人生の最終段階における医療のあり方に関する調査の手法開発及び分析に関する研究

文献情報

文献番号
201620022A
報告書区分
総括
研究課題名
人生の最終段階における医療のあり方に関する調査の手法開発及び分析に関する研究
課題番号
H28-医療-一般-013
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野)
研究分担者(所属機関)
  • 阿部 智一(筑波大学医学医療系)
  • 柏木 聖代(横浜市立大学医学部看護学科)
  • 堀田 聰子(国際医療福祉大学大学院・人的資源管理)
  • 浜野 淳(筑波大学医学医療系)
  • Mayers Thomas(メイヤーズ トーマス)(筑波大学医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成29年度に厚労省が実施する「人生の最終段階における医療に関する意識調査(仮)」に向けて、調査に盛り込むべき概念整理及び計測方法(質問項目等)を開発し、当該調査の実施にかかる提言を行うことを目的する。
研究方法
初年度(平成28年度)は、各国の終末期医療についてのガイドラインおよび内外のアドバンスドケアプランニングに関する文献のレビュー、我が国の代表的な遺族調査である「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究(J- HOPE研究)」についての検討、海外の主な国民レベル意識調査のレビュー、これまでに実施された本意識調査のまとめを実施した。
また、課題別小規模予備調査として予定している以下の4調査のうち、①および④を実施し、結果をまとめた。③のアンケート調査を実施した。②および③ の結果のまとめは、次年度(平成30年度)に行う予定である。
①市民公開講座参加者を対象とした人生の最終段階に関する意識調査
②救急調査(救急外来・ICUにおける医療職員に対し、終末期医療や救命医療についての意識を調査)
③学会調査(各医系学会が終末期医療における用語をどのように扱っているか、および終末期医療に対するマニュアル等を整備しているかを調査)
④自治体調査(地方自治体が終末期医療についてどのような啓蒙活動を行っているかを調査)
結果と考察
ガイドラインでは、18 か国にある56ガイドラインをレビューし、国によってはガイドラ インの対象が医療関係者や国民など分けられて準備されている実態 が明らかとなった。
内外のアドバンスドケアプランニングに関する文献レビューからは、人生の最終段階においてどのような医療を受けたいかをあらかじめ考えることに関して調査する際は、調査設計や調査対象者の属性が結果に影響する可能性を考慮した調査票作成が必要であると考えられた。
J-HOPE研 究からは、国民に人生の最終段階の治療の目標や過ごし方に関する 話し合いをもつことを促すことを考慮した調査票作成には、意義が あると考えられた。
海外の国民レベルの調査は、英国で主に行われ ており、政策とあわせた変遷があったが、意思決定の法制化のもと である点が我が国と異なっていた。
課題別小規模予備調査の結果は以下である。
①市民公開講座参加者を対象とした人生の最終段階に関する意識調査解析対象者の約80%が人生の最終段階について考えた経験がある と答えた。自分自身が死を身近に感じる機会があったり、年齢や病気などで死を意識したりすることが、人生の最終段階について考える要素になることが示唆された。また、Place of deathとして自宅を選択する時に、地域のがん医療に対する安心感が高いことは関連があった。
④ 自治体調査(地方自治体が終末期医療についてどのような啓蒙活動 を行っているかを調査)
都道府県の回答では、資料を作成していない都道府県が多かった。資料の配布以外の取組については、「取組がある」と回答してた都道府県が多かった。市区町村の回答では、「作成した」、「取組がある」ともに少なかった。「人口が少ない」「高齢化率が高い」「自宅死の割合が低い」市区町村ほど、資料を「作成していない」傾向にあり、普及啓発の取組が急務と考えられる自治体ほど実際には取組がされていない可能性が示唆された。一方、取組を行った自治体では、人生の最終段階における医療についての関心や理解が深まり、在宅での看取りの 推進等が普及啓発の効果として挙げられている。今後、普及啓発を進めていくためには、本調査結果で示された取組を行っている自治体の好事例を提示していくことに加え、各自治体における医療・介護資源等の実態や課題を明らかにし、地域の特性に合わせた支援策を検討することが必要である。
結論
意識の高まりがある程度進んできた中、今回の調査では、事前の話し合いや意思表明などの具体的な行動に結びつく知見を得ることが重要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2017-12-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-12-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201620022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 428,450円
人件費・謝金 1,671,092円
旅費 87,180円
その他 121,278円
間接経費 692,000円
合計 3,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
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