文献情報
文献番号
201620024A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床効果に関するデータベースの国内外での動向に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H28-医療-一般-015
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 美保子(川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部医療情報学科)
研究分担者(所属機関)
- 澤 智博(帝京大学 医療情報システム研究センター)
- 小出 大介(東京大学大学院医学系研究科)
- 山口 拓洋(東北大学大学院医学系研究科)
- 桑原 篤憲(川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学)
- 大江 和彦(東京大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
臨床効果データベース/症例レジストリーについて、今後の統合的な活用を妨げる要因として、いかなる課題があるのか把握するため、国内外の動向を調査し、報告書に纏める。我が国におけるレジストリーに関する課題を整理し、考察するとともに、今後の推進の在り方について提案する。
研究方法
国内におけるレジストリーの一部事例について、腎臓病を例として、調査項目、研究論文などの調査方法を検討する。米国の動向、欧州の動向について、関連する国際学会、国際標準化会議に参加して資料を収集するとともに関係者との意見交換をはかる。また、米国への訪問調査により関係者に聞き取り調査を行う。
結果と考察
(1) 米国、欧州、それぞれ患者レジストリーに関する継続的な取り組みがある。共通の課題は、いかにレジストリー間で連携をはかるか、重複した開発の努力を減らせるか、連携による研究機会の増大・研究テーマの広がりをはかることができるか等である。国内でも議論が始まっているが、議論を整理する上で、多様なレジストリーに関わる概念を整理し、定義、類型を定めることが望ましい。
(2) 欧、米ともいかなるレジストリーがあるかを把握できる「レジストリーのためのレジストリー」の構築が進められている。治験に関しては登録の仕組みが国内でも整備されてきているが、我が国にどのような臨床レジストリーがあるのか、全体像は知られていない。「レジストリーのレジストリー」整備が必要である。並行して、現状・課題・ニーズ等、レジストリーの実態調査が必要である。
(3) ただちにデータの連結や共有化をはかるのは困難であるが、レジストリーの運営組織が情報を共有し、課題への取り組みに関する知見を共有でき、オープンにできる情報技術を提供・利用し得るネットワーク作りも有用と考えられる。
(4) レジストリーの維持・運営に関しては、国際的にも様々な活動がみられる。データ登録者のインセンティブ、患者のためにどう役立てることができるかという視点、レジストリーデータの利用の条件、官学・産学・産官学のパートナーシップによる運営など、論点を整理し、検討する必要がある。
(5) 本質的な問題として、レジストリーのクォリティをどうマネジメントしていくかという重要課題がある。国際標準化団体での議論も始まろうとしている中、国内でもこの観点からの取り組みが必要がある。
(6) 情報技術、倫理的・法的観点、臨床研究、医療の実際、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス、リアルワールドデータ活用への期待、データクォリティなど個別の課題ごとの検討だけでなく、全体統括されたプロジェクトとして取り組むことが望まれる。
(2) 欧、米ともいかなるレジストリーがあるかを把握できる「レジストリーのためのレジストリー」の構築が進められている。治験に関しては登録の仕組みが国内でも整備されてきているが、我が国にどのような臨床レジストリーがあるのか、全体像は知られていない。「レジストリーのレジストリー」整備が必要である。並行して、現状・課題・ニーズ等、レジストリーの実態調査が必要である。
(3) ただちにデータの連結や共有化をはかるのは困難であるが、レジストリーの運営組織が情報を共有し、課題への取り組みに関する知見を共有でき、オープンにできる情報技術を提供・利用し得るネットワーク作りも有用と考えられる。
(4) レジストリーの維持・運営に関しては、国際的にも様々な活動がみられる。データ登録者のインセンティブ、患者のためにどう役立てることができるかという視点、レジストリーデータの利用の条件、官学・産学・産官学のパートナーシップによる運営など、論点を整理し、検討する必要がある。
(5) 本質的な問題として、レジストリーのクォリティをどうマネジメントしていくかという重要課題がある。国際標準化団体での議論も始まろうとしている中、国内でもこの観点からの取り組みが必要がある。
(6) 情報技術、倫理的・法的観点、臨床研究、医療の実際、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス、リアルワールドデータ活用への期待、データクォリティなど個別の課題ごとの検討だけでなく、全体統括されたプロジェクトとして取り組むことが望まれる。
結論
国内では、多くの臨床効果データベース、症例(疾病)レジストリーの構築が進み、今後とも増加することが予想される。しかし実際、どのようなレジストリーが構築され、いかなる成果が得られているか詳細は明らかでない。個々のレジストリー等が互いに独立に蓄積され、しかも、どのようなレジストリーがあるのか知られないままでは、開発努力の重複が生じ、統合的な分析の路も閉ざされてしまいかねない。欧州、米国における臨床レジストリーの取り組みを調査して、多面的かつ系統だった取り組を纏めた。本調査報告は、今後の我が国における臨床レジストリー推進に貢献するものと考える。
公開日・更新日
公開日
2017-09-11
更新日
-