意を得た。遠隔診療に初めて取り組む施設もあり、実施指針を作成し各施設で研修を実施した。
(3)臨床試験審査
研究計画書、患者向け説明資料、各施設向け調査用紙、各施設向け遠隔診療実施指針を設計および作成して、群馬大学医学部付属病院臨床試験審査委員会で審査を受け、合格した(受付番号1480番)。UMIN-CTLに「試験番号 UMIN000025145」、記号名 TMJ Homesで登録した。またEQ5Dも事務局に利用申請を行い、無償利用を許可された。
(4)臨床試験の実施
画像による遠隔診療群(22人、81症例)、対照群(11人、83症例)を得た。速報値では判断確定時間に両群間に有意差のある差異は無く、患者QOLやイベント発生にも差異は見られなかった。医療者の各診療毎の満足度は高かった。対照群の症例が非常に少なかったが、各施設よりテレビ電話によらない訪問看護を行わない(効果が期待されるものしか実施しない)との情報を得た。
(5)遠隔診療の実施指針案の作成
日本遠隔医療学会普及委員会より在宅医療への遠隔診療の実施指針(2011年3月)の情報を得て、それを更改する形で遠隔診療の実施指針案を作成した。これを日本遠隔医療学会に渡して、ガイドライン化の検討を進めて貰う。
(6)考察
①価値
特定対象に限定しない指導行為の診療報酬は、「電話等再診を遠隔診療で請求できる」ことで評価されそれ以上の追加評価は無かった。今後のエビデンス収集には対象疾患等の絞り込みが必須である。
②有効性
在宅医療で判断時間短縮等が優位に発現するほど、重大な事象は少ないと推測される。医師からは判断しやすさ、看護師等からは報告しやすさと即断お得やすさへの期待の高さ、つまり現場医療者の負担感軽減に効果があると考えられる。
③医療普及の障壁
「取り組みたい人が多いが、規制が抑えている」状況は見いだせず、実施手法の情報や立ち上げ支援の不足に伴う不安が、参入を妨げていると考えられる。臨床試験中は研究事務局が支援できるが、研究終了後の支援継続が大きな問題である。
結論
上記結果より、在宅医療に於ける遠隔診療の価値を、チーム医療で現場にいる医療者の指導・報告の円滑化と考えた。それを盛り込んだ遠隔診療指針案を考案した。日本遠隔医療学会にてガイドライン化の検討を進める。
公開日・更新日
公開日
2018-06-04
更新日
-