文献情報
文献番号
201620032A
報告書区分
総括
研究課題名
エコチル調査を活用した脳性麻痺発生率等に関する調査
課題番号
H27-医療-指定-013
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 圭司(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 発達評価センター、臓器・運動器病態外科部 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
- 新田 裕史(国立研究開発法人 国立環境研究所 環境健康研究センター)
- 目澤 秀俊(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 生体防御系内科部 アレルギー科)
- 梅原 永能(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 周産期母性診療センター)
- 中山 祥嗣(国立研究開発法人 国立環境研究所 環境健康研究センター 総合影響評価研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
エコチル調査を活用し在胎週数別・出生体重別脳性麻痺の発生数や発生原因の分析により当該制度の補償対象となる重度脳性麻痺児数の推計を行う。
研究方法
平成24年~27年に出生したエコチル調査参加児について、1歳児調査票及び3・4・5歳時調査票において「脳性麻痺」との回答を得た事例について、児の分娩機関及び医療機関の診療録等から分娩時のデータ及び現在の肢体不自由の程度等の情報を把握する。
結果と考察
2016年12月31日現在、エコチル調査参加者の中で、2011年出生が9,684人、2012年出生が28,219人、2013年出生が35,587人、2014年出生が26,658人で、全体が100,148人であった。上記参加者の内、質問票にて「脳性麻痺」を選択されていた人数は77人であった。各対象者の出生年は、2011年出生が23人、2012年出生が21人、2013年出生が25人、2014年出生が8人であった。
脳性麻痺発生率は、母数を出生数とすると、対象者全体で0.77人/1000出生、重症対象者で0.53、旧基準対象者で0.60、新基準対象者で0.64、旧基準対象者(重症のみ)で0.40、新基準対象者(重症のみ)で0.44であった。母数を5歳質問票回収数とすると、2011年出生のみとなるが、対象者全体で5.04、重症対象者で3.84、旧基準対象者で3.36、新基準対象者で3.60、旧基準対象者(重症のみ)で2.16、新基準対象者(重症のみ)で2.40であった。
先行調査では、沖縄で1988年から2009年までに696例の脳性麻痺が発生し、その発生率は1.9であった。2005年から2009年に絞ると沖縄県で1.6であり、同時期に行われた脳性麻痺発生調査では、栃木県では2.1、三重県では3.0の発生率であった。今回の結果はその範囲が含まれている。しかし、2011年出生では分娩合併症が他年より多く、出生週数、出生体重が低い傾向にあった。2011年はエコチル調査の開始年であり、分娩時合併症の多い集団である可能性があり、翌年も同様の傾向があるかの確認が必要である。
脳性麻痺発生率は、母数を出生数とすると、対象者全体で0.77人/1000出生、重症対象者で0.53、旧基準対象者で0.60、新基準対象者で0.64、旧基準対象者(重症のみ)で0.40、新基準対象者(重症のみ)で0.44であった。母数を5歳質問票回収数とすると、2011年出生のみとなるが、対象者全体で5.04、重症対象者で3.84、旧基準対象者で3.36、新基準対象者で3.60、旧基準対象者(重症のみ)で2.16、新基準対象者(重症のみ)で2.40であった。
先行調査では、沖縄で1988年から2009年までに696例の脳性麻痺が発生し、その発生率は1.9であった。2005年から2009年に絞ると沖縄県で1.6であり、同時期に行われた脳性麻痺発生調査では、栃木県では2.1、三重県では3.0の発生率であった。今回の結果はその範囲が含まれている。しかし、2011年出生では分娩合併症が他年より多く、出生週数、出生体重が低い傾向にあった。2011年はエコチル調査の開始年であり、分娩時合併症の多い集団である可能性があり、翌年も同様の傾向があるかの確認が必要である。
結論
エコチル調査内で脳性麻痺発生率を算定した。先頭集団の脳性麻痺発生率は2.16~2.40程度であったが、周産期合併症が多い集団である可能性があるため、継続した評価が必要である。正確な人数を想定するためには、エコチル調査参加者が5歳になるまでのフォローアップが必要である。
公開日・更新日
公開日
2017-05-25
更新日
-